naokichiオムニバス

67歳会社員。ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

【ご注意:ネタバレ情報】 08.11.26 小田和正東京ドーム (後編)

アクシデントによる不調

大阪でのアリーナツアー終了からちょうど2ヶ月。
休養充分とみえて、声は絶好調だった。

今回のツアー、札幌、武道館の時には、声の不安を感じたのだが、この日のドームではまったくそんなことがなくて、復活! という感じだった。

しかし、MCの中で思わぬ話が。

5日前に、幕張でGPをやっていた際に、演出で乗っていた自転車でスピードを出し過ぎて転倒し、腰を痛めたのだと言う。

広いドームだから、いつも以上に走りまわろうと思っていたけど、走れない、と言った。

そのMCを聞くまでは、いつもみたいに走らないな、程度に思っていたのだが、以後は心配になってしまった。
それでも、走れはしなくても、小田さんは、設置された花道を動いた。

「キラキラ」の時に、小田さんは、自転車に乗って、アリーナを一周した。
アリーナツアーの際も、この曲では、場内をまわる演出だった。
札幌の時は、ステージからスタンド席に上がって一周。武道館の時も、アリーナを一周。

さすがに、ドームでは走って一周できないから、と自転車を使うことにしたのだろう。
この演出の練習で転倒したということなのか、と思った。
しかし、片手でハンドルを握り、片手でマイクを持って歌いながら走るのは、やっぱり危なっかしい。
我々のブロックのすぐ後ろも通ったが、嬉しいというよりは心配が先に立ってしまった。

この自転車はやはり無理だったのか、以後、小田さんの動作がますます辛そうになった。

「できるだけみんなの近くに」と、ツアーの時は、花道を作ってオーディエンスに近づこうとしている小田さんとしては、このドームでもその思いは強かったはずだが、思ったように舞台や花道を動けない自分が、さぞかし不本意だっただろうと察する。

そもそも、小田さんの場合、普通ならば、そのことを伏せたままでステージをがんばり通すタイプだと思うので、MCでしゃべったこと自体、不本意だったと思う。状態がよほど悪かったということだろう。

本編最後の「ダイジョウブ」でも、左腰に手を当てながら歩く姿が痛々しく、ライブを満喫するという心境からは遠くなってきた。

そしてアンコール。

アンコールナンバーとしては鉄板の「またたく星に願いを」を、一体やれるのか?
出を待つ間、不安が募る。

しかし、やったね。
でも、場内も、手の振り方がちょっと遠慮気味だった感じも。

私は、「何の曲を歌うんでも、もうステージの真ん中で、動かずに歌ってくれればいいから」と思っていたのだが、それでも動くんだな、小田さんは。

「君住む街へ」でも、花道をゆっくりと一周した。動かないでいればいいのに、と思ったが、一周した。
たぶん、予定の通りには歩けていない。歌い終わる時には、移動してきてここの位置に立つと決まっていても、そこまでたどりつけない。そう思えた。
それでも。それでも、小田さんは一周した。

小田さんの思いの強さがそうさせたのだろう。

でも、もう一度書くが、歌については、私が聴いた、札幌、武道館よりもずっとよかった。絶好調だった。

悔しかっただろうな、小田さん。
聴いているこちらも悔しかった。

終演の時点では、これで明日、まだもう1日ある東京ドームは大丈夫だろうか、と思ったが、mixiなどの書き込みを読むと、無事に公演は終わったようで安堵した。

あまり時間はないが、名古屋、そして大阪までに、体調を整えて、悔いのないステージをしてくれればと願う。

オフコースへの思い・・・?

アリーナツアーでは、オフコースの曲がたくさん歌われた。

何か回顧的だなと感じていた。

この日のドームでも同じだったが、昔のツアーで使われた映像を目にしたのには驚いた。

「きかせて」では、「We are」のツアーの時の、マンハッタンの夜景(途中で、東京湾岸の夜景に切り替わった)。

「生まれ来る子供たちのために」では、海原を進むヨットの映像。これは、私は実ははっきり記憶していないのだが、映像が古い感じがしたので、たぶん、その前のツアーか、初めての武道館の時に使われたものではないかと思う。

