naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所12日目

今日の若の里は、立ち合いに上体が立った形になり、これはどうかと思った。
やはり豪風の当たりをまともに受けてしまい、押し込まれたが、辛うじてはたいて2敗を守った。
ほめられた相撲ではない。まあ、豪風も好調ではあるが、やはり地力の差を見せてほしかったところ。

北桜垣添は興味深い顔合わせだったが、北桜が完勝。
垣添は突き起こしの戦法に出たが、北桜が立ち合いすぐ右をうまく差したので、こうなれば体力差が物を言う。一方的な相撲になった。

高見盛時天空をつかまえられなかった。
やはり今日も上を向いて相撲をとっているので、時天空の突きに主導権を握られてしまう。
足腰がよく、筋力もある高見盛が、安定して星をあげられないのは、やはりアゴが上がっているからではないか。
アゴを引いて頭を下げての相撲を覚えるといいと思うのだが。

旭天鵬はやはり実力者だ。
稀勢の里は、いい当たりだったし、本人なりに考えたのだろう、ちゃんと上手をとって出ようという気持ちはあった。
ただ、左下手が不充分だった。そこを旭天鵬に突かれた形。
有望株と言われながら、厳しい表現をすれば、まだ四つ身の形が下手だ。

安馬は、出島相手に、今日は当たっておいてから体をかわす相撲。
安馬としては珍しい。
しかし、今場所ここまで、余りにもまとも過ぎると思える面もあった。
こういう相撲をとってもいいと思う。相撲に幅が出るし、相手も警戒する。
飛んだり跳ねたりの相撲はとってほしくないが、当たっておいてのある程度の変化はいいと思う。

露鵬黒海は、レスリングを思わせる頭四つの相撲になった。
どうせ二人とも、どこかで引くことを考えているだろうと思って見ていたが、最後までそういうところがなく、攻め合う形になったので、なかなかめったに見られない面白い相撲になった。
なかなかよかった。
(ところで、「頭四つ」のことを、NHKのアナウンサーは「ずよつ」と言う。私は昔から「あたまよつ」と言うものだと思ってきたのだが、「ずよつ」が正しいのだろうか?)

今日の琴光喜は、今場所最高の相撲で勝ち越し。接触した瞬間にもろざしになり、千代大海を圧倒。この流れでは、大関もどうにもならない。

琴欧州安美錦は、激しい動きとなって物言い。
琴欧州とすると、これだけ動けるので、まあヒザも回復してきているか。
上背の差があるので、がちっとつかまえてしまって、吊るような形が一番よかったように思うが、今日は離れての相撲に行った。
取り直しの判定には疑問の余地がある。
確かに琴欧州は裏返って落ちたが、安美錦も土俵を飛び出し、体がない。
琴欧州は、落ちながら相手の足を払う器用さも見せており、大関の勝ちでもよかったように思う。
取り直しの一番は、張り差しが空振りとなったが、すぐに左前まわしがとれたので、琴欧州としても、まあ安心してとれただろう。
安美錦のかきまわしはあったが、ここでも足をとるうまさを見せた。
つかまえたら、投げにいくのでなく、まっすぐ出る相撲を望みたかった。
最初の相撲も含め、ちょっとばたばたした感がある。
しかしともかくこれで9番。2ケタも見えてきた。

昨日横綱を倒した白鵬が、まさかの1敗。
立ち合い2度つっかけた。それも自分が先に両手をついた形からのつっかけなので、おかしいと思ったが、やはり、昨日単独トップに立ったことが、却って精神的には重圧になったのだろう。色気が出たということだ。
ここ何日か、場所当初のような、低く出て左前まわしをつかむ立ち合いができていないことは気になっていた。今日もそういう立ち合いができなかった。
昨日の横綱戦も同様で、それでああいう勝ち方ができた、臨機応変な対応をすごいと思っていたが、今日はまったくだめだった。昨日とは別人だ。
その後も自分の相撲を完全に見失ったとり方。
白鵬がどうしようとしたのか、まったくわからない。
ただ、相手の顔近くを突っ張るだけで、前に出られない。むしろ下がり気味だった。
何のために突っ張ったのかわからない。
正面解説の陸奥親方が「引くための突っ張り」と評したが、本当にその通り。
最後は引いての自滅。
一方の栃東も、昨日とは別人。本来の低い姿勢に徹して勝ちをつかんだ。

これだから、相撲は難しく、見ている方にしてみれば面白い。
それにしても、今場所、「まさか」「どうしたことか」という相撲が多い。

結びの朝青龍魁皇は、今場所の状態からは順当な結果。
立ち合い左四つに組んで、魁皇としては、右から絞れば局面が開けるという格好であったが、やはり今場所の調子では、それができない。

白鵬のまったく意外な相撲の崩れで、単独トップは1日で終わり、朝青龍と1敗で並ぶ結果となった。
残り3日。昨日は、これで白鵬が断然有利、全勝優勝もありうると思っていたのだが、また局面ががらりと変わった。
気持ちの面では、経験豊富な横綱が、よし、という感じになっただろう。
大関は確定したとは言え、優勝経験のない白鵬、切り替えて残り3日を、前半戦のような相撲でいけるかどうか。対戦相手は、白鵬に分があるとは思うが、今日のところは、横綱が一歩前に出たような気がする。