naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所13日目(2)~どうした朝青龍、まさかの連敗

さて、昨日土がついた朝青龍は、目下28連勝中のカモ、琴光喜との対戦。
昨日で6勝6敗と星を五分に戻した琴光喜だが、両横綱との対戦を残しており、勝ち越すためには、どちらかを倒さなければならない状況。横綱大関の対戦とはいえ、朝青龍は天敵中の天敵。毎場所いいところまでは攻めながら、返り討ちに合っている琴光喜が、今場所は調子今ひとつなだけに、あまり期待は持ちにくいと思って見た。
しかし、昨日あたり、本来の立ち合いが戻ってきた琴光喜が、今日は最高の立ち合いを見せ、接触するやいなやすぱっともろ差し。すぐに朝青龍は右をまきかえ、右四つ。しかし、琴光喜は上手充分、朝青龍に上手は与えず、まだまだ絶好の体勢。
しかし、琴光喜は出ない。これはいつものパターンで、どうせ連敗を重ねるなら、いい体勢になったところでがむしゃらに出なければならない。びびってしまうのか、妙に攻めあぐみ、横綱に体勢を立て直されてりまうのが常だ。
今日もその轍を踏むのか、と懸念していると、琴光喜はそれでも引きつけて西へ寄ろうとした。身体が密着したことで、ここで朝青龍が上手をとり、がっぷり四つ。この形なら、まず横綱が五分以上にとれる。
これでやはり今場所もだめか、という局面になった。朝青龍は、琴光喜の下手を切る巧さを見せ、ますます体勢を持ち直しかかったが、ここは琴光喜も下手を取り直して、またがっぷり四つ。
しかし、琴光喜は、ここから腰を振って相手の上手を切ると、次の瞬間左からの上手投げ。朝青龍は膝から落ちて、とうとう琴光喜戦の連勝が28でストップした。過去最多連勝である、北の湖=栃光の29連勝に並ぶことはできなかった。
琴光喜が、この決め方を最初から考えていたかどうかわからないが、とにかく、上手を切った瞬間に間を置かずに投げたのがよかった。左ひじを締め、下に投げたのも効いた。
琴光喜はこれで7勝6敗。負け越し回避に大きな星となった。
それにしても。
今場所前半の琴光喜の相撲から、今日の対朝青龍戦連敗ストップを予想した人がいただろうか。
私は、早晩休場すると思っていた。それほど相撲にならない日が続いていたのだが、どんなに好調な場所でも倒せなかった朝青龍を、そんな場所に破るとは。相撲とはわからぬものだ。
まさかの連敗を喫した朝青龍は、負け残りの控えで呆然とした表情。結びの一番の後、引き揚げる時も、悔しいというよりはがっくりきたような顔だった。珍しいことだ。
不利な局面を持ち直しながら、逆転されたことがショックだったのだろうが、特に、最後の決められ方が想定外だったのだろう。寄ってくれば、そこで自分が投げて崩すことを考えていたが、土俵の中で、電光石火の投げを食うとは思っていなかったのかもしれない。
それにしても、昨日今日、朝青龍の立ち合いが急に悪くなった。どうしたことなのか。
放送では、疲れが出てきたようだと指摘されていたが、もしかすると、朝青龍自身にその自覚があり、2場所実戦を離れた影響が、想像していた以上に深刻だと感じているかもしれない。それであれば、勝負の後の表情も理解できる気がする。

さて、昨日と逆に、目の前でライバル横綱の敗戦を見てから土俵に上がった白鵬、普通にとればまず問題のないと思われる魁皇相手ではあっても、昨日から、横綱がここまで3連敗している状況だと、この一番も何があってもおかしくない。朝青龍の連敗を見た白鵬の、この時点での精神状態がどうなのか。まして、今場所、ツボにはまれば強さを見せている魁皇だ。
時間いっぱいの塩で、不思議なくらいに館内が沸かない。一番前の朝青龍の敗戦に、観客の関心が集中し続けていたのだろうか。
立ち合い、すぐに左差し。しかし、白鵬は下手はとったが上手が遠い。この形だと魁皇も力を出せる。
果たして魁皇は、右からおっつけて向正面に寄って出た。しかしさすがに白鵬もこの寄りは残した。魁皇は、白鵬の左下手を切っておっつける。白鵬が不充分な形のままで下手に攻めると、魁皇が右から小手に振ったりしてくるので、ここはしっかり下手をとるべきところだ。
しかし、最終的には、白鵬が下手がとれないまま、右上手を引きつけてじわじわと東に寄り、最後は赤房下で勝負をつけた。下がると弱い魁皇が出た。
まあ、今の基本的な地力の差からは、魁皇充分の形でも、魁皇白鵬を寄り切ることは難しい。勝つなら、かいなをたぐって振りまわしたり、横から攻めるなどの形だろう。左四つに組んで上手はしっかりとっていたので、白鵬としては終始優位に勝負を進めることができた。

2敗 白鵬朝青龍
3敗 黒海把瑠都栃煌山

13日目にして、両横綱が並ぶ展開となった。これで、明日の優勝決定はない。どういうパターンにせよ、千秋楽の結びの一番が、優勝のかかる対戦になる。
3敗の平幕力士のチャンスは、数字の上では残っているものの、可能性はきわめて低いと思う。
横綱に絞って考えると、おとといまでは、相撲内容では断然朝青龍の方が上だったが、昨日今日の予想外の失速を見ると、わからなくなった。特に、前記の、朝青龍の精神状態がどうなのか。明日の魁皇戦に注目したい。魁皇戦の内容で、千秋楽の白鵬戦については相当予想がつくと思う。
一方の白鵬は、内容今ひとつの状態でずっときたが、昨日の千代大海戦をケガ負けとすれば、一応内容は上向きつつあると考えていいと思う。負けないしぶとさはある。
現時点での予想としては、ほんの僅かだが、白鵬が有利になったように思う。とにかく、明日の魁皇戦での朝青龍を見たい。