naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

11月場所9日目

向正面の桝席に、ずらり一列日本髪の芸者衆。九州場所の風情の一つだ。

昨日の朝青龍のけたぐりについて、モンゴル出身の力士がよくこの技を知っていたものだと書いたが、朝日新聞によると、関脇時代の02年3月場所に千代大海をけたぐりで破っているのだそうだ。

安壮富士北桜は熱戦。
安壮富士は、立ち合いからすぐ左前まわしをとって北桜の右腰に食いつき、すぐまわって出し投げで崩しにいった。北桜もこれをよく残し、めまぐるしい動き。
安壮富士が前まわしを放して北桜の足を払いにいったのがまずく、北桜の反撃を許した。
しかし最後はねばって逆転のつきおとし。
いい相撲だった。

豊真将は、潮丸の強い当たりに後退し、土俵際まで押し込まれた。
しかし、豊真将の場合、常に構えが安定しているので、崩れない。土俵際から押し返しておいてのひきおとし。見事に9日目で勝ち越し。
新入幕の場所から注目してきたが、ここへきて大きく花が開いた感がある。
上位戦を1、2番見たいものだ。

栃乃花朝赤龍も熱戦。
左相四つの両者、左四つになってから互いに自分充分の体勢を求めて見ごたえのある攻防となった。
栃乃花が左を深く差し込み、右もこじ入れてもろ差し。前に出た。
朝赤龍も執念を見せて首投げ。両者赤房下に頭から落ちたが、栃乃花が投げ勝った。
ゼニのとれる相撲だった。

高見盛玉春日に押し込まれたが、すくうように右を差して、一気に寄り返して逆転。

把瑠都垣添は、垣添がもろ手突きからののどわ攻め。
把瑠都にまわしをとられまいと、距離を保つ作戦だったようだが、いかんせん体格の差がありすぎる。
把瑠都は相手の両腕を下からあてがって、根こそぎ持っていってしまった。
これでは垣添としては、どうにもならない。
把瑠都も1敗を守って勝ち越し。相撲内容がよくなってきた。

普天王栃乃洋も熱戦。今日はいい相撲が続く。
この一番も相四つなのですぐ左四つ。そこから互いに力が出る形を求めての攻防。栃乃洋が優位に相撲を進めたが、今場所の普天王は、相手の力を持ちこたえるだけの力強さが身体にみなぎっている。
最後は、得意の上手がとれないままだったが構わず、しかし栃乃洋の左を封じる形を作って、寄って出た。
これも見ごたえのある相撲だった。

露鵬は、岩木山に立ち合い張ってすぐ左に動いての上手投げ。
感心した相撲ではないが、これで5勝4敗と白星先行、本人にとっては大きい白星だ。

琴光喜は、出島との対戦、昨日初黒星を喫して勝ち越しのチャンスを持ち越したことで、意識したか、立ち合い立ちにくそうにした。この人の場合よくあることで、待ったするかと思ったが、思い直して1回で立った。
張って右差し、左からおっつける形になったが、そこからの攻めが遅い。
出島相手に得意の右を差して止めたら、後はどうとでも料理できるはずだが、何故かまったく動かない。
しばらくして前に出たところを、出島の左からのつきおとしに転がった。
じっくり構えるなら、上手をとるなり、右を深く差すなり、有利な形を作ってから出るべきだ。それが今日の相撲は、止まった時と同じ体勢のままで寄っていった。単に時間を消費しただけだ。
2連敗。やはり精神的にタフでないところがあるのか。2連敗したところで明日は横綱戦。恒例の、後半戦崩れる展開の気配だ。

今場所今一つ同士、雅山安馬は、安馬雅山相手に果敢に突き。
雅山も当然突きで応戦したが、威力がなく押し込めない。安馬は機を見て左からいなして後ろを向かせた。5回目の対戦で初めて雅山からの勝利。

魁皇栃東、今場所初めての大関対戦は、栃東の一方的な内容で、全勝の魁皇に土。
栃東は立ち合いから低い体勢で左右からのおっつけ。魁皇に右上手も左差しも許さなかった。厳しい攻めだ。
その後栃東が左からいなすと、魁皇栃東の動きについていけなかった。
予想以上の相撲で無傷の勝ち越しとなった魁皇だが、相手の土俵に攻め込み、前に出る形の相撲がなかった。さすがに大関戦、それも好調の栃東相手だと、そういう相撲では通じなかったということだ。

琴欧洲は、立ち合い安美錦が身体を開いたのにのめってはっとしたが、あわてず左上手がとれたので、そこからは余裕をもってとれた。最後は上手からの投げ。
連敗はしないが、連勝もできない。何とか明日から2、3番勝ってもらいたいものだが。

期待された稀勢の里千代大海は、昨日横綱の思わぬ変化にやられた稀勢の里が、今日はがっかりする変化。
NHKの放送では昨日の相撲で右腕を痛めたという話もしており、それゆえにやむを得ぬ左への変化だったかもしれない。
ともかく、千代大海はこの変化によくついていき、一気の突きで勝ち越し。

この時点でただ一人全勝の朝青龍。全敗の黒海に波乱を期待するのは難しいかと思って見たが、やはり横綱の完勝。
立ち合い朝青龍は右前まわしを素早くとった。今場所一番の立ち合い。
もろ差しねらいから頭をつけ、あとは相手の足をとって崩しての寄り。黒海に突くチャンスを与えず、自分としては思い通りの相撲。勝負にならなかった。
朝青龍もだんだん相撲がよくなってきた。


これで、横綱が単独トップ。調子を少しずつ上げていくと、周囲が脱落していくという、いつもの場所の展開になりつつある。
1敗の平幕2人が横綱と当たる場面はなさそうだから、ここは1敗で頑張っている3大関琴欧洲横綱を食ってもらうことを期待したい。
このまま朝青龍逃げ切りの3連覇では、いかにもつまらない。