７月場所９日目

ＮＨＫの総合テレビは、新潟の地震関係のニュースを放送した後、17:05からの相撲中継。
番組冒頭に、既に終わった幕内前半の取組を連続リプレイした。
前に国会中継で同様の措置があった時も書いたが、こういう時に、取組の一部を省略するのは非常に困る。譲って中抜きはがまんするにしても、立ち合いを見せないのは、相撲というスポーツの放送として本質的に誤りだと思う。

土佐ノ海が頭を下げて正面に押し込むところ、海鵬は体を開いてはたいた。これで６勝３敗。勝ち越しが見えてきた。

豊響と里山は、取組途中からのリプレイで、前半の展開が不明だが、もろ差しの里山を、豊響が左右からきめて、正面にきめだし。

寶智山と北桜は、右四つがっぷりにわたりあったが、寶智山が両まわしを引きつけて、黒房下に寄り倒した。
北桜は今日は力が出せなかった。

北勝力は、立ち合いに嘉風をちょっと突き起こしておいて、すぐはたいた。
この人のスタイルといえばそれまでだが、私は好きではない。

栃乃洋と'''普天王は、これも前半の展開が不明だが、左四つの体勢。
普天王は今日は上手をとっており、向正面に寄ったが、栃乃洋が左下手投げを打つと、足が出てしまった。
上手充分の左四つからこういう負け方をするというのは、攻め方が下手と言わざるを得ない。

栃煌山と鶴竜は楽しみな一番。
立ち合い栃煌山は左を差して白房下へ一気に寄ったが攻めきれず、左からすくう形で一旦土俵中央へ。
再度、今度は青房下に寄るところ、鶴竜の土俵際のつきおとしに、一瞬早く落ちてしまった。
鶴竜のしぶとさが出た相撲だが、栃煌山としては、左右ともまわしをとらないままに攻めたのが敗因。
どうも今場所の栃煌山の相撲は、少し雑な感じがある。

春日王が稀勢の里に、意外なけたぐり。飛ばした足は空振りだったようで、決まり手ははたきこみだが、稀勢の里もこういう変化を食ってはいけない。３敗目。

龍皇は、立ち合いから玉乃島をもろ手突きから突き起こして西に押し込み、玉乃島が押し返すところをはたいた。
地力のある玉乃島にしては、ちょっと物足りない負け方だった。

１敗の豊馬将が力強い相撲で勝ち越し。
立ち合いは踏み込み勝ったとは言えないが、低く当たって若の里の当たりを受け止め、左前まわしをさぐると、正面に出た。左前まわしは切れたが、こだわらずに押して出て決めた。
今場所の豊馬将は出足がいい。ずいぶん攻める力がついた。

朝赤龍は、高見盛にまわしを許さないことに徹する考えだったのだろう、立ち合いから突き起こして厳しく責め立てた。
高見盛は、例によってアゴを上げた相撲なので危なかったが、朝赤龍がちょっとはたいたのが悪く、土俵中央に攻め返した高見盛に右差し左上手を許してしまった。
これで体勢は高見盛かと思ったが、朝赤龍は右の内掛けでおびやかしながら、最後は掛け投げ。高見盛の上手投げとの打ち合いになったが、投げ勝った。
形は高見盛のものだったが、取組前半で朝赤龍がよく攻めていたことが、最後の勝敗を分けたと思う。

全勝の琴光喜は豊ノ島戦。今場所の両者の状態からは、まあ有利にとれると見ていた。
琴光喜は今日も右上手ねらいの相撲。今日はまともに当たって、右上手をとると、間を置かずに右からの出し投げで崩して後ろにまわった。
今日も流れのよさが目についた。迷いが感じられない。
いよいよ明日は白鵬戦。非常に楽しみだ。

千代大海と安馬は、千代大海に踏み込みなし。細かく突くが、相手をまったく押し込めない。
安馬が頭を下げて出るところ、はたいて決めた。
千代大海としてはいつものパターンだが、突きの威力がないのが気になる。
また、一方の安馬も、今場所はどうも物足りない。状態がよければこういう相撲には勝機を見いだせるはずなのだが。

大関同士、魁皇と琴欧洲は、がっかりする相撲。
魁皇は立ち合いいきなり左に動いて、相手の右かいなをたぐってのとったり。琴欧洲は東土俵に吹っ飛んだ。
魁皇の作戦もいただけないが、そこにつけいれない琴欧洲も未熟だ。相手を見ていない。
昨日の千代大海＝琴欧洲もそうだったが、大関同士の相撲は、もっといい相撲を見せてもらわなければ。

白鵬は、琴奨菊戦。過去５戦全勝とはいえ、強敵ではある。昨日のような立ち合いをすれば攻め込まれる危険があると思っていたが、さすがに今日は踏み込んだ。
立ち合い左から張っておいてまず左差し。右もこじいれようとして果たせなかったが、琴奨菊が左右からはさみつけて出ようとするところを、懐の深さをいかしてはたきおとした。
今日は白鵬の前に出る圧力が相当相手に効いていたと思う。
相手がよく見えているし、いかようにも対応できるという柔軟な相撲ぶりだ。
さて、これで明日は、琴光喜との全勝対決。残るのはどっちか。

朝青龍は、雅山に勝つには勝ったが、内容はまったくよくない。
立ち合い当たらず、いきなり左に変わった。けたぐりをねらったようだ。
その後、突っ張ったがどこかうわずった突きで雑。
そこから左四つになったが、先に上手をとったのは雅山の方。雅山よりも四つ相撲の地力のある相手だったら危なかっただろうが、雅山もこの体勢からすかさず攻めることができなかった。
朝青龍は、ここから必死に動いて、最後は向正面に寄り切った。
なりふりかまわぬ必死の相撲で、何とか勝ったという印象。

全勝　白鵬、琴光喜
１敗　朝青龍、豊馬将
２敗　魁皇

魁皇は、相撲内容から、実質的には優勝圏内にいるとは言えない。
朝青龍は１差とは言え、これも内容からすると、それ以上に厳しい感じがする。白鵬と琴光喜の両方を自分で引きずり下ろすことは難しいのではないか。
ともかく、明日の全勝対決が何と言っても問題。それによって、以後の展開が相当変わるだろう。