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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

古澤巌×ベルリン・フィルハーモニー ヴィルトゥオージのクリスマス

12日(木)、かつしかシンフォニーヒルズで行われた、古澤巌×ベルリン・フィルハーモニーヴィルトゥオージの演奏会を聴きに行った。

 

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古澤さんのヴァイオリンは、葉加瀬太郎高嶋ちさ子との3大ヴァイオリニストのコンサートで毎年聴いているが、一度、古澤さんだけの演奏会を聴いてみたい、と常々妻と話していた。

 

そんな折、今年9月に、宇奈月温泉の「湯の街ふれあい音楽祭 モーツァルト宇奈月」において、古澤さんのソロコンサートを聴くことができた。

   古澤巌 ヴァイオリンソロ~モーツァルトとぼくと~

      https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2019/09/29/092817

 

そして今回、古澤さんが定例的に行っている、ベルリン・フィルハーモニーヴィルトゥオージとの演奏会を初めて聴けた。今年は、5月の大阪での3大ヴァイオリニストコンサートと合わせて、3通りのスタイルで、古澤さんの演奏に接することができた。

 

かつしかシンフォニーヒルズ。青砥駅から歩いてすぐだ。

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我々の席は、1階7列18番、19番。ステージに近く、PAなしの室内楽を聴くには良い席だった。

 

受付で渡されたセットリスト。一部演奏順の入れ替えがあった。

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(帰宅後、11月にメータ=ベルリン・フィルを名古屋で聴いた時のプログラム冊子を開いて、メンバー表を見てみた。ヴァイオリンのディンカ氏以外の4人の名前が載っていた。皆さん、あの時のブルックナーを弾いていたんだ。で、オケは帰国したけど、4人は残った、と)

 

最初に、弦楽五重奏だけで2曲演奏された後、古澤さんが登場して、五重奏に囲まれる形で中央に立った。一人だけノーネクタイで、グッチのスカーフを顎にはさんでの演奏。エネスコのルーマニア狂詩曲。

 

以後、曲間には古澤さんのMCが入った。このメンバーでの演奏は7年目だが、生音での演奏は初めてかも知れない、とのことだった。

 

また、今回使っているヴァイオリンは、2日前に宗次コレクションから借りたもので、ストラディヴァリウスの「サン・ロレンツォExヴィオッティ」。今年で301歳になる。18億円とのこと。

 

古澤さんがチェロ弓で演奏されることは知っていたが、今回は、この古いヴァイオリンの音を生かすために、バロック弓を使ってみたとのことだった。「自分の色に染めないようにこの楽器を鳴らしたい」、「この楽器の音を守ることが一番大切」と言われていた。

 

古澤さんのソロもさることながら、弦楽五重奏も美しい演奏だった。妻は、「5人しかいないのにもっと人数がいるような豊かな響きだった」と言っていた。

 

私は、ヴィオラの音にすっかりまいってしまった。

 

ヴィオラって、いい音がする楽器なんだねえ・・・。日頃、自分が演奏しているのもヴィオラなんだが。席がちょうど中央の位置だったので、ヴィオラ奏者が古澤さんや譜面台に隠れて見えづらかったのが残念。もう4つ5つ左右に寄った席だったらよかったのだが。

 

マリーノの作編曲作品が多いが、すべてこのユニットのために書かれたものだそうだ。これらの作品が、世界中でもっともっと演奏されるようになることを願っている、と言われていた。

 

メインは、そのマリーノの最新作、5番のコンツェルトだったが、この曲では、古澤さんが他の曲と違って、とても厳しい顔で弾いていたのが印象的だった。

 

古澤さんのヴァイオリンにいつも感じるセンスを今回も味わった。古澤さんは、フィドラーだ、とも感じた。

 

一方、楽器も弓もいつもと違う中、ツアー2日目の今回は、この楽器をどう使うのか、色々試しているようにも感じられた。

 

アンコールには、まずクリスマス・ナンバー。実に絶品、ほれぼれとする演奏だった。これもマリーノ編曲とのこと。

 

そして、最後に、宇奈月でも演奏された、「Mr. Lonely」。

 

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古澤さんという人は、すごみで聴かせる人ではない、つくづくそう思った。すごみを感じさせるのでなく、時に心をくすぐり、時に心にしみる、本当に心地よいヴァイオリンだ。その意味では、いつも共演している、葉加瀬さんとは対極の場所にいるように思った。

 

終演後、握手会。ロビーで販売されているCDを買うと参加できるということで、妻が、まだ買い求めていない「CANTATA!」を買って、握手会の列に並んだ。宇奈月でも演奏を聴いた話をしたとのこと。

 

さて、2019年は三様の古澤さんを聴けたが、来年は、品川カルテットを是非聴いてみたいと思う。