９月場所12日目

寶智山は、今日も土佐ノ海に敗れ、５連敗で負け越し。
やはり今日も、相手に存分に相撲をとられている。地力の問題もあろうが、一面では相手に対する研究不足もあるのではないか。

豊真将は、正面解説が師匠だったからか、今日は朝赤龍相手に、立ち合いの踏み込みがあった。
その後も左を差して右からおっつけ、よく前に出た。今日はよかった。

琴奨菊は、今日も左四つに組み、いい上手をとった。
左下手がとれなかったため、早く決められなかったが、最後は二本差して万全。
上手をとる右手のケガがありながら、よくこれだけとれるようになったものだ。
７勝目。勝ち越しも見えてきた。

３敗同士の普天王と安美錦は、終始安美錦ペースの相撲。
左四つになったが、普天王の上手を徹底して嫌い、投げでふりまわして後ろについた。
普天王としては何もできず、翻弄されっぱなしの一番。

楽しみな稀勢の里と黒海の一番は、稀勢の里の完勝。
今日の黒海は、当たってはいったが、突き離せなかった。
一方の稀勢の里は、立ち合いすぐに左を差し、右上手も速かった。
稀勢の里としては、今場所、横綱戦に並ぶいい相撲。
これで７勝５敗。勝ち越せば殊勲賞は間違いないだろう。

雅山は、昨日６敗して大関昇進が消えたことでふっきれたか、時天空にいい相撲をとった。
立ち合いの当たりもよく、その後すぐいなしにいったのは感心しないが、突きの威力は相手にかかる圧力充分で、今場所の中ではよかった。

琴光喜は、勝つには勝ったが、なぜ不調の旭天鵬に、立ち合い二本差して攻めながら、左四つになってしまうのか。
これまでも書いてきたことだが、この人に、安馬のように自分の相撲に徹する厳しさがあれば、と思う。

因縁の千代大海＝露鵬戦。
露鵬としては、勝つなら組みにいった方がと思って見ていたが、立ち合い当たった瞬間に左上手をとり、右も差した。
千代大海は突きにいったが、それ以上に露鵬の左上手と右差しが速かった。
大関としては苦笑するしかない完敗で、勝負がついた後は先場所とは全然違う雰囲気だった。

１敗の安馬と、まさかの４敗で優勝も横綱昇進も完全に消えた白鵬の対戦。
今場所の白鵬は、組んでの相撲がとれていないし、離れた相撲に安定感がない。
安馬としては、離れきった相撲をとれば、勝機もあると見ていた。
やはり安馬は立ち合い突きにいったが、突きながら差しにいく構えを見せた。
一方、白鵬は、小さい相手だけに余裕があったか、今日の突きはどこかでつかまえようという感じが見えた。
相手をよく見ての突きがよく、ねらい通りに右四つに組み止めて万全の形。安馬が半ばあきらめた感じで白鵬のつりに土俵を割った。
安馬としては、突く中で差しにいくよりは、いなして崩すことを考えた方がよかったのではないか。
体格に勝る白鵬相手に、常に正対しながら突き合ってはさすがに分が悪い。
大関戦を一つはずして明日組まれた横綱戦を前に２敗となってしまった。
白鵬はともかくこれで勝ち越し。雅山同様、ふっきれたか。

琴欧州は、今日も不安定な相撲。流れがよくない。
岩木山に立ち合い張り差しにいったが、岩木山が右差し手を返し、二本差した。
琴欧州としては予想外だったか、あわてた感じがあった。必死に右をまきかえて右四つに持ち込み、寄って出た。しかし、腰高のため安定感がなく、土俵際でふられてぐらついた。
何とかそれでも勝つには勝ったが、今場所初めに見せていた復調気配はまったく影をひそめてしまった。
これで一応７勝５敗。昨日の不戦勝と、横綱戦がたぶん飛ぶだろうから、勝ち越しは見えた感はあるが、さみしいレベルの話ではある。

この時点でただ一人１敗となった朝青龍は、今場所のこれまでの状況からは、一番てごわいと思われる栃東戦。
明日わざわざ組まれた安馬戦が盛り上がるためには、その安馬が２敗となった以上、復調著しい栃東に、横綱を破ってもらって、２敗同士の対戦になることが期待された。
時間一杯からの仕切りで、横綱の方が嫌った。やはり、対戦成績から見て一番やりづらい相手で、立ちづらいのか、と思った。
しかし、立ち上がってからの相撲は万全。
立ち合いの攻防から右四つ。さすがに上り調子の栃東が組み勝ったと思われたが、右下手がとれない。
一方の横綱は、右四つながら両まわし充分。
栃東に右下手をとるすきを与えず、右下手から投げ捨てた。
今日も横綱は止まる場面がなかった。さすがと言うしかない。
調子を上げてきた栃東とは言え、やはり一歩力及ばなかったという感じだ。

１敗　朝青龍
２敗　安馬
３敗　露鵬、安美錦、北勝力

とうとう朝青龍が単独トップ。
３敗までの力士で、朝青龍と直接対戦があるのは、明日の安馬だけ。
安馬が何とか金星をあげてくれれば、盛り上がるだろうが、可能性としてはやはり高いとは言えない。
残り２日は、白鵬、千代大海、琴欧州の中から２人となるが、この３大関の今場所の調子では、横綱に勝つことは期待できない。
やはり、横綱の連覇でほぼ決まりだろう。