naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

1月場所12日目

今日のNHKの放送は、国会中継のため、17:05からの放送。
放送が始まると前半戦最後の取組だったので、休憩に入ったところで、前半戦の相撲を連続リプレイで見せた。
国会などで中継開始が遅くなることはこれまでもあったが、その場合でも、放送できなかった取組は、取組の合間に少しずつ見せていた。
連続リプレイでかたづけられたのは初めてのように思う。
連続リプレイだと、ちょっと相撲が長いと編集で途中がカットされてしまうので、そこが不満。特に長い相撲を途中省略するのはやむを得ないにしても、以前のように一番ずつきちんと見せてもらいたかった。

稀勢の里は、栃栄の変化に落ちることなく、よくついていった。星も五分に戻し、残り3日、苦しいだろうが、何とか勝ち越してもらいたい。

若の里が勝ち越し。8勝4敗は負け過ぎだ。この人がこの位置なら、北勝力時津海に代わって優勝争いに割って入っていてもおかしくはない。

3敗に後退したとはいえ、北桜は勢いがある。出島をいい形で下した。

時津海露鵬は期待の一番。右四つに渡り合うことは間違いないが、どういう展開になるのか注目された。
立ち合いは露鵬がなかなか手を下ろさず、時津海がじれる場面があったが、立ってからは時津海の相撲。
時津海は、今場所の露鵬の相撲を見ていて、左上手をとらせないことだけを考えていたようだ。
自らは、立ち合いに素早く左上手をとり、すぐ左に動く形(放送で言っていた、立ち合いに変化、というのは正しくないと思う)で、終始自分のペースで快勝。露鵬にはいいところがなかった。

北勝力黒海の一番は、立ち合いがさらによくなかった。
自分のテンポでしか立てず、何度もつっかけた北勝力、手をなかなか下ろさずじらしにかかった黒海、どっちもどっちで、ある程度のかけひきは面白く見たいと考える私の目から見ても、見苦しいものだった。
立ってからは、北勝力の変化であっさり決まった。
黒海側から見ると、あれだけじらすかけひきをするなら、立った後どうするかを考えないといけない。じらしただけで、立ってからの作戦がなかったように見えた。
北勝力の変化もほめられたものではないが、日頃から、自分のペースで突っかけ気味に立つ相撲しかとっていないので、リズムを崩されると自分の相撲がとれない。身から出た錆である。
しかしともかくも1敗は守った。

玉乃島雅山を破った。栃東戦であれだけの相撲をとった雅山であれば、ケガ人の玉乃島に勝てないのは不可解だが、玉乃島も肩の調子がそれなりによくなってきたということか。

琴光喜が勝ち越したが、内容はまったく駄目。
立ち合い左に変わったが、自分より小さい垣添に、どうしてこういう立ち合いをするのか。
これがあるから、この人は成績が安定しないのだ。信用できない。
垣添に徹底して厳しく攻められたが、最後は地力の差が出た。
垣添からするとめいっぱいとって、敗戦も仕方がないというところ。
勝ったとはいえ、琴光喜の方にはまったく見るべきものがなかった。

栃東安馬を落ち着いて下した。
初顔のこの一戦、安馬が勝つとすればどういう展開か考えたが、イメージがわかなかった。
栃東は、小さい相手をさばくのがうまいからだ。かつての先代貴ノ花もそうだった。
やはりそういう展開。安馬は低く当たってかきまわして突破口を見出そうという相撲だったが、栃東によく見られた。
やむなしというところ。明日は横綱戦で、見る方としては楽しみだが、ちょっと気の毒な気もする。取組編成とすれば、大関2人の休場で明日横綱に下位をあてなければならないのなら、北勝力をもってくるべきではないか。


