naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

5月場所13日目~朝青龍に異変

今日は、白鵬が勝ち、2敗の5力士が全員敗れれば、優勝決定という状況。
まあ、そんなことはちょっと考えにくいと思いつつ・・・。

NHKの放送について二つ。

まず、刈屋アナの言葉遣いだが、「~ましたですねえ」「~ますですねえ」という言い方が目立つ。これはだいぶ前から気になっている。これは他のアナウンサーは用いない言い方なので、結構耳につく。

それから、今日注目の取組である、白鵬琴光喜の過去の対戦成績を、放送の合間に繰り返し出したのだが、内容が誤り。
ここ1年の対戦成績が、両者逆になっており、刈屋アナは、「ここ1年は、琴光喜が3勝2敗とリードしています」と言っていたが、実際は白鵬の3勝2敗。
先場所は琴光喜が勝ったという表示になっていて、おかしいな、白鵬は先場所優勝したし、琴光喜には負けていないはずだが、と思った。
実際、後半戦の合間にまたこの対戦成績を出した後、今年の1月場所、3月場所の対戦のリプレイを出したら、やはり1月場所は琴光喜、3月場所は白鵬が勝った相撲だった。
それでも、NHKは気がつかなかったようで、そのまま放送が進んだ。視聴者からの指摘の電話などもなかったようだ。
結局、いざ両者が土俵に上がって、通常の過去対戦の表示が出た時、正しい内容になっていたので、これに刈屋アナが気がついて訂正していた。

北桜寶智山の一番は、熱戦。最後もきわどい逆転の相撲となって、館内大いに沸いた。
しかし、こう言っては両力士のファンに申し訳ないが、二人とも今一つ地力もうまさも不足するなあと思いながら、激しい攻防を見ていた。
今一歩のレベルの者同士で、精一杯頑張ってとった大相撲、という印象。

普天王龍皇は、普天王が右上手をさぐりながら前に攻めて出たが、龍皇は一旦引き加減に下がって、前まわしを許さず、すぐに突きで逆襲、東土俵へまっすぐ出た。
普天王は無抵抗なまま下がってしまい、あっさり土俵を割った。
普天王としては物足りない相撲。

岩木山は、初日から10連敗と不振だった皇司にいいところなく敗れ、4場所連続の負け越し。やはり力が落ちたか。

北勝力露鵬は、時間いっぱいから、両者なかなか手を下ろさない。
最近は、こういうケースが多い。外国人と学生相撲出身力士に多いような気がする。
タイミングを合わせきれずにつっかけてしまうような立ち合いには、私は人より寛容なつもりだが、この、手をなかなか下ろそうとしない仕切りは、気に入らない。
北勝力は、一旦上体を上げて、待ったしようとしたが、土俵下から、おそらく審判長だろう、「そのまま手をつけ」の声がかかり、再度手を下ろして、しぶしぶ立った形になった。
しかし、北勝力としては、自分の呼吸ではなかったのだろう。別に立ち遅れたわけでもないのだが、露鵬がすぐ二本差して、まっすぐ運んだ。
北勝力という力士は、私にとっては珍しい「嫌いな力士」だ。それは、あまりにも自分本位な立ち合いが目立つからだ。
この一番も、いつも自分勝手な立ち合いばかりで、相手に合わせて立つことを日頃怠っているツケだ。言葉は悪いが、ざまあみやがれ、という感じだ。

出島高見盛は、短いが内容のある相撲だった。
既に勝ち越し、好調の高見盛らしく、立ち合いすぱっともろ差し。出島の出足が止まった。
出島の場合、普通は動きを止められると、後は相手の思うがままにやられてしまうことが多い。
しかし、やはり今場所の出島は一つ違う。二本差されながら、左右からおっつけて前に出た。
そこは高見盛、体を入れかえた。得意のパターンだ。
これで出島としては絶体絶命、決まったかと思ったが、今日の出島はさらに気力を見せ、首ひねりのような語りで相手をふりほどきながら、体勢を逆転した。
今場所の出島は、腰の構えがいいというか、前に出る力がぶれずに常に身体の中心から相手に伝わっているように思う。だから、相手のいなしやはたきをなかなか食わないのだ。
今日の、形勢が二転三転しながらの逆転勝ちは、そのあたりが一番よく出た相撲だったと思う。
2敗力士の最初に土俵に上がった出島が勝ったので、早くも今日の白鵬の優勝はなくなった。
まあ、5人もいるんだから、それはそうだよなあ。

鶴竜玉春日は、互いに押していなして、という相撲の末、鶴竜の勝ち。
最後の突き押しは力強かった。
鶴竜は、本当に急速に力をつけてきたと思うが、欲を言うと、今場所はややしぶとさ、愚直さに欠ける。
身体がない鶴竜には酷な要求かもしれないが。できればかわしの相撲でなく、安馬のように、もっとまともな相撲に徹してもらいたいと思う。

安美錦朝赤龍は、楽しみな対戦。
それにしても朝赤龍、個人的には別に好きな力士というわけではないが、今場所の朝赤龍の相撲は、単に星があがっているということでなく、非常に値打ちのあるものだと思う。
こうとるんだ、というものが明確でぶれない。しっかりした相撲で、非常にいいと思う。
技能賞の選考では、安美錦の方が名前が挙がりそうだが、私としては、朝赤龍に技能賞を受賞してもらいたいと思う。
さて今日の相撲、朝赤龍が例によって突いて出て押し込んだ。下から低く、まっすぐ突いて出る形が見事だ。
そこからの今日の流れは、やや作戦的で、首ひねりで強引に倒した。
朝赤龍の右手もずいぶん早く着いたように見えたが、物言いはつかず。安美錦が僅かに先に落ちたようだ。

