naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

苦渋?の「ボレロ」

会社から帰って、メシ食いながら何となくテレビ見てたら、NHK教育テレビで「ボレロ」をやってた。

デュトワ指揮の宮崎国際音楽祭管弦楽団の演奏。コンマスN響の徳永さんでした。

それにしても、見てて思ったけど、この曲ほど演奏してるオケにとってストレスフルな音楽はないのではないか?
自分では弾いたことがないんでわからないんだけど。

何ていうんだろう、テレビの画面で見てても、オケの人たちが全然楽しそうじゃない。
むしろ、みんな苦しそうな顔をして弾いている。

ボレロ」という曲は、すべてのパートが、要するに「パーツ」として扱われる音楽だと思う。
ジグソーパズルのピースみたいだ。
順次ソロをとっていく管楽器も、それぞれの時限りだし、トランペットなんかも、基本的に和音をペッペッって刻んでるだけだし。
弦楽器も、延々とピチカートをやってるだけだったりする。

全員が開放されたように、メロディを弾きまくれるのは、ほんの最後のわずかの部分だけだ。

何より、その究極は、スネアドラム。
たった2つのパターンしかないリズムを、最初の弱音から我慢して我慢してたたき続けなければならない。
楽譜上の変化はまったくない。たった2つのパターンを延々と繰り返しつつ、少しずつクレッシェンドしていく。
これって、今のテクノロジーだったら、打ち込みでやった方が正確なはずだが・・・。
それを人間がまじめにたたいていくって、人によったら気が狂ってもおかしくない世界だよね。
人間がやるもんじゃないと思う。すごすぎるよ、あれは。

聴いている側にとっては、とてもわかりやすい音楽だし、実際聴いていても、必ず興奮する。
しかし、オケにとっては、一番「やりたくない音楽」の最右翼ではないか。

テレビの映像を見ながら、改めてそんなことを思った。