naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

1月場所13日目の土俵から

栃煌山が、今日は自分の相撲。どうもこの人は、いい時と悪い時がはっきりしすぎている。
今日は岩木山の突きをこらえて二本入れるとすぐ前に出た。
残り2日。ツラ相撲の傾向を生かして、最後3連勝といきたいところだ。少しでも番付を上げてもらわないと。

海鵬春日王は、海鵬が立ち合い当たって左を差すと、すぐすくった。
思い切りのよさで7勝6敗。幕内残留に向けてこの白星は大きい。

黒海は、突きからもろ差し。黒房下に寄って勝ち越し。いい相撲だった。
若ノ鵬は、このところ、両手をついての立ち合いになっているのはいいのだが、立ってからの当たりが威力不足。

市原は、今日も前に出ず。豊響が頭で当たって押し込もうとするのを、市原は左を差して止め、なおも出てくる豊響を、まわりこんではたいた。
確かに、巨体に合わぬ器用さはあるものの、見ていて物足りない。

豊馬将は、やはりどこか悪いのだろう。2勝10敗と不調の玉乃島に、頭で当たりながら、相手の攻めに下がるのみで、まったく残れなかった。深刻だ。

垣添が、把瑠都にみごとな相撲をとった。
把瑠都はひっぱりこんでつかまえたいところだったが、垣添は左右からのはずで攻めて、それを許さない。一瞬把瑠都が肩越しにまわしに手をかける場面もあったが、すかさず腰を振って切る。最後は引き落としで決めた。
みごとな技能だった。相撲の厳しさの違いを見せつけた一番。
把瑠都はこれで負け越しだが、休場場所を除くと、初めての負け越しなのだそうだ。これを機に、少し自分の相撲を考えてもらいたいものだ。

高見盛玉春日は、いい攻防。つかまりたくない玉春日は、立ち合い右に当たって突き、高見盛に差されてはふりほどいて、うまく攻めた。
しかし、今日の高見盛は、まわしにはこだわらず、最後は前に突いて出て、赤房下に押し出した。
玉春日も、相手に密着させなかったうまさはすばらしかったのだが、上背の差が勝敗を分けた。

露鵬土佐ノ海は、露鵬が立ち合い2回待った。
土佐ノ海は、手をつき、タイミングをはかって立とうとしているのに、受けない露鵬がよくない。
相撲は、露鵬のはたきを交えた押し。
土佐ノ海は、今場所は相手の動きについていけない場面が目立つ。これで10敗、十両陥落は免れない。

普天王朝赤龍は、朝赤龍が立ち合い左に飛び、普天王は何とか残したものの、足が流れて前に落ちてしまった。8勝4敗同士の対戦としては物足りない内容だった。

若麒麟の相撲が後半よくなってきた。もろ手突きから左のどわで栃乃洋を押し込み、右からの小手投げ。

鶴竜時天空は、鶴竜が力強い相撲で勝って2敗を守った。
時天空は、鶴竜に入られたくなかったのだろう。いい突っ張りで攻めたが、鶴竜はのけぞらされながらもすぐ前傾姿勢をとり、上体を起こされることがない。
結局、鶴竜時天空の攻めをしのいで右四つ、頭をつけて向正面へ寄った。
鶴竜の力の強さを感じさせられた一番。

稀勢の里旭天鵬は、旭天鵬が、今場所速い稀勢の里の右上手を嫌ったか、立ち合いちょっと左に飛んだ。
稀勢の里は体勢を大きく崩すことはなく、突いて出たが、どういうわけか、不充分の右四つになってしまった。右四つで胸を合わせれば、旭天鵬も力が出る。上手投げで崩しての寄りで決めた。
稀勢の里としては、右四つに組んでしまったことに尽きる。

琴奨菊豪栄道は、琴奨菊が立ち合い頭から当たり、突いて出て左をのぞかせた。膝を傷めているので、長い相撲を避け、上手をとってじっくり体勢を整えるよりは、速い攻めを心がけたようで、右は抱えたままで前に出た。
必死の相撲で勝ち越し。再出場の甲斐があったというところか。豪栄道は気迫負けの感。

