昨14日(金)、五月場所6日目。
NHKのテレビ放送の中で、この日の話題として大鵬の引退をとりあげていた。
大鵬が引退したのは1971年(昭和46年)五月場所。私は入学したばかりの高校1年だった。
前日に貴ノ花に敗れての引退発表。優勝32回、6連覇2回の圧倒的な成績を残した横綱の落日は大きな衝撃だった。
昨日は、その大鵬引退からちょうど半世紀、50年にあたるということでの特集だったが、正面解説は北の富士さんで、あれこれの話題で盛り上がった。
大鵬最後の貴ノ花戦の映像はもう何度観たかわからないが、引退相撲での大鵬の土俵入り(太刀持ち玉の海、露払い北の富士。思えば玉の海はこのすぐ後に急逝する)や、鋏を入れる北の富士の映像は貴重なものだった。
特に、大鵬が引退を発表した日の相撲中継の模様が興味深かった。正面放送席が神風正一さんと北出清五郎アナ、向正面に、元柏戸の鏡山親方と元若乃花の二子山親方。神風さんのあの明快な語り口が懐かしかった。
そうか、大鵬の引退から半世紀か、と感慨深く振り返っていたのだが、実はこの日の企画はこれだけでは終わらなかった。
しばらくして、吉田賢アナが、この大鵬の引退から20年後の5月14日に、もう1人の大横綱が引退している、と話し始めた。
千代の富士だった。
千代の富士の引退は、1991年(平成3年)の五月場所。確かに大鵬引退から20年後だ。
しかし、それが同じ5月14日のことだったとは知らなかった。北の富士さんも知らなかったと言っていた。
相撲の場合は、日頃、○年○月場所の○日目、という見方はしているが、それがカレンダーで何月何日のことなのかはまったく意識がない。
調べてみた。
大鵬引退の1971年5月14日は、金曜日。
この場所、大鵬の星取はこうだ。
● 栃富士
○ 高見山
○ 龍虎
○ 藤ノ川
● 貴ノ花
■ 福の花
初日が日曜日だから、金曜日が引退ということは、不戦敗となる6日目の引退発表だったのだろう。
一方、千代の富士引退の1991年5月14日は、火曜日。
この場所、千代の富士の星取はこうだ。
● 貴花田
○ 板井
● 貴闘力
■ 大翔山
火曜日が引退ということは3日目、貴闘力戦で敗れた後に発表し、翌日不戦敗だったのだろう。
もう語り尽くされているが、大鵬は貴ノ花に敗れて引退し、貴ノ花は千代の富士が台頭してくる中引退し、千代の富士はその貴ノ花の息子に敗れて引退した。
昨日の放送で、北の富士さんが語っていたところによると、あの場所初日、貴花田に敗れた時点で千代の富士が引退を決断しただろうと考え、九重親方(北の富士さん)は、それを言いに来るのを待っていたのだそうだ。しかし、そうはならず、明日も取ります、ということで翌日以降も出場した。
北の富士さんによれば、「もう1つ勝ってから辞めたい」と思ったのではないか、とのことだ。
それにしても、同じ日に、20年という区切りのいい間隔で、大鵬、千代の富士という大横綱が引退したとは、偶然に過ぎないとは言え、面白い話題だった。
(ちなみに北の湖の引退は1985年(昭和60年)一月場所。5月ではなかった)
さて、戦績の面で大鵬、千代の富士を上回る白鵬の引退はいつになるのだろうか。
来年の5月14日は五月場所の7日目である。
まさかそこまでの符合はないだろうが。
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相撲を見るのも大変なんですよ~その2(続き) 一生言われ続ける宿命の話
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