５月場所中日

普天王が、とうとう無傷の勝ち越し。
今日は、今場所初めて右上手が立ち合いすぐにとれた。栃乃洋の差し手をうまく殺したのもよく、今場所一番の相撲。

出島も８戦全勝の勝ち越し。
みごたえある攻防だった。
北勝力も好調なので、立ち合いから突き起こしてよく攻めたが、出島も押し込まれながらもねばり、二転三転の攻防。
一端動きが止まり、こうなると出島としてもだめかと思ったのだが、出島もそこからまた攻めに転じ、最後は体をひらいての引き落とし。
序盤よくても途中から崩れる傾向がある出島だが、とうとう勝ち越しまできてしまった。

１敗同士、龍皇と朝赤龍の一番は、やはり朝赤龍が一枚上、という相撲。
朝赤龍は、突き起こしてまわしをさぐる自分の流れ。
龍皇もよく突いて応戦しようとしたが、体勢を崩して手をついてしまった。このあたりがまだまだ経験不足という感じだ。

鶴竜と雅山は、鶴竜当たってすぐのはたきが決まった。鶴竜としてはいい相撲ではなかったが、雅山の足が出なかった。

高見盛は、過去１勝11敗の天敵、安美錦に久しぶりの白星。
右が入ったことと、以後止まらずに前に出たのがよかった。

栃煌山と春日王は、立ち合いに右四つ、栃煌山はすぐ上手をとり、今日は珍しく前に出るのではなく、左からの投げであっさり決めた。
相当力の違いを感じさせる相撲だった。

豊馬将と豊ノ島は、豊ノ島が、昨日の初白星で気をよくしたか、よく動いた。
立ち合いすぐ二本のぞかせ、以後は果敢な突きで攻め込んだ。
豊馬将は豊ノ島の足の状態を気にしたか、守りつつも厳しさは感じられない相撲だった。
しかし、最後は状態の差が出た形で、青房下に寄って決めた。

琴光喜と黒海は、琴光喜がいい内容の相撲をとった。
腰の具合ももう大丈夫なようで、立ち合い当たれたし、その後も動けた。
二本入って充分な体勢。
これで、何だかんだ言いながら７勝１敗。
いつも中日時点ではこんな感じで、後半崩れる琴光喜だが、今場所はどうか。

魁皇に安馬は、魁皇がストレートの勝ち越しを意識したか、立ち合いが二度合わず。いざ立ったら、立ち遅れ。踏み込みもなく、安馬の突き起こしての攻めに後手にまわった。
安馬は、あくまでまわしをとらせず、離れる相撲。魁皇はなかなか組めない。どこかで相手の腕をたぐって密着するか、相手の右をひっぱりこむかしたいところだったが、それができぬまま、攻めきられた。

昨日大ブーイングの琴欧洲は、このところ３連敗中の時天空が相手だけに、立ちにくそうだった。
立ってからは、左腕を伸ばして上手をとり、これでまずは安心といったところ。
時天空が左も差して、琴欧洲は外四つの格好。
時天空のまわしが伸びたこともあって、これはどうかと思ったが、伸びた右上手をとりなおして投げた。
まあ、まずますといったところだ。
これで、この人も何だかんだで７勝１敗。

白鵬と稀勢の里は、これも大関がこのところ３連敗中という一番。
その３連敗は、いずれも稀勢の里の逆転勝ち。従って、稀勢の里からすれば、この対戦成績は必ずしも納得していないはずで、そろそろこのへんでまともな形で勝ちたいところだ。
一方の白鵬にしても、横綱をねらうからには、もう連敗は重ねたくないだろう。
激戦が期待された。
立ち合いは、白鵬が鋭く速かった。踏み込みも鋭かった。
今日の白鵬は、四つに組むとうるさいと考えたか、離れて相撲をとりきる考えだったようだ。
離れてとって、今場所も若干心配な足腰の安定感が問題かと思ったが、今日の相撲に関しては、攻める時に腰が下りているし、足の運びもよかった。上体だけが前につんのめることはなく、いい土俵際の詰め方だったと思う。
期待通りのいい相撲。昨日稀勢の里に変化した琴欧洲も見習ってほしいものだ。
これで無傷の勝ち越し。

千代大海と垣添は、大関としても自信が持てる相手だろう。
小さい相手ではあるが、垣添も突き押し主体の相撲で、千代大海の突きをかいくぐって食いつきにくるという危険はないからだ。
今日の大関は、例によって細かい突き。相手を常に正面に置いての突きだった。
垣添も、思い切ったいなしやかきまわしは持っていない人なので、まともに応戦することになったが、それではだめ。結果はやむなし、という相撲。

朝青龍と琴奨菊の一番は、横綱の立ち合い右上手が速かった。
琴奨菊としては、相四つなので仕方がないが、左四つ。自分は上手がとれない。
そこから何とかしようとしても、横綱がそれを許さない。
結局、横綱が右前まわしを引きつけて出て決めた。
ＮＨＫの放送では、仕切りの最中に琴奨菊が勝つとしたらどういう格好になった時か、という話をしていたが、私もなかなか琴奨菊が勝つイメージがわかなかった。
いずれ一矢を報いてもらいたいが、それにはやはり相当研究と工夫が必要だろう。

全勝　朝青龍、白鵬、出島、普天王
１敗　魁皇、琴欧洲、千代大海、琴光喜、朝赤龍

中日を終わって、全勝４人というのは大したものだ。
それに、横綱大関が全員この中にいるというのも特筆もの。
後半戦が非常に楽しみな今場所だ。