安馬は、今日は突き刺さるようないつもの立ち合いでなく、相手を見ながら左から張っておいて左に変化。左上手からの投げで振りまわして、雅山の後ろについた。
安馬はこれで勝ち越し。残り2番勝って、2ケタには乗せたいところだ。

安美錦豊ノ島は、調子を落としてきている同士だけに、両者とも動きの鈍い相撲だった。
互いに相手の動きをさぐり合うような形から、豊ノ島が左からかっぱじいて、安美錦の後ろについた。
安美錦は、前半5勝2敗だったが、中日からの6連敗で負け越し。

琴欧洲が、今日ももろい相撲。見ていられない。
豪風が頭から当たり、体を開いて引き落とすと、琴欧洲は土俵を飛び出した。
どうして豪風相手に、こうも頭を下げて突っ込んでいかなければならないのか。立ち合い、相手の当たりを止めることはできるはずだし、左でも右でも差して、がちっとつかまえてしばえばどうということはないはずなのだが。
とにかく相撲が不安定だ。
豪風は2ケタ。

朝青龍琴光喜の対戦は、朝青龍が27連勝中。琴光喜としては、連敗を止めて男を上げ、勝ち越しといきたいところだったが、最高の相撲をとりながら、今回も朝青龍を惜しいところで破ることができなかった。
琴光喜は、いい立ち合いから、突き放しておいてもろ差しに成功。休むことなく一気に西へ寄った。朝青龍は右をまきかえながら、土俵際辛くも残して寄り返す。
右四つの体勢は、琴光喜上手充分で、朝青龍に上手を与えない、依然として有利な体勢。
中盤までの琴光喜は、いい形になってからの攻めが遅かったが、今日は攻めあぐむことなく、よく前に出た。朝青龍のまきかえに乗じて黒房下に寄ったが、朝青龍が右からの下手投げで逆転。
これだけのいい相撲をとっても、朝青龍には勝てないのか、という感じだ。
琴光喜としては、勝機はいくつもあった。勝負をつけきれなかった理由がどこにあるのか、また、最後に投げを食った理由がどこにあるのか、よくよく考えて、来場所以降に生かしてほしい。
一方の朝青龍は、余裕のない相撲ではあったが、よくしのいで勝ちをものにした点では、やはり充分に調子を戻したと言える。

結び、白鵬魁皇も熱戦。しかし、白鵬としては今ひとつの内容だった。
白鵬は立ち合い突いて出たが、左四つになってしまったのがまずかった。魁皇がひっぱりこんだ感じがある。
互いに上手がとれない体勢。白鵬は、逆足から右おっつけで上手をさぐるがとれない。右まきかえも見せたが魁皇が許さない。
膠着状態となったが、やはり相手充分の四つなので、白鵬としては安心できない格好。魁皇がもっと元気で、先に上手をとるようなことがあれば、危なかったと思う。
その後、白鵬が右をまきかえてもろ差し。魁皇もまきかえて右四つとなった。
白鵬充分の右四つで、とりあえず体勢はよくなったが、依然両者上手がとれない。
この相撲は、全体に白鵬の動きがよくなかった。
場所終盤にきての疲れがあるのか。そうでなければ、もろ差しになった時点で攻めていたはずだ。魁皇に右のまきかえを許すというのは考えられないことだ。
白鵬は、右四つになったことで、少し気持ちに余裕ができたか、左かいなをだらりと下げ、攻めを控えて、無理をせずに少し休んだ感じがあった。
魁皇としても、既にスタミナ切れしていたし、不充分の右四つなので、自分から攻めることができない。
最後は、白鵬が機をうかがって上手をとって寄った。下がるともろい今場所の魁皇。残す腰がなかった。
それにしても、最後の2番、両大関の健闘で、大変値打ちのある、いい相撲となった。

1敗 白鵬朝青龍
2敗 鶴竜

14日目、白鵬琴光喜朝青龍魁皇との対戦。まず、順当に横綱が勝つ可能性が高い。敗れる可能性があるとすれば、今日の相撲の状況からすると白鵬か。
できれば、千秋楽に1敗同士の相星決戦となってほしいものだ。
鶴竜もちょっと不気味だが・・・。