naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

オーケストラ・アンサンブル金沢 大阪定期公演

4泊5日の大阪出張のはざま、1日オフの23日(月)。

 

演奏会はないかと、急遽調べて見つけた、オーケストラ・アンサンブル金沢の大阪定期公演に足を運んだ。

 

オーケストラ・アンサンブル金沢 大阪定期公演

日 時 2019年9月23日(月) 13:00開場 14:00開演
会 場 ザ・シンフォニーホール
指 揮 ユベール・スダーン
ヴァイオリン 辻 彩奈
管弦楽 オーケストラ・アンサンブル金沢
曲 目 モーツァルト 歌劇「後宮からの逃走」序曲
    モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第5番イ長調「トルコ風」
    [ソリスト・アンコール] シベリウス 水滴
    ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調
    [アンコール] ベートーヴェン トルコ行進曲

 

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ザ・シンフォニーホールで演奏会を聴くのは、2回目。前回は、2014年11月、メータ=イスラエル・フィルの来日公演を聴いた。

   ※「オーケストラ」を満喫~メータ=イスラエル・フィル
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/64573510

 

オーケストラ・アンサンブル金沢を聴くのは初めてである。今回、この演奏会に足を運んだのは、良いプログラムだったこともあるが、東京ではなかなか聴く機会のない、このオーケストラを聴いてみたい、と思ったことの方が大きい。

 

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当日券販売の窓口で、座席表を見ながら席を選ぶ。2階最前列に1つだけ、それもど真ん中の席が空いていたので、そこを買った。

 

2階AA列28番。

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2階席なのだが、「3階」に上がるように指示が。

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そして、エレベーターで「3階」に上がると、さらにそこから階段を昇って行く形になっている。2階席なのに。面白い。

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プログラム冊子から。

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前半に同じモーツァルトのトルコ風音楽を2つ並べ、また、コンチェルトとメイン曲は同じイ長調の音楽。きっちりしたコンセプトが感じられる。

 

指揮のスダーン氏は、全曲、指揮棒を持たなかった。指揮台もなし。

 

最初の序曲、弦は、ヴィオラ外配置の8・6・4・4・3。

 

演奏会用コーダを使った演奏だった。

 

続くコンチェルトは、コントラバスが1人減った。

(下手の打楽器奏者もいなくなった。あれ? このコンチェルトって、3楽章に打楽器なかったっけ、と思ったが、なかったんですね)

 

コンチェルトの序奏が始まると、同じモーツァルトでも、序曲がくっきりした演奏だったのに比べると、ふっくらとした響き。とても美しい。

 

初めて聴く辻さんのヴァイオリンは、つややかでとても豊麗な音。

 

モーツァルトのこのコンチェルトが、終始ロマン派のように聞こえた。特にカデンツァがそうだった。

 

このヴァイオリンで、シベリウスとかブルッフのコンチェルトを聴いてみたい、と思った。

 

時に耽美的にも聞こえたこのヴァイオリンとモーツァルトの音楽の相性については、少々考えさせられながら聴いた。

 

私は、決して昨今のピリオドアプローチのモーツァルトを好むものではないが、それでも、モーツァルトの時代の聴衆は、このコンチェルトでこういう響きのヴァイオリンを聴いてはいなかっただろうな、と思った。

 

この路線を是とするなら、2楽章はとても美しく、聴きごたえがあった。

 

オケもソリストと同様のテイストであった。

 

ソリストとオケのアンサンブルは、誠に見事だった。

 

それにしても、こういう終わり方をする曲で、どうして拍手を待てないのかなあ。

 

ソリスト・アンコールは、バッハの無伴奏あたりかと思ったら、チェロのトップとの二重奏の短い曲。全編ピツィカートだけで演奏される、しゃれた曲だった。

 

帰りにアンコール・ボードを見たら、シベリウスの「水滴」という曲。こんな曲があるなんて、知らなかった・・・。

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20分間の休憩の後は、メインのベト7。コントラバスが3人に戻っての8・6・4・4・3。ホルンが3本だった。

 

この曲は、2月にマウントあさま管弦楽団で弾いた(紀尾井ホール)ばかりなので、その時のことを思い出しながら聴いた。

 

1楽章が終わった後、間を置かずに2楽章が始まった。客席に咳をさせなかった。

 

その2楽章は、冒頭部分が普通聴くよりも短めの音で弾かれた。

 

3楽章の前は、間があった。

 

3楽章から4楽章へは、アタッカかな、と思ったら、3楽章が終わったところで、指揮者がコンミスの方を向いて、「やったね!」というような表情でちょっとガッツポーズをしたように見えた。会心の演奏だったのだろう。

 

全曲を通じて、速めのテンポによる引き締まった演奏。特徴的なアクセントのつけ方が、2、3あったが、基本的にはオーソドックスな演奏だった。

 

そんな中、4楽章のコーダで、主題の音型が弦の各パートを行ったり来たりする中、ヴィオラだけがスラーをつけずに弾いていたのが、珍しく感じられた。うん、その方が弾きやすい。

 

両端楽章の提示部はリピートされた。

 

このシンフォニーは、オケがなかなか鳴らない書き方をされていると言われるが、改めてそれを感じた。

 

いずれにしても、またこの曲を近い内に弾く機会があれば、と思った。

 

休憩時に、打楽器がかたづけられないまま置かれていたので、もしかして、アンコールで使うのかな、と思っていたら、ベートーヴェントルコ行進曲

 

なるほど、と言う他はない選曲だ。

 

図らずも見つけた演奏会だったが、良いオケで良い演奏が聴けて、とてもよかった。

 

(追 記)

この23日(月)、辻さんがTwitterで、新大阪駅の串かつだるまに寄ったらしき投稿をしていた。

今回の出張の初日、20日(金)の昼食で入った店だ。

あの時は、3日後に辻さんのヴァイオリンを聴くとは思っていなかった。

   4泊5日大阪出張<1> 9/20(金)

      https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2019/09/29/095057