23日(土)、フェスティバルホールで行われた、「葉加瀬太郎 オーケストラコンサート2022 The Symphonic Sessions」を聴きに行った。
葉加瀬さんは、2020年以降、春にこのオーケストラコンサート、秋にバンドとのツアーと、年2回のツアーを組んでいる。
(その分、以前は春に行われていた、(高嶋)ちさ子さん、古澤(巖)さんとの「3大ヴァイオリニスト」のコンサートがなくなってしまったのが、少々残念だ)
オーケストラコンサートは、2020年はコロナ禍で延期され、昨2021年に初めて行われた。4月に札幌に聴きに行ったのだが、これがとてもよかったので、もう一度聴きたいと思い、8月に神戸に行った。葉加瀬さんを同じツアーで2回聴くのは初めてだった。
フェスティバルホール。
この赤い階段の右手に、「レオノーレ」という音楽関係のグッズを販売している店がある。入ってみた。魅力的な品々が手狭な店内に並んでいる。
私は、ネクタイを2本、ヴァイオリンの形のタイピンとピンバッジ、妻は楽譜をはさむホルダーなどを買い求めた。
我々の席は、1階10列9番・10番。
入口で小さなステッカーをくれた。
●葉加瀬太郎 オーケストラコンサート2022 The Symphonic Sessions
日 時 2022年4月23日(土) 15:30開場 16:30開演
会 場 フェスティバルホール
ヴァイオリン 葉加瀬太郎
オーボエ 最上峰行
音楽監督・ピアノ 羽毛田丈史
指 揮 水野蒼生
プログラム冊子から。
セットリスト。
第1部 情熱大陸
(MC)
Another Sky(Symphonic Another Sky)
ひまわり
(MC)
さよならをもう一度
Moon River
(MC)
Wild Stalions
第2部 WestSide Story Medley
Tonight
Maria
Mambo
(MC)
New Beginnings~Main Theme
(MC)
WITH ONE WISH
リベルタンゴ
(MC) メンバー紹介
新世界
アンコール
(MC)
Csardas ~チャールダーシュ~
16:25に1ベルが鳴り、ほぼ定刻通りに開演。
客席が暗転すると、羽毛田さん、水野さんが登場。
1曲目がいきなり「情熱大陸」であることに意表を突かれる。もう30年くらい前、さだ(まさし)さんのコンサートで、1曲目に「主人公」をやって驚いたのを思い出した。客席もいきなりでは盛り上がりきれないとまどった感じあり。
MC。フェスティバルホールは世界で一番好きなホールで、小学校の時から通っていて、アイザック・スターンを最前列で聴いたことがあるそうだ。
「Another Sky」では、オケのヴァイオリンがソロよりも1オクターブ上を弾いているのが面白く、通常のバンドでは聴けない味わいがある。
続いて「ひまわり」。
いつも必ず演奏される定番曲が続く。小田(和正)さんのツアーでも、「愛を止めないで」や「ラブストーリーは突然に」など、やらなければ客が納得しないという曲がある。改めて思うが、演奏側として、そうした「いつもの曲」を、毎回毎回マンネリにならずに常に新鮮に演奏するのは大変なことなんだろうな。そんなことを感じながら聴いた。
その後のMCで、「今日は「エトピリカ」はやらないんですよ。もうこの3曲で、ヒット曲は全部やってしまった」と笑いをとる。意図的な配列だったんだ。
以後は、オーケストラコンサートならではの曲をやります、と映画音楽2曲に移った。
オーケストラコンサートでは、昨年もそうだったが、葉加瀬さんは全曲譜面を見ながら演奏する(妻が気がついたところでは、終わった曲の譜面を脇にかたづける時に手が震えていたとのこと。やはり通常のバンドとの演奏より緊張があるんだろうか)。
この映画音楽では、眼鏡をかけて弾いていた。とりわけ難しいのだろうか。
それにしても「Moon River」は何度聴いてもいい曲だなあ。ワルツで演奏された後、最後にロッカバラードに移行するアレンジがとても印象的だった。
恒例のツアーグッズ紹介のMCから、第1部最後の曲。
もう1部が終わりなの? という感じを受けた。
しかし、やっぱりオーケストラとのこのコンサートはいいなあ。通常のバンドとの演奏もいいけど、多数の弦や管が加わるサウンドは本当に魅力的だ。
この日は、ツアーグッズの他に、「葉加瀬太郎シグネーチャーモデル アントニオ・タロンティーノ」というブランドのヴァイオリンも販売されていた。
このことは事前に情報を得ていて、10万円くらいだったら買おうかと思っていたのだが、その倍近い値段なのでやめた。
(ヴァイオリンは弾けないが、いずれ安い楽器を買って練習して、浦安オケの本番にヴァイオリンで一度乗ってみたいとは前々から思っている)
↑ 問い合わせ先のゴム印が捺されているが、札幌の店舗。
大阪にも島村楽器の店舗はあるのに何故?
