naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

演奏終了後の「間」~クライバーのベト7

病院からの帰り、カルロス・クライバーベートーヴェンの7番を聴いた。

最近オルフェオから出た、82年、バイエルン国立歌劇場でのライブ録音である。

クライバーのベト7は、86年の来日公演で聴く幸運に恵まれたことがある。
圧倒された。

このレコードを聴いて、いかにもこの指揮者らしいドライブ感を楽しんだのはもちろんなのだが、一番印象に残ったのは、終楽章の終結の和音が打ち鳴らされて、拍手が出るまでの「間」である。

これが、編集上作られたものでなく、当日その会場でのタイミングそのままだったとすると、日本ではありえないことだ。

何しろ指揮者がクライバー、しかも曲がベト7である。
日本なら、曲が終わることを惜しみつつ音楽を味わうのでなくて、コーダに入ったあたりから、いかに真っ先に、あるいはいかにいいタイミングでブラボーを叫ぶかばかりをひたすら考えていたような輩が、まさに間髪を入れずに、「ウォー」と怒号にも似た大声を競い合ってがなりたてる筈なのだ。

それが、このバイエルンのお客さんは・・・。

拍手が始まってからは、ブラボーのコールはやかましい。
しかし、音楽が終わった瞬間は、しばらく静かだった。
すばらしい。

日本ではおそらくこういう場面には私は一生遭遇しないだろうな、と思う。