naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

太田胃散

今、テレビで太田胃散のCMをやっていた。長嶋一茂が出ているやつだ。

太田胃散のCMでは、昔からショパンのプレリュードの何番だっけ、イ長調のやつ、あれが使われている。

個人的な体験を言うと、私は、この曲は太田胃散のCMのための音楽だとずっと思っていた。
ショパンのプレリュードを知らなかった訳だ。

ショパンのプレリュードというものを初めて聴いたのは、大学3年の時、76年のことだから、ちょうど30年前になる。
ポリーニのレコードが出たので買って、初めて聴いた。
1番のハ長調からずっと聴いてきて、イ長調のこの曲が出てきた時は、ほんとにぶったまげた。
「これ、太田胃散じゃねえか」

しかも天下のポリーニだし。ぶったまげつつも、可笑しかった。

しかし、こういう形での、曲との出会い方って、困りますよね。

最近だと、やはり「オー人事オー人事」の、チャイコフスキーの弦楽セレナーデ。
私と同じように、原曲よりも先にCMであの1楽章の出だしを知った人が、初めて「チャイコフスキーの弦楽セレナーデ」を聴いたとしたら、曲のド頭だけに、これはすごいインパクトだろうな、と思う。特にそれが生の演奏会ででもあったりしたら。

まあ、あの会社のCMは最近見かけないから、だんだんにそういう刷り込みもなくなっていくかもしれない。
しかし、太田胃散は、少なくとも30年以上前から、今に至るまで、ずーーっと、同じ曲をCMに使い続けている訳だ。
それだけに、その後も、ポリーニや、その後出たアルゲリッチのレコードでプレリュードを聴くたびに、「あ、太田胃散」と思うことになってしまう。
ついでに言うと、「ありがとう。いーい薬です」のコピーも、昔から変わらないので、このせりふが頭の中に鳴るのも避けることができない。

私の人生において、太田胃散を思い出すことなしに、この曲を聴くということはできないのだろうな、と今ではもうあきらめている。