ケースに直筆サイン入り。5台売られていた。
休憩時の出来事。
開演前席に座ると、周囲のお客さんで、ビニール袋に入った、葉加瀬さんその他のチラシを見ている人がいる。妻と、あれは何だ? という話になった。入口で配っていたんだろうか。それにしてはステッカーはくれたけど、あんな袋はくれなかった。
休憩になったら聞いてみよう、と思っていて、入口まで行った。女性のスタッフがいたので聞いてみたら、入場時に配るのでなく座席に置いておいたものだとの返事。なかった旨を話すと、お座席番号を教えて下さい、と言う。すぐお持ちしますので、お席でお待ち下さい、と。
これには驚いた。余ったチラシがそのへんに積んであるだろうから、それを受け取れればいいと思っていたのだが。
そうですか、と席に戻るべくエスカレーターを上がった。
さらに驚いたのはその後。
エスカレーターを上がったところに男性のスタッフがいて、外出者の半券確認をしていたので見せると、配付物がなかったお客さまですか、と言う。
既に今しがたの女性スタッフから連絡が入っていたのか。
その男性スタッフが、こちらに現物がありますのでお渡しします、と言って1袋くれた。
(席に戻って妻の話で、実は確かに座席にあったことが判明。座席のシート上に平らに載せるのでなく、シートと左側の肘掛けの間に縦に差し込むように入れてあったのだそうだ。それでも普通に座れてしまって、その存在に気づかないままだった。妻は、休憩に入って私が聞きに席を立った後に気づいたが、声をかけることもできなかったと言う。従って、我々の手元には3人分の袋が残る形になった。すみません・・・。でもスタッフの方の対応には感服しました)
第2部。
始まる前に、「ウエストサイド・ストーリー」の冒頭部分が流れていたのだが、オケのチューニングの後、「Tonight」が始まったのが嬉しかった。
メドレーで、「Maria」に続いた。オケ編成だし、葉加瀬さんのことだから、絶対「Mambo」はやるはず、と待ち構えていたら、やっぱり。
葉加瀬さんのステージマナーはいつも堂々としている。本当に舞台人、という感じだ。「どう? 俺ってかっこいい?」と言いたげな所作だ。2週間前、札幌で観たユーミンにも同じことを感じた。
「ウエストサイド」が終わってのMCでは、レナード・バーンスタインの話になった。クラシックファンがカラヤン派、バーンスタイン派に分かれていた時代、葉加瀬さんは圧倒的にバーンスタイン派だったそうだ。1985年のイスラエル・フィルとの来日公演で、ブラームスの1番、マーラーの9番をこのフェスティバルホールで聴き、出待ちをしてサインをもらって握手してもらった話もしていた。
次は、つい先日放映されたドラマ「津田梅子~お札になった留学生~」(広瀬すず主演)のテーマ曲。
そして、「WITH ONE WISH」が、昨年同様にオーボエとのデュエットで演奏された。この形でのこの曲はとてもいい。この曲をヴァイオリンと何かの管楽器のデュオで演奏するなら、クラリネットやフルートではなく、やっぱりオーボエが一番合うんだろうな、と思いながら聴いた。
そして「リベルタンゴ」。これは実に圧巻というべきすばらしい演奏だった。
メンバー紹介がなされて、盛り上がったまま「新世界」の4楽章になだれこんだ。たまたま今自分でも弾いている曲だ。
これは、クライズラー&カンパニー時代のナンバー。
葉加瀬さんは客席に手拍子を促した。
葉加瀬、羽毛田、水野の3人が下手に一旦はけたが、すぐ出てきてアンコール。
モンティの「チャールダーシュ」だった。
中間部分で、オケのクラリネットとのからみがよかった。
18:23終演。
いつも長々とはやらないアーティストだが、それにしてもちょっと短い。20分の休憩を含めて2時間足らず。せっかくのオーケストラを生かせる何かもう1曲はほしいところだった。
ちょっと物足りなさはあったものの、昨年に続くオーケストラコンサートを楽しむことができた。
音楽を過不足なくアクションで表現する水野さんの指揮も視覚的に楽しめた。
規制退場だったが、下りのエスカレーターはこうなる。どの程度意味があるのか。