１月場所９日目

里山と皇司は、互いにしぶとさを見せての攻防。
最後は皇司が白房下に寄るところを、里山が左から逆転の投げ。若さの勝利というところか。
熱戦だった。

１敗の玉乃島が、嘉風のいい当たりからの突きに、まったく何もできずにあっさり下がった。
あまりにももろい負け方だったが、どうしたことか。

昨日全勝が止まった玉春日は、豊ノ島の押しに対抗できず連敗。
玉春日も立ち合い踏み込んだが押し込めない。逆に押し込んだのは豊ノ島の方。
昨日の敗戦は、ストレート勝ち越しの緊張もあっただろうが、今日については、さすがにベテラン、疲れが出てきたというところか。

鶴竜は、普天王を突いて、左に体を開いてのはたき。身体の柔らかさが出た。
普天王は不調。組む相撲がとれない。

安馬は、立ち合い両手で相手の喉を攻め、突き起こしてすぐ右上手、頭をつけた。栃乃洋も得意の左を差す形なのでどうかと思ったが、休まなかったのがよく、すぐに出し投げで崩して出た。安馬らしい相撲。

朝赤龍は、旭天鵬との相撲、立ち合い左前まわしをとるのが速く、さらに二本差し。すぐに寄って出た。この人らしい流れの相撲。

豊馬将は、安美錦との一番、立ち合いからよく前に攻めて出て、右四つの形にはなったが、義ダリ上手を引きつけて休まず出て決めた。前へ前へと出たのがよかった。
今場所の豊馬将は、先場所まで物足りなかった攻めがよく出ている。初めての上位挑戦の場所で、相撲に進歩が見られるのは大したものだ。

露鵬は、立ち合い一瞬早く立ち、すぐ右四つに組み止めた。時天空をまっすぐ寄って決めた。久しぶりの右四つ相撲。

稀勢の里と琴奨菊は、期待される日本人若手同士の、今日一番楽しみな対戦。
両者いい当たりから当然の左四つ。互いに左が入ったが、先に上手をとったのは稀勢の里。琴奨菊も上手をさぐり、相手のさがりをとって黒房下へがぶり気味に寄るところ、稀勢の里が右からの投げ。琴奨菊は、まわし不充分での寄りだったのでやむを得ない。
短い攻防ながら内容のある相撲だった。琴奨菊はさぞ悔しいことだろう。
稀勢の里は、右からおっつけて上手をとる流れがよかった。今場所は、少し四つ相撲の進境が見られる。

琴光喜と出島は、出島が右差し左おっつけで一気の寄り。
立ち合いの呼吸が勝敗を分けた。一瞬早く立った出島に対して、琴光喜は自分の呼吸で立てず、自分の土俵で受けてしまった。さっきの玉乃島同様、まったく力を出せずにあっさり下がった。立ち合いの失敗。

琴欧洲と高見盛も楽しみな相撲だったが、立ち合いすぐ右四つがっぷり。大関十二分の体勢。
しかし高見盛もさすがに好調なだけあって、上体を反らせて右下手投げを打ちながら東土俵に寄りを見せた。
琴欧洲はさすがにこれをもちこたえ、左からの切り返し。
地力と上背の差で、順当な結果となったが、見せ場のある相撲だった。琴欧洲は上手が速かったのがよかった。毎日こういう立ち合いをしてくれればと思う。

白鵬と栃東は、栃東が例によって低く当たり、左からおっつけて出ようとしたが、白鵬が相手をよく見てはたいた。白鵬が余裕をもってさばいたという感じの相撲。

千代大海と魁皇は、千代大海の突いておいてのはたき。一方的な相撲になった。
魁皇はまったく踏み込めずに下がるだけ。あまりにももろかった。今場所の負け相撲はみんなそうだが。

朝青龍と雅山は、突きの威力が今一つで負けが込む雅山にはあまり多くを期待できない対戦と見ていた。
雅山は今日も立ち合い当たっていったものの突き放せない。朝青龍は、おそらく敢えてだろうが、雅山には勝手の悪い右四つにいった。左上手をとってすぐに投げて崩す。
雅山も何とかふりほどこうと抵抗したが、動きの中で今度は左四つに変わった。いずれにせよ組んでの相撲では、対抗できない。後は横綱の鋭い寄り足。
今日も横綱の厳しい攻めだけが光った。

１敗　朝青龍
２敗　千代大海、豊ノ島、玉春日、玉乃島

これで横綱が単独トップ。序盤は混戦模様だったが、思いの他早く整理されてしまった。
朝青龍独走の形が固まってきた感じだ。
栃東を除く大関陣が、それなりに星を整えてきたので、これからの横綱戦、誰か一人か二人、頑張ってくれたら面白いのだが。