naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

11月場所千秋楽

NHKの大相撲中継は、長年続けてきた番組冒頭のふれ太鼓の音をやめてしまったようだ。
ふだん放送冒頭から見ないので気がつかなかった。
これは非常に残念だ。是非復活させてほしい。

白露山春日錦を破って、8連敗のあと7連勝で場所を終えた。
どうせなら前半もう1番勝っておけばよかったのにと思うが、ともかく下に1枚あり、十両陥落は免れそうだ。

把瑠都栃乃花に、例によって上から上手をとりにいく相撲。ふと、かつての貴ノ浪の肩越し上手の相撲を思い出した。
栃乃花ももろ差しで攻め、一度は把瑠都の上手を切ったが、最後は把瑠都が土俵際に詰まりながら小手に振って逆転。ふところの深さだ。
正面解説の北の富士さんが、「むちゃくちゃな相撲だけどやはりただものではない」と評していたが、同感。相撲は甘いが、身体が大きいからといって誰でもこういう相撲がとれる訳ではない。
ただ、やはり身体を生かした正統的な相撲を身につける必要はある。貴ノ浪も、結局無理な相撲がたたって、足首を傷めてしまった。そういうことがないように育ってほしいものだが。

出島は今日もいい出足。豊ノ島を一気に押して久々の2ケタ。3枚目での10番は、上位の星次第では三役復帰に値する成績だが、今場所に関してはちょっと難しそうだ。

三賞受賞者同士、琴奨菊豊真将は、琴奨菊が勝って2ケタ。
やはり現時点では地力の差があるようだ。
立ち合い琴奨菊が当たって押し込み、豊真将がこれを残して例によって低い体勢で押し返すところ、はたいた。豊真将は珍しく前に落ちた。
豊真将としては、やはり立ち合いに自分が相手の土俵に攻め込むことを身につけないと、今日のように攻め込まれてから挽回する相撲では、地力に勝る相手に対抗するのが難しい。前頭上位に上がる来場所は相当苦労しそうだ。

本来楽しみなはずの安馬普天王は、後半少し調子を上げてきた安馬が、突き起こして一気に出た。調子が出るのがちょっと遅かった感。
一方の普天王はどうしたことか。大関を食える力がありながらの大敗。もう一つ地力が足りないか。

既に新三役で負け越している安美錦が今日はうまさをみせた。栃乃洋の左を封じる右からのおっつけ、さらに右で前まわしをとり、出し投げの連発で、相手に力を出させなかった。

勝ち越しがかかる稀勢の里垣添は、立ち合いの踏み込みは垣添がまさったものの、稀勢の里はすぐ左を差し、右からおっつけながら一気に出た。
稀勢の里はこれで、年間6場所すべて勝ち越し。立派だが、三役に定着しつつある現在、そろそろもう一つ上の成績を望みたい。常に2ケタ勝つようになってほしいものだ。
それには相撲の型をもう少し固めることだろう。現時点では、琴奨菊の方がその点では上だと思う。

琴光喜が目のさめるような出足。露鵬に立ち合い右を差して返し、左からのおっつけで一気に出てのすくい投げ。
琴光喜も年間6場所勝ち越し。5場所続いてきた8勝7敗に、やっと最後の場所で1勝上積みした。
北の富士さんが、この人の気分的なムラを指摘していた。そのことによるのだろうが、この人も相撲が固まらない。もっと自分の相撲はこれ、というのを決めてそれに集中すれば、星も上がるのではないか。
なまじ地力があり、器用に色々な相撲がとれることが災いしていないか。
今日の相撲にしても、左右のまわしをとらずに前に出ており、不安定な要素はある。今日は一気に決められたからいいが、残されればどうなったかわからない。
ともかくもう30歳。8勝9勝を2年、3年続けても、大関には上がれないのだ。可もなく不可もない、何の存在意義もない三役常連力士でいるのは、この人の場合はあまりにももったいない。
個人的には、何度もがっかりさせられてきたので、琴光喜を信用するのはもうやめようと思うのだが、惜しくはある。

雅山魁皇を破って勝ち越し。この人も年間6場所勝ち越し。
今日は雅山の突きもよかったが、魁皇が常に相手の正面で応戦してしまったのがまずかった。どこかで右からたぐりたかったところだが。

