naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

相撲を見るのも大変なんですよ~その2

私が毎日帰宅後に相撲を見る場合、大きな課題の一つが、「その日の相撲の結果を耳に入れない」ということだ。
これが結構大変なのである。

家に帰ってから楽しみに相撲を見たい私としては、その前に、例えば「今日は波乱があって、朝青龍が負けた」という情報を知ってしまいたくない。
やはり、帰って録画を見て、朝青龍の敗戦に、「おおおおーっ!」と思いたいわけで、見る前にわかってしまったら、興味も半減してしまう。
私としては、これは大いにこだわるところだ。

ところが、今の時代、結構あちこちに情報があふれているものだから、相撲の結果を知らずに家にたどりつくことができないケースも時たまあるのだ。

まず、目から入る情報。

電光ニュースの類。銀座4丁目の交差点のところにだけしかなかった昔とは違って、電車の中、タクシーの中だとか、結構色々なところにある。
ニュースの更新が速いと、思いがけず目にしてしまうことがある。

今までで、一番がっかりしたのは、平成9年(97年)の5月場所だった。
出張で香港に行っていて、成田に帰ってきたのが千秋楽の夜だった。
この場所の優勝争いは、14日目終了時点で、横綱貴乃花が1敗、横綱曙が2敗。
千秋楽は、この二人が対戦するというシチュエーションだった。
貴乃花が勝てばすんなり優勝、曙が勝てば決定戦だ。
帰ったら録画を見ようと楽しみにして飛行機を下りた。
そして、空港の中を歩いていた時に、忘れもしない、動く歩道を歩いていた時に、ふと左に顔を向けたところに、電光ニュースがあったのだ。

「←・・・が13場所ぶりの優勝を決めた。・・・←」

あわてて目をそらしたがもう遅い。しっかり見てしまった。
主語は左に消えた後だったが、「13場所ぶりに優勝」といえば曙しかいないのだ。貴乃花前場所優勝しているし。
だいたい、「○場所ぶり」って言ったら、相撲しかありえないしね。
何でこんなところに電光ニュースがあるんだよ、と恨み、しかも何で俺が目をやった時に相撲のニュースをやってるんだよ、と重ねて恨みつつ、しょぼんとして帰宅したのだった。

それから、インターネットも危ない。
18時以降の時間に、うかうかとYahooなんかを開いてはいけない。
私は、ブラウザが開くとYahooが出る設定にしてあるものだから、なお危ない。
何気なく眺めた画面の右の方のニュース見出しに、何か出ていたりする。

テレビももちろんだ。
ニュースをうかうかと見ていてはいけない。突然相撲の話題や画像が出たりする。
以前、苦い経験をしたのは、千秋楽に外から帰ってきて、たぶん18時10分くらいだったと思うが、もう録画は終わっていたので、さて巻き戻して見よう、とテレビをつけたら、NHKの18時のニュースが画面に映り、よりにもよって、優勝インタビューを受けている、確か千代の富士の姿を思いっきり見てしまった。この時も、優勝争いは千秋楽持ち越しだったので、冗談でなく、膝から崩れ落ちたものだ。
ニュースも、スポーツコーナーになりそうだったらチャンネルを替えれば、とか思っていては甘い。
冒頭の主なニュースの列挙のところで出ることもあるし、思わぬところで、「白鵬と○○(平幕力士)の相撲は、意外な結果に!」なんていう、予告が出たりする。
そうそう、昔、NHKの教育テレビだったら大丈夫だろう、と思って切り替えたら、「手話ニュース」というのをやっていて、これまた、たまたま相撲の話題をやっていて、へなへなとなったこともある。

今は、私が帰宅すると、妻は心得ていて、見ていたテレビを消すか、ニュース以外の番組に切り替える。

それから、これはつい最近だが、16日(水)に安房鴨川に出張して1泊、17日(木)の朝、帰ってきた。
現地では、会社の者たちとさんざん酔っぱらって寝てしまったので、相撲は見ていない。
帰りの電車の中では、朝なので周囲の客が新聞をひろげている。
相撲の見出しが目に入らないように、と気をつけて顔を伏せ、身をすくめて過ごし、何とか乗り切った。
で、コンビニに寄ったのだが・・・。
ほんとに今は油断できない時代だとつくづく痛感した。
コンビニのレジって、今、ニュースが表示されるじゃないですか。
私がその時寄ったのはサンクスなのだが、会計の時、レジの金額を確認して、ふとその下に目を移動したら、そこに相撲の結果が・・・。
あわてて目をそらしたが、左が勝ち力士、右が負け力士というレイアウトのようなので、白鵬が勝ったことだけは見えてしまった。

それから、耳から入る情報にも気をつけなければいけない。

例えば帰りの電車の中、あるいは寄り道することになって、飲み屋に入った時、周囲で相撲の話をしていることがたまにある。
「今日は安馬はいい相撲だった。強くなったね」なんていう会話が耳に入ってくると、えーと、安馬は今日大関あたりとやったんだったっけ、と思いつつ、さらに詳しい話が聞こえてこないでくれ、と願ったりする。
客が会話をしていなくても、店の中にテレビがあったりするのも困る。
目はつぶればいいのだが、耳はふさぐわけにはなかなかいかない。
また、そこから離れたり立ち去ったりできないこともある。

そんな帰り、酔っぱらったから、駅からタクシーに乗っちゃおうかな、なんて怠惰なことをして、墓穴を掘ることもある。
乗ったタクシーがラジオをかけていて、「では、次はスポーツです。大相撲夏場所6日目の結果です」なんていうタイミングだったことも、これまでに何度かあった。

ということで、今日も私は、そういう数々の試練をかいくぐって、何も知らない状態のままテレビの前に座って相撲の録画を見るのだった。