17日(土)午後、ホテルを再度出て、葉加瀬(太郎)さんのコンサートを聴きに、札幌文化芸術劇場hitaruに向かった。
このホールは初めてだ。現在、札幌コンサートホールkitaraが改修工事で休館しており、札幌交響楽団もこのhitaruで演奏会を行っているようだ。
ホールが入っているビルは、HTBの本社でもあり、1階にグッズのショップがある。
HTBのマスコット、onちゃんのグッズも何かほしかったが、先刻のHTBコーナーでもここでも買いそびれた。また次回。
ホールにはエスカレーターで上がって行く。
外にはテレビ塔が見える。
入場。
オーケストラを使ったこのツアーは、もともと葉加瀬太郎デビュー30周年を記念して、昨2020年の春に行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止となり、今年、改めての開催となった。
我々も昨年、4月に愛知県芸術劇場で行われる公演に行くつもりだったが行くことができなかった。改めて発表されたツアースケジュールの中から、札幌を選んでチケットを買い求めた。
(尚、葉加瀬さんは、2020年秋に通常のバンドとのツアー、「FRONTIERS」を行っている。そのツアーをまたいで、1年延期の今次ツアーという形。札幌のこのホールでも「FRONTIERS」ツアーは昨年11月に行われている。尚、我々も「FRONTIERS」ツアーは、12月の福岡サンパレス公演に行った)
プログラム冊子から。
我々の席は、1階6列38・39番。昨年12月に福岡サンパレスで「FRONTIERS」ツアーを聴いた時と大変よく似た、上手寄り前方の席だった。
ステージ上ではハープがチューニング中。
やがてメンバーが入場。ステージ手前がバンド、奥がオーケストラ。
指揮の水野蒼生さんが登場した後、オーボエのA音でチューニング。
指揮者、バンドメンバー、管以外のオーケストラは、全員黒いマスク着用。打楽器の前、木管の前にはアクリル板が設置されている。
オケは、フルート2、オーボエ1、クラリネット1、ファゴット1、ホルン2、トランペット2、トロンボーン3、チューバ1だったと思う。弦は数えられなかった。コントラバスは2本。
↓ この写真は29日(木)の熊本公演のステージ写真。羽毛田丈史さんの
Twitterから拝借しました。
セットリスト。
[アンコール]Legacy
葉加瀬さんは珍しい黒の燕尾服で登場。
1曲目はおなじみの「Another Sky」のSymphonicヴァージョン。やはりバンドにオケが加わると聴きごたえが増す。
次の交響詩「希望」は、葉加瀬さんのMCによると、2006年にファイナルファンタジーⅩⅡのために書いてロイヤル・フィルと演奏した音楽なのだそうだ。ゲームを最後までクリアした人だけが聴けたそうで、面白い。
この曲はとても難しいと言っての演奏。自作なのに(笑)。弾き終わって、「弾けた!」と嬉しそうにしていた。
この新しいツアー、まだ川口に続く2回目ということもあって、まだ確立されていない部分もあるのだろう。緊張していると言っておられた。
そう言えば、葉加瀬さんの前に譜面台が置かれているのは初めて見た。
オーケストラを見ていて、昨年はこれだけの多人数が、ツアーの予定をしてリハーサルもしながら、それが直前に中止されてしまったんだろうか、と思った。
ただ、同一メンバーのオケがツアー期間中各地をまわるということではなさそうだ。
柏木(広樹)さんのTwitterによると、この日のチェロには札幌交響楽団の楽員が2人参加したとのこと。また後日のツイートでもその土地土地のメンバーが参加されたらしき書き込みが見られた。羽毛田さんのツイートも同様。
改めてプログラム冊子のオーケストラメンバーのページ(前掲)を見て推測するに、写真入りで載っている人がコアメンバーで全日程に参加し、ページ下部に名前だけ載っている人はそれぞれの公演地で参加する奏者ではないかと思う。
MC。「新日本紀行」の作曲者である冨田勲氏は、クライズラー&カンパニーのライブをよく聴きに来られていたのだそうだ。
「新日本紀行」、「瑞風」と演奏されたところでチューニング。バンドはここでステージからはけた。
MC。第1部最後の「流転の王妃・最後の皇弟」は、2003年にテレビ朝日の開局45周年記念で制作されたドラマとのこと。好きなロマン派の作曲家であるブラームス、チャイコフスキー、シベリウスの趣で書き、モスクワ・フィルと録音したのだそうだ。以後、数回しか弾いていない曲で、オケとの実演は初めて。
