naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

床屋1~Pのこと

散髪に行ってきた。

散髪に行くのは年7回ペースである。
自宅のすぐ近く、歩いて5分もかからないところにあるPという店が気に入っていて、ほぼ必ずここに行く。

自宅の近くには他にも床屋が3軒くらいある。
ここに住んで20年、最初の内はP以外の床屋を転々としていた。
Pは、他の3軒が道路に面した1階にあるのと違って2階にある。
そのこともあって、Pの存在は知っていながらなかなか入らなかったのだが、今から10年くらい前だろうか、ふと気が向いて入ったところ気に入ってしまって、以後はここ一本である。

何がいいかというと。

大体どんな床屋も手順はほぼ決まっていて、髪のカットが終わると襟足を剃る。
襟足を剃ると首にタオルを巻いてシートを倒して顔剃りに移るのだが、最初のポイントがここ!

ほとんどの床屋は、襟足を剃ったら、その部分に残ったシャボンをタオルで拭う。そしてそのタオルを首に巻くのだ。
シャボンがついた湿り加減のタオルを首に巻かれるのは気持ちが悪い。私はいつもこれが嫌だった。実際、ぞっと鳥肌がたつのであった。
長いこと色々な床屋に行ったが、このプロセスはどこも共通だった。
これは、本当に長年の悩みで、髪をいじられるのは気持ちがいいから、床屋は好きなのに、途中でこれがあると思うと気が重かったのだ。

ところが、ここPでは、襟足を剃り終わったところで、蒸しタオルを出してくる。その蒸しタオルで剃った首筋を拭ってくれて、さっぱりしたところに新しいタオルを巻いてくれるのだ。

積年の恨み、じゃなかった長年の悩みをきれいさっぱりとそれこそ拭い落としてくれたPにハマった最大の理由である。

他にもPの良いところはある。
洗髪の際に、頭をゴシゴシしてくれる時間が長い。丁寧にやってくれる。気持ちがいい。
それから洗髪の後、ヘアトニックを振って、頭のマッサージから、首や肩のマッサージに移るのだが、これも他の店に比べて長くやってくれる。これも気持ちがいい。

値段はちょっと高めだが、充分それに見合う満足が得られるので、私はP一筋になってしまったのだ。

Pはいつ行っても常に店内にジャズを流している。私の音楽鑑賞生活で、ジャズを聴くのは基本的にこのPに行った時だけである。
(今年の5月に行った際BGMがクラシックの室内楽になっていたので、これはますますいいやと思ったのだが、翌月行ったら元のジャズに戻っていて今日に至る。あれは何だったんだろう)
この店は、たいてい座らされる席が通り側を向いていて、ガラス越しに外が見える。
夕方など、陽が落ちてだんだん暗くなっていく時に、女性のジャズヴォーカルなんかが流れていると、何かニューヨークに行きたくなったりする。

この店は美容院も兼ねているので、女性のお客さんと一緒になることもある。
混浴の温泉に入っているような変な気持ちだ。
今日も途中から私と同じマンションに住んでいるらしいおばさんが入ってきて、担当についた店のおかみさんとしきりと介護の話をしていた。

2ヶ月弱に1回のペースの散髪なので、Pに行くのも次は年明けだろう。