naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

ためになりました 裁判員制度勉強会

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今日4日(土)、裁判員制度の勉強会に行ってきた。

毎年10月1日は、「法の日」。10月1日~7日は、「法の日」週間として、全国各地で行事が行われている。

日本経団連では、毎年10月を「企業倫理月間」としている。
私の勤務先でも、10月は、企業倫理月間として、遵法点検などを行っているのだが、本社から、この機会に各地の行事に参加するよう、呼びかけがあった。

支店の総務部に勤務する立場でもあり、近くで行われる行事を調べてみた。
時節柄、今年は裁判員制度をテーマとした行事が多く、東京でももちろん行われるが、千葉でも行われることを知り、今日の行事に参加申込をしていた。

会場は、千葉市生涯学習センターというところ(写真一番下)で、千葉都市モノレール千葉公園駅が近いという。
千葉公園駅を下りて、久しぶりに千葉公園を歩き、会場に向かった。

千葉公園に来るなんて、何年ぶりだろう。園内には、10月だというのに、まだ蝉(ツクツクボウシ)の声が鳴り響いている(写真上から3枚)。

さて、今日の勉強会のタイトルは、

  「裁判員を学ぼう」~裁判員を体験してみようin千葉

というもので、千葉地方・家庭裁判所千葉地方検察庁、千葉県弁護士会の共催である。

13:30にスタート。

まず、裁判員制度の概要を説明するビデオが上映された。

次に、今日の目玉、「模擬評議」である。
会社の研修でよくやる、ケーススタディのイメージだ。

最初に、ビデオで、事件とその裁判をドラマ仕立てで30分ほど観た。
酒井法子、岡本麗、伊丹幸雄斉木しげるなどが出演。

「電車の中での些細なことをきっかけに、乗客同士が、降車した駅の構内で、暴力沙汰のトラブルになる。一方的に暴力をふるったのは、一方の乗客(男性)だが、駅の階段から突き落とされた上に暴力をふるわれた乗客(男性)は、一緒にいた身重の妻までが突き飛ばされるに至り、持っていたナイフで相手の胸を刺して死亡させた」
という事件だ。つまり、暴力の被害者が、一転して相手を殺した加害者になったというケース。

会場に入場する際に、クジを引くように言われた。このクジに当たった6人の受講者が、裁判員として壇上に上がるという趣向だ。
幸か不幸か、私はクジには当たらず、ギャラリー。

壇上に、男性1名、女性5名の受講者が上がった。実際の裁判での裁判員も原則6名なのだそうだ。
これに、千葉地裁の本職の裁判官が、裁判長役として加わる。

裁判員は、担当する事件の公判(審理)に出席する。その後、非公開の「評議」を行い、裁判官と一緒に議論し、有罪、無罪や刑罰を決定する。その評議の部分を、壇上で模擬的に行うわけだ。

裁判官からは、「完成された意見でなくていいのです」、「思いつきがむしろ重要なので、考えたことは何でもいいですから、積極的に発言して下さい」という話があった。

会場に来て、急に裁判員役を命じられた6人の方々だったが、この勉強会に来ようと思われただけあって、心の準備もできていたのか、皆さん、堂々たる裁判員ぶりだった。

ドラマの中で行われた裁判では、検察側は、「殺人罪で懲役8年」を求刑し、弁護側は、「正当防衛であり無罪」を主張して終わっている。
これを受けた、壇上での模擬評議の中では、ナイフで刺した行為が、正当防衛(その場合は無罪)なのか、過剰防衛なのかが論点となった。

今回の模擬評議の結果では、6人とも、「正当防衛は不成立」、従って無罪ではない、との判断で一致した。
次に、実刑か執行猶予かの話題となり、時間の都合でこれは単純な多数決になったが、「実刑とするが懲役は5年とする」が3人、「執行猶予」が3人(内1人は、懲役3年に減刑の上で)という結果だった。

会場の受講者にも、アンケート用紙が配られており、
   無罪
   有罪かつ実刑
   有罪だが執行猶予
の3択で答えるようになっていた。

これの集計結果も発表されたが、
   無罪 17%
   有罪 83% → その内、実刑    34%
                   執行猶予 66%
となった。

ちなみに私は、「正当防衛とは言えず、有罪。但し、妊娠中の妻に加えられた暴行が、刺したきっかけとなっている点を情状とみて、執行猶予」、「求刑の懲役8年が量刑として妥当かどうかは、判例により判断」と考えた。

裁判員役の皆さんが、それぞれ感想を話して降壇された後、壇上には、現職の検察官、弁護士が上がられ、先ほどからの裁判官と3人で、講評。
更に、会場からの質疑を受ける、という形で進み、16:15頃終了した。

私には、非常に興味深く、またためになる勉強会だった。

裁判員制度は、来年の5月21日からスタートすることになっており、千葉市在住の私は、千葉地裁にて行われる裁判の裁判員として呼ばれる可能性がある(選挙人名簿からクジで選ばれるとのこと)。
県庁の脇にある、あの裁判所に行くことになる(妻の亡父が、調停委員をやっていた)。

裁判所からお呼びがかかる可能性は、配付資料によれば、1年間で、約330~660人に1人程度なのだそうだ。宝くじに当たるよりは高い確率?

裁判員制度というものには、私はどちらかというと消極的あるいは否定的な感覚を持っていた。
法律の知識に自信はないし、第一、素人にあれこれ物を言われることが、プロの裁判官としては、どうなんだろう、とも思ったりしていた。

今回の勉強会で、そのプロの裁判官、検察官、弁護士の方々は、口を揃えて、「一般人の感覚で、率直に意見を言ってくれたのがよかった」、「むしろプロの自分には気がつかない意見が聞けて参考になった」と、模擬評議の裁判員役を評していた。

まあ、裁判員制度普及のための勉強会だから、リップサービスもあるとは思う。
ただ、確かに、専門知識を云々すれば勝負になるはずもない、一市民が裁判に関与する、ということを問題にしてしまえば、裁判員制度そのものがなりたたない話だ。

しかし、現実に来年スタートしようとしているからには、その「一般人の感覚」で臨んでいいのだろうし、自分の場合、呼ばれればそうする他はないんだから、それはそれで仕方がない、とは思った。

まあ、勉強会が終わって、今の時点でも、積極的に裁判員やってみたいなあ、とは思わない。
多少の興味はあるが・・・。

今日の勉強会まで知らなかったこと。
公判に出ないといけないことは、何となく知っていたが、6人の裁判員は、裁判官の両脇に3人ずつ座るのだそうだ。

これって、結構プレッシャーありそう。
原告、被告、証人と、裁判官と同じ場所、同じ高さで正対することになるんだから。
殺人事件の被告と向き合って、視線が合う、なんて、結構ビビるのではないだろうか。
顔をおぼえられて、逆恨みされて、いずれ服役から出所してきたら、路上で報復される、とか・・・。
そんなのは余計な心配なんでしょうか。

それはともかく、私には大変ためになったこの勉強会、同じ内容でもう1回開催される。
10月18日(土) 13:30~16:00、場所は、新浦安駅前のWave101の中にある、多目的中ホール。
今日の千葉が定員200名だったところ、浦安開催は80名と小規模だが、入場無料は同じ。
興味をお持ちの方は、申し込まれてはいかがでしょうか。
   申込先:千葉地方裁判所総務課 電話043-222-0165(内線3425、3423)