naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所中日

非常に楽しみな栃煌山鶴竜の一番は、予想外に一方的な相撲になった。
ともかく前に出ようという栃煌山、出ながらの二本差しで鶴竜に何もさせなかった。
鶴竜としては悔しい一番だっただろう。栃煌山はこれで6勝2敗。勝ち越しはもちろん、2ケタも見えてきた。

若の里は、時津海に非常にうまくとった。上手をとられれば切り、時津海に両まわしを与えない。自分は左上手充分で頭をつけ、さてどう料理しようかという体勢だったが、時津海の右からの思い切ったすくい投げに裏返ってしまった。
時津海の投げの強さにはびっくりしたが、結果から言えば、若の里の勝ち身の遅さが勝敗を分けた。
若の里としては、基本的に悪いところはまったくなかった相撲だが。

高見盛は、栃乃洋に立ち合いから左四つに組まれて一気に攻め込まれ、これはだめかと思ったが、東土俵でよく残し、右上手を引きつけて逆襲の寄り。
このところ、左四つでも充分とれるようにはなってきたが、栃乃洋が力の出るかっこうでもあったので、ちょっと驚く相撲だった。東土俵に詰まったところでの残り腰が勝敗を分けた。

出島の出足を、豊真将がまわりこみながらのはたき。豊真将は、今日は前に出る場面がなかったが、ともかく6勝2敗。力をつけてきている。

普天王は、朝赤龍との攻防で左四つに渡り合い、みごたえのある攻防となった。
北の富士さんが、「普天王は攻めないね」と指摘したように、組んでしばらくは普天王が攻めあぐねた感じもあったが、その後は思い直したかよく攻める姿勢を見せ、一方の朝赤龍も持ち味のしぶとさを存分に出した。
互いに上手は一枚という微妙な体勢で、攻めに決め手を欠いたが、普天王の上手が切れた。
これで朝赤龍としては却って攻めづらい格好になった感があり、最後は普天王の攻めに屈した。
攻防のある力相撲で値打ちがあった。

豊ノ島豪風のはたきに珍しく前に落ちた。これで対戦成績は豪風の6戦全勝。あいくちということか。

安馬琴光喜に、厳しくまたうまい攻めを見せた。先に右差し、左上手もすばやくとって、休まず左から出し投げ。今日の相撲は、安馬のスピードがまさった。
琴光喜はこれで6勝2敗。やっぱり今場所もここから崩れていくのか。

琴奨菊はやはり状態が悪いのだろう。時天空の肩すかしにあっけなく落ちた。
この人に限らず、期待の力士には万全の状態で相撲をとってもらいたいものだ。残念だ。

白鵬は、今日は完璧。今場所一番の相撲というだけでなく、9月場所以降では最高の相撲ではないか。
久々に立ち合いすばやく左の前まわしをとり、春日王がそれを小手にまきにきたので、二本差す流れになった。
完勝。7勝1敗。

千代大海は、この中盤戦にきて、突っ張りきれなくなった。
突いてもまったくきかない。旭天鵬のひきおとしに落ちた。
早くもスタミナ切れか。

カド番脱出を今日にかける栃東が、琴欧洲に苦杯。
今日も左からおっつけながら、いい位置の左前まわしをとり、頭もつけたのだが、前に出られない。
休まず左から出し投げで崩せば違った展開になったのだろうが、その左上手が一枚まわしだったのが勝負の分かれ目だった。
琴欧洲は落ち着いており、今日は左からおっつける形で二本差し。前に出た。
やはり栃東はカド番脱出を意識したか。昨日までに比べると動きが悪かった。

中入りの時間、朝青龍の初日からの相撲を全部見せた。
7日間の相撲をこうして見ると、分岐点になったのは、4日目の豊ノ島戦だ。あの相撲、豊ノ島がもろ差しになった時点で、深く差しながら一気に攻めたら、勝敗は違っていたかもしれない。そうすれば横綱ももっと崩れていたかもしれない。
NHKの放送も、早くも逆転優勝に言及しているが、それはやはり2連敗からその後星を落とさずに6連勝しているからであって、あの豊ノ島戦、もろ差しになられながら、必死に極めて逆転した相撲が、意味として大きい。

その朝青龍稀勢の里との好取組だったが、双方ばたばたした相撲で、両者いい相撲とは言えなかった。
朝青龍はやや冷静さを欠いた雑な相撲。稀勢の里が相手の動きにもっとついていければ、充分勝機を見いだせたはずだが、動き負け。
朝青龍は、本能にまかせたような粗暴な相撲に見えた。
昨日まで調子を上げてきていたが、今日のような相撲だと、隙を突ける力量の相手には危ない。

栃東が敗れたことで、朝青龍との星の差は一つとなった。
栃東に1敗で走ることを望むのは酷な話であり、優勝争いが面白くなるかどうかは、ひとえに白鵬にかかってきたと思う。