大阪出張の途上、ジュンク堂難波店に立ち寄る機会があった。面積が広く、品揃えも大変充実している。千葉にもこんな書店があったら、と思う。
そのジュンク堂で、「相撲ファン」を見つけたので、買った。不定期刊行のこの雑誌は、大きな書店でないとなかなか目にすることがない。
帰りの新幹線の中で読んでいたら、面白い記事があった。
「データは囁く」というページなのだが、昨年九月場所12日目に、琴奨菊が幕内で寄り切り400勝をあげたことを紹介している。
琴奨菊は、その時点で、幕内通算687勝。その58%が寄り切りだという。
何より特筆すべきは、1955年の決まり手68手が制定されて以来、幕内で一つの決まり手で400勝したのは、史上初だということだ。
このページでは、それに関連して、昨年十一月場所終了時点での、「決まり手別勝数トップ3」を掲載している。
これはなかなか興味深い。
寄り切りについては、琴奨菊が400勝に達する前の1位は、貴乃花の368勝。貴乃花の幕内勝利の52.5%が寄り切りなのだそうだ。
叩き込み1位の千代大海は、いかにもイメージ通りではあるが、叩き込みだけで118勝もしているというのは、相当多いと感じる。上手投げの1位、これもいかにもという白鵬が、161勝。白鵬と千代大海の幕内勝利数は相当差があるはずだから、千代大海の叩き込み率は、かなりのものだろう。
その上手投げのトップ3は、いかにも、という顔ぶれだ。この表を見ることなく、相撲クイズとかで、上手投げのトップ3は誰でしょう? と問われれば、私の場合、まずは千代の富士、次いで白鵬あたりだろう。北の富士が3位に入っているのも、なるほど、と思う。北の湖も上手投げが多かった記憶があるが、北の富士の方が上か。
その北の富士の外掛け1位も納得だ。外掛けは、今もたまに出るが、内掛けはめっきり見なくなった。私は琴ヶ濱を知らない世代だ。記憶している内掛け得意と言えば、やはり増位山になる。
吊り出しがまた、味わい深い。明歩谷(明武谷)、大麒麟、玉の海という顔ぶれは、いずれも納得だが、トップ3がすべて100勝を超えているという、吊り出しの多さに、今の感覚だと驚く。確かに、これらの力士の時代は、吊り出しが毎日のように見られたものだ。近年で、吊り出しをイメージするとすれば霧島あたりが最後だろうか。
反対に、力士の大型化で、引き技が増えたと嘆かれる昨今、引き落としが、数としては思いのほか多くないと感じる。叩き込み、引き落としの両方に入っている豪風は、その相撲ぶりが端的に表れた数字だと思う。