緊急事態宣言が解除されて半月。
東京都の休業要請緩和もステップ3に入り、一時期問題となったパチンコ店を始め、カラオケ店やゲームセンターなども営業を再開した。
ここへ来て、経済活動、生活のあらゆる分野が、急速に緩和方向に舵を切っているように見える。
ただ一方、医学的疫学的には、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬は確立されたものがなく、一連の緩和は、常に感染拡大の第2波のリスクと隣り合わせの状況である。
そんな中、内外のプロオーケストラに、演奏会の再開に向けての動きが目立ってきているし、アマチュアオーケストラでも、練習を再開したとの情報を見かけるようになった。
これまでも、ネット上で得た関連情報を、このブログ、あるいはFacebook上に投稿してきた。複数かかわっているオーケストラのメンバーとの情報共有ができればと思ってのことである。
あれこれの動きが急になりつつある中、そろそろ、そうした情報を拾いきれなくなってきてもいる。
ここ何日かで目に止まった情報を、いくつか紹介しておく。
●ウィーン・フィルの演奏会開催
https://ontomo-mag.com/article/report/wien-phil-20200605/
6月5日(金)に、ウィーン・フィルが、楽友協会で演奏会を行った(バレンボイムの指揮とピアノによる、K595のコンチェルトと「運命」)。
家族、関係者向けの招待演奏会で、入場者数は100人に制限。
エアロゾルの検証実験を行った上で、ステージ上はソーシャルディスタンスの対象外とし、全楽員が事前にPCR検査を受けて陰性を確認。
これが、ウィーン・フィルとして示したポリシーということか、と読んだ。
一方で、ニューヨーク・フィルが、来年1月5日までのキャンセルを発表したとの情報も目にした。
世界的なオーケストラにして、方針が大きく異なる現状である。
●国内オケの取り組み
新日本フィルは、7月10日(金)の主催公演を行うべく、6月9日(火)に、すみだトリフォニーホールで、試験演奏を行ったとのこと。
https://news.yahoo.co.jp/articles/030e913181520a194f4ba37a2b22ae26cbee7c1e?page=1
楽員は、弦楽器が1.5メートル、管楽器が2メートルの間隔をとり、ゴーグルとマスクを着けて、ビニールのついたても置かれた形で演奏したそうだ。
アンサンブルに支障があったとの楽員の声も紹介されている。
東京都交響楽団は、6月11日(木)、12日(金)に、東京文化会館大ホールで、公演再開に向けた試演を行った。
https://ebravo.jp/archives/65937
初日は、弦楽合奏。奏者間の距離を変えたり、指揮台前にアクリル板を置いたり、さまざまな試みを行ったそうだ。
また、2日目は、金管合奏、木管合奏、全合奏を順次行い、飛沫の測定を実施。
この試奏では、ソーシャルディスタンスをとると、響きが散漫になることが確認され、演奏者は、かなり密に座っても問題ないのではないか、との感触を得たとのこと。
今後、詳しい分析結果が発表されるそうだ。
このところ、ステージ上、客席について、日本国内の感染状況も踏まえてか、あまり神経質にならなくとも良いのではないか、という所見を目にするようになってきた。
「1メートル、2メートル空けろと言うが、それだったら通勤電車はどうなのか」、「これまで言われてきたほど、管楽器の演奏は危険がないようだ」、「クラシックの演奏会の客席は、全員が前を向いて、声を発することなく座っているのだから、危険は少ないのではないか」等々。
オーケストラ演奏の場合、政府や自治体が、事細かに作法や基準を定めることはないと推測する。
こうしたプロオケの自主的な取り組みが、専門的見地からの検証も踏まえて、一定のスタンダードとなることを、期待したい。
(付 記)
吹奏楽の分野も、オーケストラ同様、苦しい状況にあると聞く。
そのような中、仙台城南高等学校吹奏楽部の顧問を務める佐藤学氏が書かれた、「吹奏楽部の活動再開における留意点」を目にした。
「個人的見解」との副題がついているが、非常に詳細な内容である。
既に、他県の吹奏楽部でも共有されているようだ。
学校指導者による、こうした取り組みも、遠からずその分野のスタンダードとなって行ってほしいと感じている。
https://drive.google.com/file/d/13P4ndPj8AB0TTt-H56SiFeqt8ajAMN4w/view?fbclid=IwAR0BgBkF15aCV4Y6cCsunuvYL3izKIIX-NSG2ye0NFHec4UlNeIRPsxgO7U