naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

11月場所13日目

栃乃洋は大翔大を下して6勝7敗。
既に7敗と後がないだけに必死さが伝わってくる相撲だった。
あと2日、幕内残留がなるか、応援したい。

琴ノ若駿傑に後ろを向かされたが、それにしても無抵抗のまま負け越しの黒星。
向き直る気力が感じられなかったが、その後の放送を見ていたら、今日が佐渡ケ嶽親方の定年になるため、師匠の空白を作らぬため、今日をもって引退となるとのこと。
それであれば、納得のできる負けっぷりと言える。
こういうルールがあることは知らなかった。
古田敦也のように、二枚鑑札は認められないのかという話は前に書いたが、何か理不尽な感じがする。
本人がまだまだ相撲をとれるしとりたいと思っていたとして、それが許されない制度というのはどんなものか。
少なくとも場所を全うさせてやってもいいではないか。
親方の65歳の誕生日がたまたまこの時期だったということで、それと基本的に関係のない琴ノ若が今日やめないといけないのは、何か気の毒な気がしてならない。
インタビュールームで、藤井アナの質問に涙でなかなか答えられなかったが、涙の中にどういう思いがあったのか、うかがいしれないものがある。
尚、引退力士の会見は普通親方に伴われて別の日に行われるのものであり、正規の発表があったのかどうかも明確でない取組後に、インタビュールームで直接インタビューをしたことは、妥当だったのかという気がする。

高見盛白露山に左を差されて完敗。
右脇ががらあきの立ち合いではやむを得ない展開。
やはり右差しが生命線なのだから、脇を締めてすくうように行くべきなのだが、そういう厳しさがない。
がっかりさせられる相撲であった。

時天空栃乃花は、好調同士らしく非常にいい相撲だった。
優勝争いと関係なくとも、こういういい相撲を見られるのは嬉しい。
今日の相撲を見ていても、やはり時天空は突っ張りを武器にしていくべきだと思う。
一方、相手の突きにうまくあてがいながら反撃して栃乃花にも見るべきところは多かった。

稀勢の里は、立ち合い右上手をとれて、これで有利かと思ったが、豊ノ島に二本差しを許していた。
負けが混んで、気力が落ちたか。

白鵬は、雅山に充分勝てた相撲を落とした。
やはり、今日も感じたが、攻防の中で、どこか余裕を持って勝とうとしているように見える。
確かに終始余裕はあったのだが、余りにも余裕をかましすぎたというのか、最後で落とし穴があった。
ある見方をすれば、そういう余裕のある相撲を目指しているのは理想が高いとも言える。
しかし、やはり、今の力量の120%を常にぶつけつつ、必死でとる相撲を見たい気もするのだ。
今日にしても、相手をよく見ながら突きに応戦する中で、がちっとつかまえてしまい、一気に勝負をつけるチャンスはいくらでもあったように思うのだが。
ただ、これも再三書くが、足の具合が思わしくなくてこうなっているとすれば、別だ。
今場所の白鵬は、本当に評価が難しい。
少なくとも、昨日の最初の相撲で脇腹を打った支障は見られないが。

安馬旭天鵬は、個人的には大変楽しみに見た取組だったが、予想外の展開で、一方的な安馬の勝利に終わった。
旭天鵬としては、いきなり組みにこられたのが予想外だったか。
これで安馬も6勝7敗。残り2日、応援したい。

千代大海は15連敗中の魁皇に変化相撲。
魁皇を突き切って勝てるというイメージは持てないし、まして四つで勝てる筈もない。
15連敗もむべなるかなという状況だったが、確かに勝つとすればこんな相撲しか考えられない。
魁皇側から見ると、立ち合い顔が右を向いたのが、変化を食った要因。
両者とも全くほめられた相撲ではないのだが、今日の優勝を回避できた点だけは、一応よかった。

今日の優勝がなくなっての、朝青龍琴欧州
このカードは、今の相撲界において、すべての取組の中で最も楽しみな対戦になったのは事実だろう。
充実しきった横綱を倒すのは誰かと考えた時、大関の中では強いて栃東魁皇に期待が持てないでもないが、それより、活きのいい若手の中でといえば、琴欧州白鵬により大きい期待が寄せられると思う。
本日の結果は、期待にたがわぬ相撲で、琴欧州の完勝と言える内容だった。
ともかく、琴欧州が最高の立ち合いをした。横綱に立ち合いの大きい失敗があったとは思わないが、琴欧州横綱に勝る立ち合いをした。
上背でもリーチでも勝る琴欧州が左上手をとって完璧に組み勝った。
琴欧州充分の右四つでは、さすがの横綱でも分が悪い。
土俵際で一旦残したところはやはり横綱という場面だったが、それまでで、基本的には終始琴欧州の相撲だった。
この展開にあっては、波乱とは言えない。力と力の勝負で琴欧州横綱に勝った一番と言える。
今後、場所を通じての優勝争いで、五分の争いができるだけ力が縮まったとは思わないが、こと両者の対戦そのものに限って言えば、琴欧州の長身は、横綱にとっては非常にとりにくい筈で、直接の対戦については今後五分に近い形で推移するように思う。
横綱としては、離れた相撲に徹するのがよく、組んでは五分かそれ以下の勝負になると思う。琴欧州のリーチの長さはその点では横綱にとっては難物であり、今後も研究しなおさないと、分の悪い対戦になりかねないと思う。
琴欧州としては、親方の定年の日ということもあり、気合いが入ったのだろう。
チキンハートと言われる面は全く出なかった。
下位力士に3敗したのは印象が悪かったが、横綱を倒しての2ケタで帳消し、まず大関昇進は当確と見ていいだろう。

さて残り2日の優勝争いだが、明日は千代大海琴欧州琴欧州がかなり有利と見る。
とすると、千代大海琴欧州が3敗に並んだ状況で、結びの朝青龍魁皇となる。
力関係、相撲のたちから言って、魁皇が存分の相撲をとれれば、チャンスもあろう。
横綱が勝って優勝を決める可能性が80%程度とは思うが、千秋楽に持ち越す可能性もないではない。
ただ、このような展開になったとしても、千秋楽は朝青龍千代大海である。
千代大海横綱をひきずりおろすことはどうにもイメージしづらい。
横綱が終盤3連敗することにもなる。78年11月の北の湖はそうだったが・・・。

ということで、仮に千秋楽にもつれたとしても、横綱の7連覇、年間完全制覇、年間83勝の新記録は、99%間違いないだろう。