豊馬将栃煌山、今場所は星があがっていないが、これから先が非常に楽しみな両力士の対戦。
先場所は栃煌山が勝っており、豊馬将の雪辱を期待したが、結果は栃煌山の連勝となった。
立ち合い栃煌山は低く当たって前に出た。途中、右からの突き放しがきいた。この攻めは、先場所の栃煌山だ。
一方の豊馬将は、例によって頭を下げ、右からおっつけて盛り返そうとしたが、栃煌山の突き落としに崩れた。これで豊馬将は残念ながら負け越し。

琴奨菊豪風は、豪風がいい当たりを見せ、すぐ体を右に開いてのはたき。
琴奨菊が珍しく前に落ちた。
昨日まで6勝6敗。今日の一番に向けて星勘定があったか。6勝7敗は痛い。

豊ノ島稀勢の里は、昨日まで両者4勝8敗。
場所前出場も危ぶまれた豊ノ島と、一応体調万全で土俵に上がっている稀勢の里が同じ星というのも、情けない気がする。
豊ノ島は、少し相撲がとれるようになったか、本来の動きに近いものを出せたが、今日の稀勢の里は、当たり踏み込みともよく、よく前に出る相撲。
前への攻めは、相変わらず安定感に欠け、豊ノ島が万全の状態であれば、わからなかったが、さすがに今場所の豊ノ島ではしのぎぎれなかった。

安馬時天空は、時天空が立ち合い左に変わっての上手出し投げ。
安馬は東土俵にすっ飛んでいったが、その前に手が土俵をはいた。
安馬としては、あそこまで相手を見ずに突っ込んでいくことはなかった。
やはり、琴奨菊同様に、昨日まで6勝6敗ということで、星勘定の意識があったのだろうか。痛い星を落とした。

千代大海琴欧洲は、過去琴欧洲の9勝4敗。ここ1年についても琴欧洲が最近4連勝での5勝1敗。
昨日あれだけ目のさめるような相撲をとった千代大海だったが、今日は完敗。
これが相撲の合い口というものだ。
千代大海は立ち合い突いて出ようとしたが、琴欧洲は左右からすくうようにして密着。すぐ左上手をとって投げを打ちながら寄り切った。
それにしても、今日の琴欧洲は非常に余裕が感じられた。この相手には自信があるのか、昨日までのおどおどしたところはまったくなかった。これで勝ち越しだが、ファンの期待に応えているとはやはり言えない。

白鵬琴光喜は、昨日現在で優勝争いが星二つの差となったことで、却って白鵬に硬さが出ないかと懸念したが、文句なしの相撲だった。
琴光喜は立ち合いから突き押しでうまく攻め、白鵬としてはすぐ有利な体勢に組めなかった。
しかし、組めないと見るや、白鵬はしばらく突きに転じ、その中で右を入れた。
互いに左上手がとれない体勢。しかし、白鵬は、左からおっつけて琴光喜の下手を切りにいき、その後左の前まわしのいいところを下からとり、すぐに引きつけて前に出て、正面に寄り切った。
上手のとり方、ひきつけ、寄る腰の構え、どれもすばらしく、完勝といっていい相撲だった。
力の差を感じさせる一番だった。
これで、とりあえず北の湖理事長が示した、13勝ラインに到達。
この時点で星二つの差をキープして、優勝もますます濃厚、横綱昇進はほぼ間違いないところまできた。

結び、朝青龍魁皇の対戦は、朝青龍の仕切る表情を見ていて、いつもとは違って、闘志が感じられないように思った。表情や身体から気力が見えない。
時間いっぱいになって、塩に戻る時にまわしを激しくたたくのが常だが、この動作もおとなしかった。
今日の朝青龍は、昨日までと相当違うぞ、と思って見ていたのだが、果たして、立ち合いは、まったく当たりも踏み込みもなく、ふわっと立った。
今場所比較的好調とはいえ、魁皇も立ち合いからがむしゃらに攻め込むタイプではないので、当たってからは一応の攻防はあり、横綱が左を入れて右からおっつけながら少し土俵を攻め勝って、西土俵寄りで左を差し合う形になった。
魁皇が一瞬とった右上手を切ったものの、朝青龍自身も上手がとれない。
ふだんの横綱であれば、ここから相手に何かさせる前に速く動いて、自分の体勢を作ってしまうところだが、今日の朝青龍はそういう動きがまったくなく、互いに相手の出方をうかがうような格好でしばらく過ぎた。
結局、魁皇にむざむざと上手を与えてしまい、しかもその上手を切ろうとか、自分も何とか上手をとろうとかいう動きがない。最後は魁皇の右からの出し投げに這った。
以前に、腕を痛めての土俵で、栃東安馬に同じように投げられた相撲を思い出した。
そして、敗れて立ち上がり、土俵を下がる時の表情がまた、全然悔しさがなく、あまりにもさばさばとしていた。昨日までに喫した2敗、安美錦戦、千代大海戦では、いずれも非常に悔しそうな顔をしていたし、安美錦戦の後は、花道で座布団を蹴り上げて批判も浴びたくらいだが、今日については、「仕方がない」というような表情だった。
やはり、朝青龍に、土俵に上がる前から、何かの異変が生じていたのだと思う。
放送ではそのへんがふれられず、わからないのだが、下手をすると休場するのではないかとさえ思う。

全勝 白鵬
2敗 朝赤龍、出島

途中まで、全勝力士が非常に多かった今場所、実質朝青龍白鵬のマッチレースになってきて、両者全勝での千秋楽決戦などという話まで出ていたが、まったく予想外の展開になった。
結びの相撲を見る前は、白鵬が残り2日、引き締めて臨まないと、優勝しても印象が落ちると思っていたが、朝青龍の今日の相撲からすると、白鵬の全勝優勝が充分可能な状況と見る。