6日(金)、新国立劇場オペラパレスで行われた、東京二期会オペラ劇場の「コシ・ファン・トゥッテ」を観に行った。
(主催側は「コジ」表記)
●東京二期会オペラ劇場 コシ・ファン・トゥッテ
日 時 2024年9月6日(金) 13:00開場 14:00開演
会 場 新国立劇場オペラパレス
指 揮 クリスティアン・アルミンク
演 出 ロラン・ペリー
プログラム冊子から。
「コシ」は、今年6月、同じ新国立劇場オペラパレスで、新国立劇場としての公演を観た。
今回の公演は、「シャンゼリゼ劇場、カーン劇場、パシフィック・オペラ・ヴィクトリアとの共同制作」と銘打たれており、新国立劇場で4日間上演された後、三重、岡山をまわる。
東京オペラシティのTEXASで昼食をとって、新国立劇場へ向かう途中、HUBの前を通りかかったら、店頭に千葉ロッテマリーンズの小島投手と荻野選手のユニフォームが。何故?
私の席は、4回L4列5番。オケピットも見下ろせるし、いい席だった。
平日の午後公演だからやむを得ないかもしれないが、場内はガラガラ。1階席はそこそこ入っていたが、2階、3階は前の方だけに人が座っている状態だった。
オケは、わかった限りで、ヴィオラ8、チェロ6、コントラバス4。一番下手側にフォルテピアノが置かれていた。
6月の新国立劇場は、キャンプ場を舞台にした設定だったが、今回の東京二期会も翻案もので、レコーディングスタジオが舞台になっている。
フィオルディリージとドラベッラがドアを開けてスタジオに入ってきて、ステージ奥に置かれたソファに座る。
最初の男声三重唱が始まる。
下手側からフェランド、ドン・アルフォンソ、グリエルモと横に並び、マイクに向かって歌う。最初は椅子に座っていて、歌う時は譜面台の高さを上げながら立ち上がる。
女声2人に入れ替わって、ドン・アルフォンソとの三重唱。
以後も同様の演出だ。
デスピーナはスタジオのスタッフの体。遠目には濱田マリに見えた。
歌わない人物が数人、椅子や譜面台やマイクを移動させるなど、舞台転換に随時関与。
3ヶ月前に聴いたばかりだが、「コシ」は楽しいなあ。それにしても、モーツァルトのオペラとは、何という音楽だろう。
幕間。コーヒーを飲む。
2幕では、場面がスタジオから別のものに変わったわけではないが、装置の移動は適宜行われた。
フィオルディリージとドラベッラが、途中腰に白い羽根のようなものを着ける。ほどなくはずしたが、これが、彼女たちにとっての新しい男たちに傾いていく分かれ目のように思えた。
フェランドの口説きを一旦は退けたフィオルディリージが歌う25番のアリアはとてもよかった。
その後の、ドラベッラの裏切りに憤るフェランドのアリアもよかった。
結局、フィオルディリージもフェランドに陥落してしまうが、その後の二重唱は、あまりにも幸福感にあふれすぎてはいないか、と感じた。お互い葛藤の末の結論であるには苦味がまったくないような気がする。演出の問題でなく、オペラの音楽そのものの話だ。
これでいいのか、モーツァルト?
さて結婚式となったが、その途中で、本来の恋人たちが戦地から帰還してくることがわかってからは、これも演出ではなくオペラそのもののことだが、女性2人が悪者となってしまい、罪悪感にさいなまれる形になる。
ストーリーの本質に関わる話だが、何か気の毒な気がする。そもそも男3人が仕組んだ計略にはまっただけなのに。
ラストの六重唱は全員椅子に座ったまま歌い、最後、スタジオ中央にある、地下(?)につながる階段から、ドン・アルフォンソが姉妹に突き落とされるオチ。
ここで女性側が溜飲を下げた形か。
6月の公演より、今回の東京二期会の方がよかったような気がした。
ところで、宇奈月オペラではモーツァルトの4大オペラを順番に演奏してきた。ローテーション通りだと、次回は「コシ」(2回目)の順番になる。
前回の「魔笛」は残念ながら参加できなかったが、今度の「コシ」は是非弾きたいものだ。
新国立劇場、次はこれを観に来る。ベッリーニのオペラは、実演もレコードもこれまで一度も聴いたことがない。
※「ぶらあぼ」のレポート記事。ステージ写真が多数見られます。