栃東琴欧洲は、琴欧洲の完勝。2ケタ。
立ち合い左上手をとるのが非常に速く、ねじこんだ右の下手もとった。
栃東としては、自分の形になれなかった。栃東本来の相撲としては、ここから相手をどう崩して自分の形に持ち込むかというところだが、今日はそのままの形で寄って出たところを、琴欧洲の右からの投げで体を入れかえられた。
琴欧洲は、ケガに悩まされた1年だったが、最後の場所で2ケタ。来年はまきかえしてほしい。
今日のように、長身を生かして、立ち合いで相手をがちっとつかまえる相撲がとれればと思う。

朝青龍千代大海は、千代大海が手負いの状態だけに、横綱の全勝阻止の期待はほとんど持てない状況だったが、両者気合いの入った仕切りを見せて盛り上げてくれた。
立ち上がってからも、千代大海が左からののどわ攻めにすべてを賭けたという相撲を見せた。千代大海の気迫に、さしもの朝青龍も下がったが、土俵際でそののどわをはずし、右を差して組み止め、勝負はあった。
しかし、敗れたとはいえ、千代大海の気力にあふれる相撲は賞賛していい。左一本の相撲にならざるを得なかったが、右が使える状態だったら勝敗は変わっていたかもしれない。残念だった。
朝青龍は、これで貴乃花を抜く5回目の全勝優勝。

今場所の優勝争いは、前半戦は朝青龍が、一つくらいは星を落としそうな状況の中、大関が皆いい相撲をとっていたので、期待が持てるかと思ったが、結局横綱が上昇カーブを描く中で、大関が皆失速し、最後まで優勝を争ったのが平幕の豊真将という展開では、この結果もやむを得ない。
誰か1人でいいから、大関で最後まで食いついて追いかけていればと思う。その役割は、やはり千代大海栃東魁皇でなく、若い大関のものだ。琴欧洲が復調半ばであること、また白鵬の思わぬ休場で、朝青龍時代継続という結果になった。
昨年の後半から今年の前半、琴欧洲白鵬の台頭で、朝青龍独走時代が変わるかと期待されたが、両大関の思わぬ伸び悩みで、ちょっとその時期が延びている感がある。
来年は、もっと面白い優勝争いを毎場所見せてほしいものだ。

番付予想。

三役
    東    西
横綱 朝青龍
大関 琴欧洲  栃東
大関 魁皇   千代大海
大関      白鵬
関脇 琴光喜  雅山
小結 稀勢の里 露鵬
小結 琴奨菊

いつもより小結が2人多かった今場所、三役からの陥落が黒海安美錦の2人なので、通常の人数に戻すなら、平幕から三役への昇進はない勘定になる。
しかし、東2枚目の琴奨菊、西3枚目の出島のそれぞれ10勝は、ふだんなら充分昇進ラインだ。
難しいところだが、出島はともかく、琴奨菊は昇進させていいのではないか。

幕内昇進 嘉風、十文字、春日錦時津海里山もしくは栃煌山

幕内からの陥落は、通常なら、北勝力北桜潮丸土佐ノ海皇司、片山。そして引退の旭鷲山を合わせて7人の枠が空く。安壮富士も場合によっては危ないところだ。
しかし、十両から上がる力士がいない。嘉風から時津海までの4人は文句なしだが、それ以外には昇進できる成績の者がいない。
後に3枚しかない、潮丸土佐ノ海(ともに5勝10敗)だが、幕尻に残すのではないか。
場合によっては、下に4枚しかない北桜(4勝11敗)も。さすがにそれはまずいということなら、里山栃煌山を無理して上げるしかない。

十両昇進 若ノ鵬、白馬、光龍、門元、白石、武州山

十両からの陥落者が非常に多い。大真鶴、上林、北勝岩猛虎浪玉飛鳥。これに旭鷲山の引退の1枠。計6人だ。
しかし、上がる者が少ない。若ノ鵬と白馬、武州山は昇進ラインだが、上位で勝ち越しているそれ以外の力士がことごとく4勝3敗。
悩ましいところだが、少なからずラッキーな昇進になるとしても、光龍、門元、白石を上げざるを得ないか。
あるいは、大真鶴(下に6枚残して4勝11敗)を残して白石を見送るか。