naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所7日目

NHKのゲストに桂文珍師匠。ここ何場所かの芸能人ゲストの中ではよかった。
中入りのトークの中で、師匠のリクエストで、栃若時代の相撲が放映された。
別に初めて見るものではないのだが、改めて今日思ったのは、栃若の相撲は、相撲の歴史の中でも最も画期的なものだったのではないかということだ。
それまで、要するに巨体の力士がもぞもぞのろのろと相撲をとっていたのが、小さい二人が、スピードと技能にあふれた相撲をとり、しかも横綱として並立する一時代を築いたというのは、当時の相撲ファンにしてみれば、大きい驚きだっただろう。
まさに近代相撲のさきがけというべき存在だったのだと思う。
文珍さんの世代は、栃若をリアルタイムで見られたのだろうが、昭和30年生まれの私は、相撲を見始めた時、もう栃若時代は終わりかかっており、やはり物心ついておぼえたのは柏鵬ということになる。
そこがちょっと残念だ。

今場所の話題に移るが、十両豪栄道が7戦全勝。幕下の境澤も4戦全勝。
このへんの力士に、半年後には幕内上位に上がってほしいものだ。

豪栄道に一歩先んじた栃煌山十文字の一番は、十文字が立ち合い張り差しから左四つ。
しかし栃煌山はかまわず出て、黒房下に寄り倒した。ともかく前に出るし、寄る形がいい。5勝2敗。

若の里が、今日は白露山に格の違いを見せつけた。立ち合いからすぐもろ差し。相手に何もさせなかった。5勝2敗。

鶴竜霜鳥に踏み込み負け。相四つなので右四つになったが、左まきかえにいくところをすかさず寄られた。体力と地力の差。

出島は今日もいい出足だったが、土俵際嘉風のいなしに先に飛び出してしまった。
軍配は嘉風にあがり、物言いはついたものの、判定は軍配通りで妥当。

露鵬時津海に、目のさめるようなあざやかな左上手投げ。これだけ見事な投げはなかなかみられるものではない。

高見盛は、過去1勝10敗の安美錦戦。
よく動いたし、力が出る形になる場面も多かったのだが、やっぱりだめ。
昨日、玉乃島にあれだけ余裕を見せて相撲がとれた人が、あいくちの悪い相手になると、どんなに頑張ってもだめなのだ。力の差があるとは思えないのに、不思議なものだ。

普天王豊真将は、立ち合いからすぐ左四つ、互いに上手がとれない形になった。
どっちが早く打開するかと見ていたが、前に出たのは豊真将
入幕した頃は、守りは強いものの、全然前に出なかった豊真将だが、ここ2、3場所は本当に変わった。
攻防兼備の本格派の力士になってきた。いよいよ楽しみだ。三役定着は間違いない。5勝2敗。

実力者同士、雅山旭天鵬は、雅山としては突き放した相撲にできなかったが、二本差して攻めきった。

安馬は、過去2勝6敗の琴奨菊との対戦。
立ち合いいい当たりから、突いて出てもろ差し。いい相撲だった。
一方の琴奨菊としては、腰の不調が歯がゆくてならないところだろう。

千代大海琴光喜は、過去大関の18勝9敗とダブルスコア。これは意外だ。
しかし、今日の相撲については、千代大海が勝手にバランスを崩した格好で転がった。
琴光喜の立ち合いの当たりが強かったのがよかった。
これで6勝1敗と上々だが、この人はともかく中日からがわからない。

全勝の栃東稀勢の里は、楽しみな一番だが、過去は大関の4戦4勝。
立ち合い先に踏み込んだのは、稀勢の里の方だが、当たりが低かったのは栃東
栃東にしてみれば、相性がいい相手で余裕があったか、左からかっぱじくようにして、余裕をもってさばいた。
とにかく栃東は動きがいい。カド番脱出まであと1番となった。
それにしても、稀勢の里は、これから上をねらう若手としては、まっさきに追い抜くべきベテラン大関栃東千代大海に分が悪いのが大減点材料。

魁皇は今日はよかった。朝赤龍にすんなり左四つ。安易に投げにいくことなく、前に出たのがよかった。

琴欧洲時天空は、大関が立ち合いから突いて出たが、時天空はこれをかいくぐってもろ差し。すかさず二枚げりで決めた。
琴欧洲としては、長身の時天空相手にただ突きにいくだけではまずい。自分充分に組むための突っ張りならいいが、先に差されてはどうしようもない。
あざやかな二枚げりを久しぶりに見た。
場内決まり手は下手投げの発表だが、これは大いに疑問。二枚げりでいいと思う。

白鵬豊ノ島、若手同士の楽しみな一番は、豊ノ島が低く入ればわからないと思った。
立ち合いから豊ノ島はよく頑張って左右のおっつけから攻めた。
しかし、白鵬は今日もあくまで離れて相手を見ていく作戦。
本当に相手をよく見ていた。最後は機を見て右四つにつかまえた。
文珍師匠の話では、白鵬は、敢えてこれまで苦手とするタイプの相撲も稽古で試しながら、幅をひろげているのではないか、とのことだったが、考え方としては賛同できる。
色々できる人なので、左前まわしねらいの相撲に徹した方がいいとは思うが、今場所の離れた相撲を見ていると、これはこれで相当なレベルにあるし、ともかく相手をよく見ている。今日の相撲は今日の相撲で強いと思う。

春日王横綱挑戦は、まさに玉砕。朝青龍は、立ち合いあっさりもろ差し、あとは問題にしなかった。
完全に立ち直ったといってよさそうだ。