第1部の最後に持ってくるには、「とてつもなく暗い曲(笑)」と客席を笑わせた。しかし、「今日のハイライト」とも。
聴いていて、この曲想のヴァイオリンは、さだ(まさし)さんの作品にありそうだな、と思った。「存在理由~Raison d'être~」に収録されている「柊の花」(ヴァイオリン澤和樹)が思い浮かんだ。
第2部。葉加瀬さんはグレーの燕尾服。
おなじみの「ひまわり」は、前奏のアルペジオの伴奏音型をハープが受け持った。
続く「Moon River」は、オリジナルのワルツ調から、8分の6だろうか、ロッカバラード風の曲想に転じた。
MC。オーケストラと一緒なので、クラシックの曲を演奏します、とモーツァルトの5番のコンチェルト(トルコ風)、ベートーヴェンのロマンスの2番。ロマンスは藝大入試の課題曲だったのだそうだ。モーツァルトはディスコ風、ベートーヴェンはラテン風のアレンジ。
1曲演奏が終わると、使った曲の譜面を譜面台の下にかたづけるのだが、そのたびにため息が聞こえる。「大変なんですよ」と何度も言われていた。
「WITH ONE WISH」は、ゲストプレーヤーとのデュエットで演奏された。MCでは札幌出身のカキザキコウゾウさんと紹介された。プログラム冊子のメンバー表にはその名前がない。Googleで検索してみると、「蠣崎耕三」という人がヒットした。その人だとすると、読売日本交響楽団の首席奏者だ。
↓ この写真は札幌公演のリハーサル写真。葉加瀬さんの
Twitterから拝借しました。
「リベルタンゴ」の後、メンバーが紹介され、最後の「情熱大陸」へ。途中、セクションソロが挿入された。
葉加瀬さん、羽毛田さん、水野さんがステージから一旦はけて、再入場。アンコールとなった。
アンコール曲は、昨年、東京オリパラ2020と、このツアーのために作った「Legacy」。
コロナ禍にあって、演奏会終演後の規制退場は、これまで色々な演奏会で経験したが、このhitaruの規制退場はきわめて綿密なものだった。ステージに担当者が出てきて指示。4階席まである大きなホールだが、2列ずつ退場させた。その退場が済んでから次の2列が指示される。丁寧なやり方だった。場内だけでなくエスカレーターにも係員がいて順番に乗せる誘導をしていた。
さて今回のツアー。普段のコンサートとは異なる編成だったこともあり、充実感があり、大変よかった。
葉加瀬さんのツアーには初参加となる水野さんの指揮が、大変すばらしかった。クラシックDJとしての彼の名前は、ドイツ・グラモフォンから出された2枚のアルバムを聴いて知ってはいたが、指揮者でもあるとは知らなかった。
クラシックの指揮者のような指揮ぶりではなく、時に踊るような、また指揮台からジャンプするなど、激しい動作だった。そうした動きが、奏で(させ)る音楽をとてもよく表現していたと思った。
今回の編成による各曲のアレンジは誰がやっているのだろう? 羽毛田さんなのか、あるいは水野さんなのか? と思いながら聴いていた。
プログラム冊子に、葉加瀬、羽毛田、水野3氏の鼎談が掲載されているのを後日読んだが、それによるとスコアは羽毛田さんが書き、そのスコアで水野さんが指揮するのだそうだ。
オケとバンドとが一体となっての演奏が、どのようにリハーサルされるのか、大変興味深く思われた。
(YouTubeのオフィシャルチャンネルに、リハーサルの動画が載っている(下に埋め込み)。これを観ると、羽毛田さんがメインで指示を出しているようだ)
大変良いコンサートだったので、このツアーはもう1回聴きたい、と思った。
帰京後検討して、5月6日(木)のロームシアター京都のチケットを急ぎ買い求めたのだが、京都府も対象となっている緊急事態宣言のために、7月に延期が決まった。
演奏会中止(延期)相次ぐ
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/04/29/174744
延期されたその7月の公演は、都合がつかず行けない。ツアー最終の東京公演はチケット完売なので、誠に残念だが、今回のツアーはこの札幌のみの参戦で終わってしまった。東京公演は後日BS朝日で放映されるとのことなので、忘れずチェックしたい。
※葉加瀬太郎オフィシャルチャンネルから「Symphonic Sessions #1」
リハーサルの模様を中心に、ツアー初日の川口公演も観ることができる。
今後、ツアーの進行を追って、順次動画がアップされると思う。
youtu.be