naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

東京小旅行⑥~感心な子供たち

花火の余韻に浸りながら、神宮球場を後にして、とりあえず外苑前駅の方に歩く。

来る時と違って、車道は歩行者天国状態になっていたが、ところどころ、ビニールシートを敷いて花火見物をしていた団体がまだ撤収せずに、酒盛りを続けていたりする。それをよけながら、大変な人混みの中をぞろぞろのろのろと歩く。

246号の大きい交差点まで来ると、外苑前駅は入場規制をしているという。
表参道や原宿まで歩く元気はないし、タクシーも拾えそうにない。

ここは、人波が引くまで、どこかで時間をつぶすことにした。
球場では、ビールを飲みながら、持ち込んだ焼き鳥とスモークタンをつまんだが、当然物足りない訳でもある。

店を選んでいる余裕はない。
最初に入ろうとした店では満席と断られ、それでは、と奥まった路地に入っていき、ともかく座れそうな店、ということで入ったのが、Tという店だった。

そう広い店ではなく、ここも我々が入ってすぐ満席状態になった。

カウンターの中の厨房には、マスターとその奥さんらしき人だけ。
この客の数では、頼んだ料理が遅かったり来なかったりということがないか、一瞬不安になった。

しかし、よく見ると、マスター夫婦の他に、子供が二人働いている。
おそらくマスター夫婦の子供なのだろう。
二人ともおそらく小学生。
姉と弟に見えた。姉は宇多田ヒカル似。
この子供たちが、実によく働くのだ。注文はとっていなかったが、できた料理を各テーブルに手際よくてきぱきと運んでいる。

夏休みでもあるし、今日は花火で忙しいだろうから、ということでこんな夜に店を手伝わされているのだろうが、いやいややっているという感じが全然なく、本当に真面目に一所懸命働いているのだ。
感心した。とても偉いと思った。

料理の方も、決して遅いことはなかったし、それ以上にとてもおいしかった。

ということで、まったく行き当たりばったりに入った店だったが、大変感服して出たのだった。
既に先刻の人混みは嘘のように消えており、通りかかったタクシーをつかまえて、ホテルまで戻った。

いい店だったので、実名を書いてしまおう。「季節料理 田くま」という店です。