11月場所５日目

玉春日と豊ノ島は、互いに低く頭をつけ合って、しぶとさ合戦となったが、豊ノ島が我慢勝ち。見ごたえのある相撲だった。両者４勝１敗。

鶴竜は、土佐ノ海の馬力のある突き押しを、土俵の丸さをうまくいかしてかわした。
新入幕で４勝１敗は上々。

豊真将は、今日も相変わらずの相撲。立ち合い当たったが、玉乃島に押されて下がった。
しかし、その後は低い姿勢からおっつけて差し、前に出た。
今日も、途中からはいい相撲だったが、序盤の攻めが物足りない。

４戦４勝の朝赤龍は、栃乃洋との対戦、立ち合いすぐに左四つ。栃乃洋にとっても充分の四つだが、朝赤龍は頭をつけて食い下がり、相手の左を警戒した。
機を見て右からの出し投げで決めたが、朝赤龍のうまさが光った。全勝キープ。

全勝の垣添に土。立ち合い当たっていったが、春日王のかちあげからのつきおとしに崩れた。垣添としては惜しい一番。

把瑠都と出島は、出島が低くいい当たりを見せたが、押し込んだのはむしろ把瑠都の方。
あとは長身をいかして、距離をとりつつはたいた。決め方はいつもの把瑠都流だが、立ち合いからの攻めがあった点、今日の相撲は評価していい。

琴奨菊は、立ち合い素早く旭天鵬に二本入って、がぶって一気に出た。この人らしいいい相撲で初日。

稀勢の里は、立ち合い右上手をとるのは早かったが、黒海の当たりもよかったため、その右上手は一枚、また左下手をとれず、充分な体勢を作れなかった。
黒海は頭をつけて防戦の構え。しばらく動きが止まったが、機を見て黒海が右からおっつけて出たところ、稀勢の里が余裕をもって左からすくって決めた。
稀勢の里としては、決していい内容とは言えない一番だったが、それでも勝ったところに、むしろ地力がついてきていることを感じた。

琴光喜は、豪風相手に右が差せず、右から小手にまいてかわした。
自分より小さく、地力の差も相当ある相手に、差し負けたのはいただけない。
一応全勝で序盤戦を乗り切ったが、内容的にはムラがあり、評価できない。ＮＨＫの正面解説の高砂親方は、多彩な技が出ていて琴光喜らしいと評していたが、賛同できない。
出だしはよくても、中盤終盤に崩れて終わってみれば８勝７敗というのがこのところのパターンだけに、まだ信用できない。

雅山が安美錦に苦杯。
立ち合い当たっていったが、安美錦の当たってからのうまい変化に後ろを向いた。
頭を下げすぎたというところはないが、もろ手突きがまずかったか。
それにしても、変化相撲は基本的にはほめられないが、今日の安美錦の変化はうまかった。

調子のほどが今一つつかめない魁皇、今日は今場所力強さの目立つ普天王との一番。
結果は一方的。相四つだけに立ち合いすぐ左四つになったのは予想通りだが、魁皇が左を差して右上手も充分。すぐに右からの豪快な投げで決めた。
普天王としては、先に上手をとらないことには対抗できない。
これでカド番のこの場所、全勝で序盤戦を乗り切った。予想以上の成績だ。

栃東と露鵬も期待の好一番だったが、これも大関の完勝。
栃東は露鵬の左上手を嫌う作戦。今日はおっつけにはいかず、立ち合い左に動いて素早く左上手をとりにいった。相手の上手を遠くしておいて、絵に描いたような左からの出し投げ。
思い通りの相撲だっただろう。
１敗はしたが、中盤以降期待できる。

琴欧洲は、立ち合い張って出て岩木山にもろ差し、休まず一気にまっすぐ出ての快勝。
この人の張り差しは、必ずしもいいとは思えないが、ともかく、重い岩木山を持っていけるのだから、前に出る力はある。明日以降も出る相撲に徹してもらいたい。

千代大海は、上すべり気味の立ち合いで、一瞬どうかと思ったが、立ってからの突きがうまく相手に入った。時天空は、終始上体がそってしまって、さすがに残せなかった。

朝青龍と安馬は、期待されたが、安馬が自滅した格好であっけなく終わった。
朝青龍が、立ち合いに相手をつかまえられなかったのは今日も同じで、気になるところだ。
安馬も低く当たってつかまることを避けられたので、これでうまく動ければ突破口を開けるかと思ったが、自分からバランスを崩して手をついてしまった。
この両者の対戦としては凡戦。
どうも今場所の安馬は見せ場を作れない。いいところがない。
一方の横綱も、いい形を作れていない。