naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

5月場所11日目

境澤が4勝2敗と勝ち越し。新十両が見えてきた。
把瑠都が10勝1敗で、十両優勝はほぼ確実な情勢。その把瑠都を追うのが、3敗の海鵬海鵬が久しぶりに好成績であるのが嬉しい。
今さら言うのも何だが、実力者の旭天鵬が不在であることが、やはりさみしい。

岩木山は、小さい里山にまっすぐ押された。こんなにあっさり下がるとは、やはり力の衰えと言うべきか。

北勝力栃乃洋は、いい相撲になった。
北勝力は、のどわといい突きで攻めた。特に、あくまでまっすぐ攻めようという姿勢が今日はよかった。
一方の栃乃洋も、ひるまず押し返して応戦。
お互いに、よく攻めよく残り、熱戦となったが、最後は北勝力が勝ち越し。

朝赤龍出島は、過去出島の8勝2敗という対戦。
今日も、立ち合い当たり合った後、出島が右からすくうようにして頭を下げて出ると、朝赤龍は何もできずに下がった。
実力者の朝赤龍なら、もっと何とかできるはずだが、これが相性というものか。
今場所非常に動きのよさを見せてきた朝赤龍だが、この一番については、相手との間に距離をとることができず、出島に密着されての相撲になってしまった。

若の里は、玉春日に対して、前に攻められない。
最後は、上手投げで逆転したものの、内容はよくない。
何より、身体から「力」が見えない。かつて大関候補と言われていた力士とは思えないのがさみしい。

普天王高見盛は、激しい動きの熱戦となった。
普天王は左を差したいところだったが、今日は高見盛が右を差し勝ち、そこから後の攻めが非常に速かった。
高見盛という力士に、何か非凡な部分があることを、感じさせる一番だった。
こういう相撲が続けば、三役に定着することもできるのだろうが。

栃煌山は、立ち合いから左おっつけで右も差しながら前に出たが、鶴竜は、右上手をとってこらえ、最後は小手投げ。
栃煌山は、入幕2場所目、よくやってはいるが、前に出る攻めの形に、先場所のような安定感がない。

時天空は、立ち合い低く当たってから、腕を伸ばして、離れる相撲をねらったが、玉乃島は、左からあてがってこらえ、逆に前に出た。左手一本で相手を止めた相撲は非常に力強かった。
既に負け越している力士とは思えなかった。

琴奨菊と昨日の立役者安美錦の一番は、琴奨菊が激しい立ち合いから左を入れた。
後はがむしゃらに前に出て、安美錦がまわりこんで逃れようとしたが、ついていった。
今日の琴奨菊がよかったのは、相手についていく際に、常に相手の正面に身体を置いていたことだ。

豊ノ島は、足首の状態が悪化したそうで、痛々しいことこの上ないが、今日は黒海が引きにくるところ、ついて出た。
黒海も、立ち合いから突き放して押し込めばいいものを、何故か組みにいくこじんまりとした相撲。まったく悪い相撲だった。
それにしても、豊ノ島、既に負け越しているのだから、無理をして出場し続けるのはどんなものかと思う。
ここでの無理が、先々にたたるようなら、休場するのも一つの考え方だと思うのだが。

楽しみな豊馬将安馬は、立ち合い安馬が張って出たが、豊馬将も例によって低い構えで応戦。
豊馬将が攻め込むところ、安馬は左から突き落としつつ、相手の足を裾払いのように払って、両者ほぼ同時に背中から落ちた。
軍配は豊馬将にあがったが、当然の物言い。
取り直しの判定も妥当。
取り直しの一番は、安馬が左から張って、低く飛び込んだが、豊馬将は左上手をとって相手を止め、右ははずの形で前に出た。そのまま向正面に、わりだし気味に決めた。
豊馬将の相撲は、誠にオーソドックスな相撲で、見ていて非常に嬉しい。

琴欧洲の相撲が完全に乱れてしまった。
今日は立ち合いの逡巡は見せなかったものの、豪風が立ち合い頭で当たって、左からおっつけて、横から攻めると、あっさりと体勢を崩し、東に押し込まれてそのまま土俵を割った。
豪風の右からの攻めに、顔をそむけてしまった。これでは下がるしかない。
小さい相手がとりにくいのはわかるが、長身を生かして、がちっとつかまえてしまえばいいのに、と思う。
ふがいない相撲だ。
今場所に限ったことではないが、どうも相撲に小心なところがある。
人にはそれぞれ性格があるのはわかるが、勝負師であるからには、自信なげな土俵上の態度はマイナスにしかならない。
何より、この人の土俵上のふるまいには、気迫というものが感じられない。
大関昇進の勢いが、稽古場でのケガで水を差されたのは気の毒だったが、もうそのケガ自体はよさそうなのだから、あの当時の気持ちを思いだしてもらいたいものだ。

千代大海稀勢の里の対戦は、過去大関の7勝無敗。
今日の一番も一方的な内容になった。
稀勢の里千代大海の突きに下がるだけで何もできないまま。
仕切りの間は、過剰なくらいに気合いを見せていたが、立ち上がってからの相撲とのギャップはどうしたことか。
朝青龍との相撲もそうだったが、何か意識しすぎた仕切りと、立ち上がってからの相撲とがつながらないところが、この人にはある。

唯一の全勝となった白鵬魁皇の一番は、ケンカ四つ。
魁皇も決して調子が悪くはないので、左が固く、なかなか右四つは許さないだろうと予想した。
白鵬としては、右四つにこだわらず、突き中心の相撲で、相手の動きを見て有利な形に組んでの左四つで戦う方がいいかと見ていたが、立ち上がっての内容は、その上を行った。
立ち合い肩から当たって突きで攻め込み、相手をよく見ながら右を差して、右四つとなった。
最初は上手がとれなかったが、この形で止めれば、魁皇からは先に何かすることはできない。
ここから、白鵬は左の前まわしを下からさぐってとり、万全の形を作った。
左上手のさぐり方が非常によかった。久しぶりに、白鵬の左前まわしの相撲を見た。
ともかく完璧な内容。魁皇は、終始後手にまわって何もできなかった。
今場所の白鵬は、常に相手をよく見ているのがいい。

9勝1敗同士の結び、朝青龍琴光喜は、琴光喜が調子を上げてきているだけに、そろそろ対横綱戦の連敗ストップとなるかと期待したが、結果は見るも無惨。
横綱が、立ち合い琴光喜の左腕を右からはねあげると、それだけで横を向いてしまって、勝負は決した。
琴光喜はまったく何もできず。期待はずれもいいところという相撲になってしまった。
相撲というのはここが面白いところで、昨日横綱安美錦に星を落としていなかったら、却って琴光喜にも勝機はあったかもしれないが、昨日調子を下ろして平幕に惨敗しているだけに、横綱の気構えが違った。
まずい日に当たってしまったとも言える。

全勝 白鵬
1敗 朝青龍
2敗 千代大海琴光喜朝赤龍、出島、普天王

実質的には、2敗力士ははずして考えてもいいだろう。
白鵬朝青龍のマッチレースだが、両者星を落とさずに千秋楽の対戦となる可能性が一番高いように思う。