naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

1月場所5日目の土俵から~若ノ鵬と間垣親方を批判する

栃煌山境澤に一気の出足。境澤は、初の中入り後の土俵で完敗。

嘉風玉乃島にいい突きが出た。

海鵬土佐ノ海にうまく二本入った。

全勝の普天王に土。左四つ、上手をとったがその上手まわしが伸びた。市原の下手を切って頭をつけて出るいい攻めを見せたが、市原のかいなひねりが決まった。
市原は、思わぬ器用さを見せたが、依然として十両1場所通過の本領を見ることができない。

今場所の旭天鵬は強い。立ち合い左に動いて上手をとると、高見盛をいっぺんに向正面に寄り切った。4勝1敗。

若ノ鵬がまたやった。岩木山に飛び上がる立ち合い。これはもちろん失敗で、惨敗となった。
若ノ鵬の変化については、再三ふれてきたが、改めて痛烈に批判したい。
平均を充分に上回るいい身体をしていながら、こういう変化に頼ることがまずいけない。師匠が、外国人に相撲の基本をしっかり教えてきたのかどうかを問いたい。
私は、基本的に立ち合いの変化相撲はよしとしない立場だ。よほどの小兵、たとえば舞の海が、飛び上がる立ち合いをしたり、立ち合いに一度後ろに飛ぶようなことをするのは、苦肉の策として目をつぶれないでもない(いわば相撲の中での「色物」として、そういうのもありかと見ることは辛うじて可能)。
しかし、いい身体をしている力士の変化、また、地力がある力士が、目先の勝ちを求めての変化をすることには、まったく賛同できない。
会場に足を運んだお客さん、またテレビで観戦する相撲ファンを無視する行為だからだ。
古い話だが、栃東が初優勝を決めた優勝決定戦での変化、また、昨年の3月場所千秋楽、優勝を争う朝青龍白鵬がそれぞれ変化相撲をとったことは、いまだに忘れられない落胆を私に残している。
ファンあっての大相撲なのだから、許されないことだと思う。
若ノ鵬にしても、期待される若手なのだから、こういう相撲は厳に謹んでもらいたい。師匠は厳しく叱るべきだ。
それと、若ノ鵬が今場所見せているこの手の変化は、変化の仕方としても下手だと言わざるを得ない。変化相撲を批判する立場で、変化の上手い下手を論じることもないのだが、若ノ鵬の変化は、横への動きをともなわず、相手の正面にいたままで上に飛び上がっているだけだ。これでは、岩木山ならずとも食うはずがない。要するに作戦としても稚拙だということだ。十両以下の時代に、こういう立ち合いで勝ちを得たことがあったのだろうか。それでクセになっているのかもしれないが。
さらに言えば、変化相撲というのは、「食う方が悪い」という場合もある。頭を下げすぎてやみくもに突っ込んだのを、相手がとっさに見極めて変化する、といったケースなら、まあ、変化が一概に悪いとも言えず、変化を誘発した負け力士の側が悪いとも言える。しかし、若ノ鵬の場合は、相手がどうきているかなどに関係なく、きまるはずもないまともな変化をしているだけであり、下手だというのに加えて、相手力士にしてみれば、「俺がそれを食うと思ったのか?」という話で、対戦相手に対して失礼だとも言える。
かつて、立ち合いの待ったに対して、制裁金が課されていた時代があった。私は、若ノ鵬のこういう立ち合いには、制裁金を課してもいいくらいだと思う。
外国人力士について、再三書いていることだが、異国からきた、古くからの相撲を知らない力士本人に100%の責めはない。「勝ちさえすればいい」のでないことを、しっかり教えない師匠が、まず悪いと思う。
間垣親方には、理事の資格はないと思う。

鶴竜は、垣添の突きをこらえて、体を開いてかわした。身体の柔らかさ。相手をよく見ている。これで4勝1敗。

豊馬将は、若麒麟の突きに押し込まれ、防戦一方となったが、何とかつかんだ左前まわしが命綱になった。今場所の豊馬将としては、まあまあいい方の相撲だったが、もちろんまだまだ本来の豊馬将ではない。
それにしても、先場所新入幕で2ケタ勝った若麒麟に初日が出ない。どうしたことか。

幕内前半戦では、この他、黒海の馬力、豪風の出足が光った。

朝赤龍が右四つから北勝力を正面に寄り切った。朝赤龍は巧さが光るいい相撲だった。

把瑠都は、立ち合いが甘い。上体が高く、若の里に二本入れられて一方的に寄られた。
相変わらず、漫然と相撲をとっている感じだ。

稀勢の里栃乃洋は、立ち合い稀勢の里の右上手が速かった。その後も休まずよく前に出た。
ただ、左ははずでわり出すような格好で攻めたのは、今一つ安定感に欠ける。やはり左も下手をとり、両まわしを引きつけるようにした方がいいと思うが。

安美錦琴奨菊は、安美錦が立ち合い低く当たり、右上手。頭をつけて相手の下手を切るという、この人らしい巧さを見せたが、そこからの上手投げが、相手を呼び込む形となってしまった。
琴奨菊は、後手にまわりながらも前に出ようとしており、相手に常に圧力をかけていたのが、勝ちにつながった。

琴欧洲は、今日はいい相撲。時天空の突き起こしを下からあてがい、右四つに組み止め、両まわし充分。左からの出し投げで決めた。相手をよく見ていたのがよかった。
しかし、NHK正面解説の北の富士さんが指摘していたように、立ち合いからすぐまわしをとってつかまえてしまう相撲が理想だろう。

魁皇は立ち合い低く当たり、出島が引くところを一気に西へ出た。今日は無難。
前に出ている分には下半身も問題がないようだ。

琴光喜は、立ち合い踏み込み勝って突き起こし、二本入れて向正面赤房寄りに、雅山を寄り切った。今日はよかった。
それにしても、雅山の元気のなさが目立つ。

千代大海は、小さい安馬に突き負けて、初日から5連敗。トンネルの出口は見えない。

朝青龍豊ノ島は、豊ノ島がまったく惜しい相撲を落とした。
朝青龍は、立ち合いから突いたが、突きながら自分充分に組む、いい時の流れが作れない。一度組んだものの、形がよくなく、自分からふりほどいて再度突き放しにいったが、豊ノ島は前さばきよくもろ差し。
豊ノ島が向正面に寄ると、朝青龍は土俵際に詰まって危なかったが、右からの上手投げで紙一重の逆転。
横綱は、向正面に詰まった時に、左をまきかえてかいなを返したのが勝因。ここが勝敗の分かれ目だった。
豊ノ島としては、もろ差しのままであればもちろん、右上手を切られずに寄っていれば、勝てていたところだ。しかし、最後は右がバンザイになっただけでなく、左下手も切れていたので、やはり分がなかった。物言いがつく相撲でもなかった。
それにしても、攻防の中で、横にまわられたり、二本差されたりと、朝青龍の動きが本来のものではない。不利な流れの中で勝ちを拾ったのは、勝負勘が戻ってきたあらわれと見る考え方もあろうが、私はまだまだ先行き不安があると見る。

白鵬豪栄道は、白鵬が立ち合い張ってすぐ右差し左上手。
豪栄道は、琴光喜戦のように、右からの下手投げでゆさぶろうと試みたが、横綱はまったく動じず、左からの上手投げで決めた。
今日の投げも、やや体の開きが不充分で、いまだ完璧とは思えない。ただ、朝青龍以下の力士の内容、星数はさらによくないので、相対的には一番いいという状況。