naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

1月場所千秋楽の土俵から(1)~本当にいい相撲を見ることができた

垣添海鵬が、千秋楽の土俵で、力を出し尽くした熱戦を見せてくれた。
突き合いから垣添が押し込んだが、そこから海鵬もよくねばった。いい相撲だった。

若ノ鵬春日王は、若ノ鵬が立ち合い右四つに組んで、一気に西へ走った。
これで若ノ鵬は2ケタ。後半戦は相撲がよくなってきた。

栃煌山に踏み込みがなかった。黒海と押し合いになったが、すぐに引いてしまった。体の開きがなくまともだったので、黒海についてこられて土俵を割った。
栃煌山は8勝止まり。

豊響は、頭で当たって、愚直な突きで玉乃島を押し出した。豊響は、千秋楽、いい突きが出た。

豊馬将が、千秋楽にやっと白星。頭から当たって、嘉風の突きを前傾姿勢で何とかこらえる。途中一度はたいて、正面に詰まって危なかったが、左を入れて残した。
その後右も入れてもろ差し、正面赤房寄りに寄った。

豪風が敢闘賞に花を添える12勝目。
立ち合い低く当たって、一気の押し。市原を花道の奥まで吹っ飛ばした。
今場所波に乗る豪風の勢いが出た。一方の市原は、今場所ここまでの相撲では、この結果もやむを得ない。

北勝力が突くところ、旭天鵬は何とかまわしをとってつかまえようとしたが、北勝力は常に相手との距離をとったまま、最後は引き技で決めた。
旭天鵬は、終盤ちょっと疲れが出たか。

普天王が、立ち合い左を差すと、把瑠都は右上手をとり、左からおっつける。
普天王の右と把瑠都の左との攻め合いとなったが、把瑠都が意表に出る内無双
把瑠都にこういう小器用な相撲を見せてほしくない気がする。
一方の普天王は、左を入れたなら、右は上手をねらうのが妥当だっただろう。右の使い方が失敗。
普天王は、8勝2敗から終盤5連敗で8勝止まりに終わった。

7勝7敗同士、高見盛露鵬は、露鵬が立ち合い左に変わって上手投げ、高見盛に後ろを向かせたが、高見盛も機敏に向き直ってもろ差し。
右の差し手を返しながら、正面に寄り切った。
ところで、今場所は、幕内で、7勝7敗で千秋楽を迎えたのは、琴光喜露鵬高見盛の3人。これは、普通よりずいぶん少ないのではないだろうか。

雅山は、栃乃洋を突き立て、白房下に押し出した。栃乃洋は、まわしをさわらせてもらえなかった。
今場所、雅山の突きにかつての威力がなくなったように思ったが、今日の一番では、本来の重い突きが出た。

豊ノ島豪栄道は熱戦。
立ち合い、豪栄道が頭から当たって、すぐ左四つ。豪栄道は左下手から投げでふりまわした。ここまでは豪栄道ペース。
しかし、豊ノ島はこれを残して、豪栄道がもろ差し、豊ノ島外四つの格好で、動きが止まった。
この形だと、豪栄道は却って窮屈。
それでも、攻めたのは豪栄道。寄って出て、西の土俵際で投げの打ち合いとなったが、豊ノ島はねばってこれも残し、豪栄道の体勢が崩れたところを逆襲した。
豊ノ島のねばり勝ち。豪栄道としては、常に攻める姿勢はよかったが、何かが一つ足りなかったという感じの相撲だった。

稀勢の里時天空は、稀勢の里が立ち合い右から張って、左からおっつけ。今日は離れる相撲に徹して、そのまま正面に押し出した。2ケタ。

琴奨菊朝赤龍は、一方的な相撲になった。
立ち合い琴奨菊が左を差し、右はおっつけから上手をとって、西へがぶって寄った。
膝を傷めているとは思えない相撲で、途中休場がありながら9勝。
朝赤龍は11勝目をあげて、三役復帰を確実にしたいところだったが、ちょっと微妙になった。

安馬は、立ち合い鋭く当たって突き起こし、鶴竜を西土俵に一気に押し出した。いい相撲だった。腕がよく伸びた。
鶴竜はねばる場面を作れず。しかし11勝は立派だ。

魁皇琴欧洲は、魁皇が立ち合い二本入れたが、長身の琴欧洲をもっていくだけの攻めは出ない。
琴欧洲は、落ち着いて両上手をひきつけ、頭を相手の顎の下にうずめながら、正面に寄った。
琴欧洲としては、こういう相撲をとってほしいと思う。

7勝7敗の琴光喜は、安美錦戦。
立ち合いすぐ右四つ。切り返しを見せて崩し、安美錦が左をまきかえにくるところ、黒房下に寄った。千秋楽の勝ち越しはふがいない。

さて、結び、白鵬朝青龍の一番。横綱同士の相星決戦は、期待にたがわぬ熱戦となった。
立ち合い、朝青龍は、左四つをねらって右前まわしをとりにいったが、白鵬はそのかいなをひっぱりこむような感じで右四つに持ち込んだ。
朝青龍は、左をまきかえにいったが、白鵬もすかさずまきかえ返して右四つの体勢は変わらない。
以後は、右四つがっぷりの形から、誠に手に汗握る、力の入った攻防となった。
最後、朝青龍がつりを試みたが、つりきれず、相手を土俵に下ろしたところで、白鵬が左からの上手投げを打って、大熱戦に決着をつけた。
立ち合いから、右四つになるまでの間に、勝敗の分かれ目があったと言える。
朝青龍としては、絶好調時であれば、立ち合いからの動きで、自分優位の体勢を作ってしまうところだが、それができずに、相手充分の右四つに組んでしまったのが敗因と言える。
朝青龍は右四つでもとれるが、右四つ得意の白鵬相手では、さすがに分は悪いと思う。
特に、白鵬の方が上背がある分だけ、がっぷり四つの攻防となると、朝青龍としてはは苦しいところがある。
朝青龍が、存分に動けなかったのは、やはり、2場所本場所を離れた影響でもあっただろうし、白鵬がこの間力をつけて、それをさせなかったということでもあろう。両方だと思う。

それにしても、これだけいい相撲を見られたのは、久しぶりのような気がする。
平幕同士の、突き押しの熱戦、あるいは技能派力士のうまい相撲もいいが、やはり、強い者同士が、力を尽くして攻防をくりひろげる相撲は、こたえられないものがあると、改めて思った。
(昨年の3月場所では、この二人の優勝決定戦で、白鵬が立ち合いの変化という大落胆を与えてくれた。やっぱり、実力者同士で優勝を争うなら、今日みたいな相撲でなければいけないよ)

おそらく、歴史に残る、語り継がれる一番だろうし、今日、国技館に足を運んだお客さんは幸せだ。

今日の仕切り、白鵬の表情に厳しさがあった。白鵬は、場所前から、2場所休んでいた横綱に優勝させるわけにはいかない、と発言していた。それは、兄弟子負けしないように自分を鼓舞するためだっただろうし、同じ横綱としてのプライドだったと思う。
朝青龍が今場所も休場していたら、白鵬が3連覇できたかどうか、これは案外わからない。やはり、両雄並び立つ状況の中、優勝争いにおいて、また直接の対戦において、朝青龍に負けるわけにはいかない、という気持ちが、今場所の白鵬をさらに強くし、最後に結びの一番の勝ちにつながったと思う。
やはり、強い者同士で切磋琢磨することが、当人たちのためにもなるし、この相撲界のためにもなる。来場所以降も、こうした関係が続くことを期待したい。