19日(日)、東京国際フォーラムホールAで行われた、アリスのコンサートに行ってきた。
アリスがツアーをやっているらしい、という情報を得て、「行ってみたいね」と妻と話し、チケットを取った。このツアーは、2013年以来のツアーとのことだ。昨年5月からスタートし、来月、大阪城ホールでファイナルとなる。
私がアリスを知ったのは、たぶん「青春時代」(1973年)あたりだ。高校生の頃である。仲がよかった同級生のSが、深夜放送での谷村(新司)さんがめっぽう面白い、と話していたのを覚えている。
大学入学後、「今はもうだれも」(1975年)がヒットし、シングルやアルバムを買うようになった。オリジナルアルバムとしては、「アリスⅤ」、「アリスⅥ」、「アリスⅦ」を持っている。他にライブアルバムを3つ。
(ネットで調べた限りでは、これらのオリジナルアルバムは、現在は市販されていないようだ。これには驚いた。オフコースにせよ、ユーミンにせよ、現役で売られているのに)
アリスが活動を休止したのは、1981年、私は就職して4年目だった。
従って、個人的には、18歳から26歳の年頃、高校、大学、社会人初期が、アリスと接した時期である。
アリスが一橋祭(大学祭)に来たことがあった。たぶん1976年、3年生の時だったと思う。兼松講堂でのコンサートは、前半が美樹克彦、後半がアリスというジョイントだった。初めて生で聴くアリスだった。
堀内(孝雄)さんが歌った、「カリフォルニアにあこがれて」(ソロアルバムの曲)が、何故か一番記憶に残っている。
それから、1979年、日本武道館で行われた、「限りなき挑戦 Hand in Hand」に行った。今日まで何度も行っている武道館だが、ここで聴いた初めてのコンサートがこれだった。
これまでに接したアリスの実演は、この2回だけかもしれない。
(尚、アリスが活動を休止した後、1982年に、谷村さん、さだ(まさし)さんのジョイント・コンサートが武道館で行われたが、これには行っている)
40年余りを経てのアリスのライブ。どんな内容なんだろう。今回のツアーについて、特段の予備知識もないまま、会場に向かった。
グッズ売り場。ツアーパンフレットとキャップなどを買った。
我々の席は、2階20列12・13番。チケットを取るのが遅かったこともあってか、結構上の方で、ステージを遠目に見る形だった。
緞帳はなく、ステージ中央に、三角形の形で、ピンポイントのライトが当たっている。
中央奥にコンガが一対。もちろん矢沢(透)さんのポジションだろう。その手前、下手側にスタンドマイク、上手側に椅子とスタンドマイク。往年の記憶では、下手側が堀内さん、上手側が谷村さんだったか。
その左右、また奥にバンド。
ステージの奥には、アリスのトレードマークであるペガサスがぶら下がっている。
まわりを見わたすと、客席の年齢層は高い。小田(和正)さんのライブに負けず劣らずのジジババ度だ。
場内には、「走っておいで恋人よ」や「明日への讃歌」など、アリス本人の歌が流れている。これから生演奏があるアーティスト本人の楽曲を流すというのも面白い。
14:55、1ベル。15:00、定刻に本ベル。
メンバーが登場。配置は記憶通りだった。バンドメンバーは出てこず、アリス3人だけ。
以下、セットリスト。休憩20分をはさむ二部構成だった。
第一部
愛の光
知らない街で
(MC)
走っておいで恋人よ
(MC)
黒い瞳の少女
(MC)
あなたのために
(MC)
街路樹は知っていた
(MC)
明日への讃歌
第二部
LIBRA -右の心と左の心-
(MC)
今はもうだれも
(MC)
冬の稲妻
ジョニーの子守唄
君のひとみは10000ボルト
涙の誓い
(MC)
夢去りし街角
(MC)
DAY BREAKER -解放-
(MC)
12°30’
センチメンタル・ブルース
(MC)
秋止符
(MC)
限りなき挑戦 -OPEN GATE-
(MC) メンバー紹介
エスピオナージ
狂った果実
帰らざる日々
(MC)
遠くで汽笛を聞きながら
アンコール
チャンピオン
(MC)
さらば青春の時
以下、感想やMCの内容など、覚えている範囲でのレポート。
第一部は、基本的にアリス3人だけでの演奏。「あなたのために」で、ピアノとギター、「街路樹は知っていた」で、ピアノが加わった。
2013年にツアーをやった時、「次にやるなら70歳の時か」と話したのだそうだ。2019年は、一番誕生日の遅い堀内さんが10月に70歳に到達し、めでたく「3人で210歳」になった。
