naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

NHK交響楽団演奏会

第1578回NHK交響楽団定期公演 Bプログラム1日目


いいプログラムだ。
ベートーヴェンのシンフォニーで2曲プロを組むとしたら、2・7、5・6あたりと並んで最も魅力的な組み合わせだと個人的には思う。

2番は、12型。
聴いていて、月並みなことではあるのだが、ベートーヴェンは、モーツァルトとは別の道を切りひらいた人だと改めて痛感した。
モーツァルトが最後の3つの交響曲を書いたのが、1788年。
ベートーヴェンがこの2番を書いたのが、1802年
14年しかたっていない。

モーツァルトが、35年の短い生涯とはいえ、その最後の到達した境地。
そして、ベートーヴェンにとっては、2番というのは32歳の時の作品ではあるが、まだ初期の作品。

モーツァルトが到達した地点の、更にその先その上をいく作品とはいえないが、モーツァルトとは別の道を早くも切りひらいた作曲家の作品、ということを、改めて感じさせられた。
モーツァルトが絹の手ざわりなら、ベートーヴェンは木綿の手ざわり。
気取らず飾らず、しかし、自分の感情をありのままに吐露した、素の魅力。
(モーツァルトが飾っていたか、素のままでなかったか、と言われると困るのだが)

この2番は、おそらく、ハイドンモーツァルトの音楽に慣れ親しんだ聴衆にとっては、とてもアバンギャルドな音楽に聴こえた筈だ。
結局、ベートーヴェンの9曲は全部そうだ、ということになるが。

休憩時、ロビーでビールを1杯。やっぱりこれが楽しみだ(笑)。

そして「エロイカ」は、16型。
浦安の弦トレーナー、Y先生の顔が見える。2番は降り番だったようだ。高弦分奏で3日前にお会いしたばかりだが、先生、床屋に行かれたようだ(笑)。
低弦のトレーナーのK先生(チェロ)、そして面識はないのだが、「音楽現代」の連載をいつも楽しみに読ませて頂いている、ヴィオリンの鶴我裕子さんも。

2番の後に3番を聴くと、一つ次のシンフォニーでありながら、もうこれは、2番とは更にまったく「別もの」の世界だと、これも月並みだが、改めて思わされる。
2番も充分前衛的だっただろうが、この3番に至っては、あまりにも破格の音楽として受け取られただろう。
すべての作曲家の中で、モーツァルトがナンバーワンと考える私だが、やっぱり、ベートーヴェンもすごい、と感じさせられた。

編成が大きくなっただけに、オケがよく鳴っていたと思う。
個人的には、2番もこの編成で聴きたかった。
この「エロイカ」、ホルンがかなり強調された演奏だった。指揮者の好みなのだろうか。

演奏が終わって、Y先生が笑顔を見せておられた。満足のいく演奏だったのだろう。