琴欧州は、もうすっかり迷いなし。
立ち合い右を差したものの、本来突き押しの岩木山がいい右の返しを見せたので、左上手がとれなかった。
意外な一瞬ではあったが、ともかく組んだことで、気持ちに余裕はあったのだろう、すぐ上手をとったし、以後の流れは問題なし。左上手で決めたが、岩木山の崩れ方を見ると、琴欧州の左からの引きつけがよほど強かったのだろう。

そして今日一番注目の朝青龍白鵬
白鵬が土俵下で、ふだん見られない気合いの入った顔をしていた。
力量としては接近していると見られながら、過去の対戦成績は横綱の6勝1敗。
相撲のたちからすると、けんか四つ。横綱の左は堅いので、白鵬と言えども右四つに組み勝つことは容易ではない。
ここ2日間のような、腰を落として左上手をとりにいく立ち合いをして、仮に左上手をとれたにしても、問題は、白鵬の右と横綱の左の攻め合いとなる。左の堅い横綱だから、どうかすると二本許す可能性もある。
むしろ白鵬としては、上背に勝ることをいかして、突っ張りにいって、動きの中で形を作る方がいいかもしれない。
そんな展開予想をしながら、時間一杯。
白鵬は組みに行ったが、左上手はとれず、横綱が左から攻めていく形になった。
しかし、ここからが白鵬の本領で、下がりつつ左から小手に振って、得意のかわし気味の流れで決めた。
身体の柔らかさで勝った相撲だ。
朝青龍は、右腕を気にしていた。肘がきまったか、どうかすると負傷の可能性もあるようだ。
横綱側からすると、白鵬に左上手を許さなかったのはよかったので、左から根気よく攻めて二本差して、充分な形を作ってから出るべきだっただろう。
普通の相手なら、スピード、動きで翻弄できただろうが、足腰がよく、身体の柔らかい白鵬ではそうはいかなかった。
この二人の今後の対戦を考えると、相撲界の勢力地図を面白くするためには、五分に戦っていってほしいと思う。
ただ、今日で横綱の6勝2敗とまだ差があるし、白鵬の勝った2番は、いずれも離れて動いている中で勝機を見出す形であった。フロックとまではもちろん言わないにせよ、流れの中でつかんだ勝利には、どこか、はずみで勝ったという要素もある。現状では、来場所以降、この対戦で白鵬横綱を破ることは、その都度期待できるとしても、まだ力と力の勝負で互角に渡り合っての勝ちを毎回期待するところまではいかないように思う。まだ、白鵬が、横綱にとっての強敵である、という感じまではないのだ。
白鵬が、立ち会いからの序盤、身長をいかした上突っ張りで主導権を奪い、低く腰を沈めながらガチッと右四つ左上手の形を作る、という展開ができるようになれば、と思う。
本能のままに相撲をとっている朝青龍に比べて、白鵬の方がセンスにおいて勝ると思う(そこが、力を全開せず、余裕をかまして相撲をとりたがるうらみにつながっている)。
白鵬が更に地力をつけて、そのセンスを生かした相撲をとるようになったら、横綱としてもそう容易に勝てる相手ではない、という形になるだろう。
朝青龍琴欧州戦は、現時点で既に横綱としてもそう簡単に勝てる相手ではない、という期待が持てる。
琴欧州白鵬の地力に大きい差があるとは思わないが、体格や相撲のたちがそうさせているところはある。
白鵬は、遅かれ早かれ大関には上がる器だし、長期的に見れば、横綱昇進の可能性は、琴欧州と五分五分だと思う。
早く朝青龍琴欧州に並んでほしい。常に3人で優勝を争うようになれば本当に楽しみだ。

11日目を終わって、1敗が栃東北勝力、2敗が朝青龍琴欧州白鵬時津海
1敗の2人が残る3日無敗でいくとは思えないので、優勝ラインは2敗と見る(3敗の可能性もあるかもしれない)。
誰が、というのは今日の段階ではまだ難しい。三役の4人が優位だとは言えるが。明日1日終われば見えてくるだろう。