6月に出た「文藝別冊 ベートーヴェン」(河出書房新社)に、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲をとりあげたページがある。
渡辺和彦氏の執筆だが、「ベートーヴェンの四重奏曲をどう聴き進むと「完走」できるか」との書き出しで始まる。
氏によると、通し番号順に聴いていく方法では、必ず途中棄権する、多くの人が失敗している、とのこと。
(私は、番号順に何度も聴いていて、別に失敗はなかったが)
氏のお薦めは、2011年6月にパシフィカ・クァルテットが行った全5回の公演の配列なのだそうだ。
第1回 3番、11番、6番、16番
第2回 12番、1番、9番
第3回 5番、8番、13番、大フーガ
第4回 2番、7番、14番
第5回 4番、10番、15番
そうですか、こういう順番ね。
初期を各回前の方にもってきて、最後は後期を配置する、という原則のようだ。
ところで、今月始まった、クァルテット・エクセルシオの全曲チクルスが、同じく全5回。
こちらはこうなっている。
第1回 11番、9番、12番
第2回 10番、8番、16番
第3回 7番、大フーガ、13番
第4回 1番、2番、3番、4番、5番、6番
第5回 14番、15番
うーん、ずいぶん違いますねえ。
初期6曲は番号順に一気だし、14番、15番という大物2曲を最終回にまとめて演奏、というのもまったく異なるコンセプトだ。
パシフィカ・クァルテットが、13番のフィナーレをどうしたかが、渡辺氏の文章では不明なのだが、クァルテット・エクセルシオは、まず大フーガを演奏し、休憩をはさんで、13番をアレグロのフィナーレで演奏するようだ。
なかなか興味深い。
自分なりの配列で、5回か6回の演奏会のプログラムを組み立ててみるのも面白いかもしれない。
<追 記>
クァルテット・エクセルシオは、2016年にサントリーホールのブルーローズでベートーヴェンの全曲演奏会を行っている。
その時はこうだった。
第1回 2番、11番、6番、12番
第2回 5番、10番、13番、大フーガ
第3回 4番、7番、16番
第4回 1番、9番、14番
第5回 3番、8番、15番