11月場所14日目 - naokichiオムニバス

豊真将と玉春日は、豊真将が負ければその時点で朝青龍の優勝が決まるという一番。
豊真将は立ち合い玉春日に押し込まれた。その後もふだんよりは上体が高く、どうかと思ったが、思い直したように頭を下げた。
以後、頭をつけあう形での攻防となったが、最後は豊真将がねばり勝ち。
好調同士の両者、前さばきの応酬は見ごたえのある相撲だった。
これで、優勝の行方は結びの一番に持ち越された。

高見盛は、今場所絶好調。これだけこの人らしい相撲が続くのは本当に久しぶりだ。
皇司が押しにいったが、高見盛が右をさすのが速かった。そして右差し手をすかさずすくうように深く差し、左も差して二本差し。よどみない攻めだった。
これで２ケタ。久しぶりの好調は喜ばしい。この人にはやはり上位でとってほしいが、１月場所はそれが実現するだろう。

朝赤龍に片山は、朝赤龍が攻防の中でいい形を作りながら、再三強引なつりにいったのが悪く、片山にねばられ、最後は投げの打ち合い。
微妙だとおもったが、朝赤龍に軍配。
当然の物言いで、取り直し。妥当な判定だろう。
取り直しの一番は、朝赤龍のはたきがあっさり決まった。

８勝５敗同士の旭天鵬と栃乃花は、一方的な相撲になった。
旭天鵬は立ち合い当たって先に右上手。引きつけて一気の寄り。
相四つだが、栃乃花は何もできなかった。

好取組の把瑠都に琴奨菊は、これも一方的な勝負。
把瑠都は、引っぱり込みにいった訳ではないが、脇は甘い。
琴奨菊が立ち合い素早く二本入れた。左ははずにして一気にがぶって出た。
琴奨菊はこれで９勝。新三役が見えてきた。

安馬と垣添は、本来好取組だが、今場所の両者は成績今一つ。
安馬が左上手を早くとって、右はおっつけの形で、最後は左からの投げで決めた。
しかしこの投げは伸び上がるような体勢で無理に打った感がある。垣添が本調子なら、ついてこられて危なかったかもしれない。
今日のＮＨＫの放送によれば、安馬は場所前から腰を傷めていたらしい。致し方ないところか。
安馬も垣添も今場所は成績が物足りないが、来場所は立て直して、幕内上位にわさびをきかせる存在であってほしいと思う。

露鵬が、出島に立ち合い左から張っておいての変化で勝ち越し。
何とも言いようがない相撲だ。小さい力士なら、時には変化することもやむを得ないが、これだけいい身体をしている露鵬が、いくら調子のいい出島相手とはいえ、これだけはっきりした変化をするのは望ましくない。

時天空が安美錦に、長身を生かした攻めで肩すかし。勝ち越しを決めた。

関脇同士、雅山と琴光喜は、琴光喜の自滅という相撲。
立ち合い、突き合ってから琴光喜がうまくもろ差しになったのだが、雅山がこれをふりほどいて、再度の突き合いになった。
最初の突き合いで、琴光喜はカッとなったか、本来はもろ差しになった時点で一気に決めるべきところ、むしろ自分から再度の突き合いにいった感じがある。
最初の突き合いでエキサイトしていたのかもしれないが、琴光喜はずいぶんムキになって攻め、再三の張り手。
冷静さを欠く相撲で、結局は逆転の引きを食う結果となった。
琴光喜の今日の相撲はどうしたことか。これでまた後半尻すぼみの８勝７敗か。

魁皇に稀勢の里は、稀勢の里が立ち合い右に動いて先に上手をとった。魁皇は上手がとれなかったが、ともかくも左四つは自分の体勢。右からおっつけるなり、上手をとって有利な形を作ることはいくらでもできたはずなのだが、そういう動きがない。
稀勢の里が、寄っておいての右上手投げで決めた。
これだけ存分にとれるようだと、稀勢の里の右腕の上体はもう大丈夫なようだ。７勝７敗の五分に戻した。貴重な勝ち星。
稀勢の里は、力はついたと思うが、今日のような変化はいただけない。
横綱が稀勢の里に見せたけだぐりは論外だと思うが、ともかく、変化や引きに頼る相撲は面白くない。

千代大海と栃東は、ケガ人同士の一番。
どっちのケガがましかという相撲でもあるが、千代大海の右がやはり使えない。
栃東は、立ち合い低く左から差して、右おっつけ。右から突き落としてそのまま出た。
凡戦だが、仕方がない。

そして結び、朝青龍と琴欧洲は、横綱が厳しい相撲。徹底して、琴欧洲にまわしをとらせなかった。
琴欧洲はまわしをさぐりにいったが、横綱がそれを許さなかった。
立ち合い素早くとった左下手がよく、最後は左からの出し投げで決めた。
これで19回目の優勝。
取組後のインタビューを聞いていると、ともかく、｢気持ちの差｣だな、と思う。
何がなんでも勝ってやる、という気持ちの差だ。

今年に入ってからの朝青龍は、序盤調子が上がらず、いつ１つ２つとりこぼしてもおかしくないことが多いが、そこまでできる若手、ベテランが幕内上位にいないということか。
その内、対抗馬たるべき大関や関脇が勝手にこけて、終わってみれば朝青龍の優勝。
このところそういうパターンになっているが、今場所もやはりそうだった。
明日の相手は千代大海。全勝優勝の可能性は99.9％だろう。
３連覇、九州３連覇は、ともかく立派だが、稀勢の里戦でのけたぐりだけが、今場所の汚点だ。