昨年6月の武道館以来の東京公演。東京国際フォーラムでの2日間の最終日なので、このツアー、東京のファイナルとなる。
今回のツアータイトル、「限りなき挑戦」は、1979年のツアータイトルで、当時30歳だった自分たちが、70歳になっても、まだ限りなき挑戦をしていく、との思いがこめられているとのこと。
例えば「走っておいで恋人よ」などで、客席も一緒に歌えるように、「顔は見ないさ~」とか「夢に破れ~」などと、次のフレーズの歌詞を先に言ってから歌う方式は、ほんとに久しぶりに聴いた。そうそう、これがフォークソングの流儀だった、と懐かしかった。
MCは、谷村さん、堀内さん。やはり、谷村さんのMCは、とりわけ面白い。巧い。
第一部は、あっという間に終了。20分間の休憩となった。堀内さん、矢沢さんが下手側へ、谷村さんが上手側へと、分かれてステージからはけたのが面白かった。
第二部の1ベルは15:55、本ベルは16:00ちょうど。
場内に「エデンの東」のメロディが流れ、それが「くるみわり人形」の行進曲に移り、メンバー登場。
矢沢さんはドラムセットに座り、バンドの、ギター、ベース、キーボード、ピアノが加わってのフルメンバーでの演奏となった。
バンドだと、俄然タイトなサウンドになる。
「今はもうだれも」は、オリジナルキーはCdurだったと記憶するが、この日の演奏は2度下げてのBdur。
それにしても、矢沢さんのドラミングの何と見事なことか。来月のツアー終了時には71歳になろうという年齢なのに、こんな完璧な演奏をされるとは、すばらしい。
今回のセットリストは、大部分が往年の名曲だが、新しい曲も2曲歌われた。「DAY BREAKER -解放-」は、このツアーの最中に作られたナンバーとのこと。10月に発売された、シングルコレクションに収録された。
この曲の後、ステージ中央に3人が楽器を持たずに並んで座ってのトークタイムとなった。
2年前から3人でやっているラジオ番組「MBSヤングタウン」の話の後、矢沢さんの企画によるコーナーとして、通常のアリスのイメージでない、ソフィスティケートされた一面をお届けしたい、ということで選曲された2曲、「12°30’」と「センチメンタル・ブルース」が歌われた。
元の配置に戻り、「秋止符」の後、もう1つの新曲、このツアーのテーマ曲、「限りなき挑戦 -OPEN GATE-」。
「帰らざる日々」で個人的な経験として思い出すのが、あの時期(1975年から76年)前後してリリースされた、荒木一郎の「君に捧げるほろ苦いブルース」のことである。「君に・・・」のサビの、「Bye Bye まだ夢のようさ Bye Bye 君 ドアの外の・・・」のメロディや歌詞が、「帰らざる・・・」と、とても似ているように思ったものだ。もちろん、どちらかがパクったなどということではなく、偶然なのだろうが。
名曲、「遠くで汽笛を聴きながら」で、17:13、本編終了。
バンドメンバーも、3人に対して拍手を贈っていたのが、印象的だった。
いったんはけたメンバーは、17:14、すぐ戻ってきて、アンコールに移った。
本編で歌われていなかった、「チャンピオン」は当然やると予想。
そして、その盛り上がりをチルアウトして終わるために、最後の最後、もしできるなら「さらば青春の時」が聴けたら、と思っていたが、果たしてそうなったのが嬉しかった。
17:29、終演。正味2時間10分のステージだった。
客出しに、再度「エデンの東」が流れたが、直前の「さらば・・・」とのつながりが自然だった。
コンサートの間中、終始思ったことだが、オリジナルメンバー3人が、40年ほどの時を経てなお、元気で往年のままの演奏を聴かせてくれたことが、ともかくすばらしい、と言うかありがたい。
元気でいること、長く続けることのすばらしさ。
バンドも含めて、演奏の水準もとても高かった。いい演奏を聴かせてもらった。
谷村さんのMCの巧さは、既にふれたが、全体を通じて、ステージの運び方というか、いわゆる客あしらいがとても上手いと思った。ふと、葉加瀬(太郎)さんを思い出したが、関西人共通の何かがあるのだろうか。
もう一度聴きたいライブだったが、残念、残るツアースケジュールでは、行ける先がない。
昨年6月の武道館の映像は、既に発売されている。セットリストは一部異なるが、HMVでネット購入した。納品待ちである。
※アリス・オフィシャル・サイト