そして。
「言葉にできない」では、これはもう忘れられない、ひまわりの映像。「over」のツアーで使われたあのひまわりが、あの時と同じタイミングでビジョンに映し出された。
びっくりした。
もしかして、「We are」とか「over」とかいう文字がかぶさるのか、と思ったが、それはなかった。

そして、中盤の、オフコースの曲のメドレーの時には、オフコースの時代の写真や映像が、当時を回顧するように映し出された。
「若い広場」や「NEXT」の映像も使われた。

とにかく回顧的。

そもそも、オープニングで流れるアニメも、子供の頃からの小田さんを振り返るストーリーになっているが、それも含めて回顧的。

どんな思いでこういう演出にしたのだろう。小田さんの思いは・・・?

それと、一つ思ったことがある。

19年ぶり、あのオフコースの最後のステージ以来の東京ドーム。

私も含めて、会場に足を運んだファンの中には、そのことを意識していた人が少なくなかったと思う。

これまでのツアーでも、MCの中で、オフコース時代の話題にふれていただけに、絶対にあの89年2月26日のことが語られるだろうと思っていた。

しかし、意外にも、小田さんの口からその話題が出ることはなかった。

そして、気がついてみれば、ビジョンに映し出された写真や映像の多くは、5人の時代のオフコースのものだった。オープニングのアニメもそうだった。
4人の時代のオフコースの写真や映像は少なかった(というか、正確に記憶していないが、まったくなかったかもしれない)。

小田さんにとって、オフコースは、鈴木(康博)さんも含めた、5人でのバンドという思いがあるのではないか。
そう思った。

これから・・・

それらのことと関連するが、小田さんの今後についても、あれこれ考えずにはいられない。

61歳という年齢もあって、このツアーが最後になるのではないか、という説も出ている。
小田さん本人は、MCなどでそれを冗談めかして否定しているし、この日のMCでも、「またこの東京ドームを走りまわりたい」と言っていた。

少なくとも、今の時点で、これを最後のツアーにする、という決意はしていないのだろうと推測する。

ただ、「そうなるかもしれない」という気持ちが、小田さんのどこかにあるのかな、とは思う。

「きっとまたいつか」というツアータイトル。逆説的に読めば、必ず2、3年後にツアーをやる事が確実なら、別にこんなタイトルはつけないだろう、と思えてしまうのだ。

小田さん自身の中に、「きっとまたいつか」と願う気持ちがあるからでは?

そして、今回のドームツアーで初めて歌われた新しい曲、「さよならは言わない」。
今の自分の思いだ、というようなMCの後に歌われたこの曲、私には、何か小田さんには珍しく、気持ちが露わな詩のように思えた。

小田さん自身の中に、「さよならは言わない」という決意があるからでは?
裏返せば、そこに別の意識もあるのか・・・?

そして、この日のライブで一番びっくりしたのは、最後の最後に歌われた「きっと同じ」。

バンドのメンバーがステージを去り、小田さんが一人残った。

こういう時、小田さんがピアノを弾きながら1曲歌って、静かにしめくくることはよくある。
しかし、このドームのステージには、もともといつものようにピアノは置かれていない。「東京の空」以降で使われたスタインウェイは、その時だけ花道中央に設置されたものだったので、既に置かれていない。

小田さんが持ったのはギター。
小田さんが、一人でギターを弾き語りするのを、これまでに私は見たことがない。

何を歌うんだ?

弾き出されたイントロに耳を疑った。「きっと同じ」。

5人のオフコースの、最後のオリジナルアルバム、「I LOVE YOU」に収録されている短い曲。

このアルバムは、5人のオフコースのラストとなった、あの82年6月30日の武道館の時点ではまだ発売されていなかった。
おそらく、この曲は、4人になってからのオフコースのライブ、そしてソロとしてのライブで歌われたことは、一度もないのではないだろうか。

そういう曲を、何故、この最後の最後に歌ったんだろう。

歌う前に、「できるだけのことはしたくて」と小田さんは言った。不本意な体調でのステージになったことを指しているのだろうと思った。

しかし、ビジョンには歌詩が出たから、急な思いつきではなく、予め決まっていた選曲だったのだろう。

どうして?

この曲は、こんな歌詩で締めくくられる。

   始まることも 終ることも
      きっと同じだね きっと同じだね

   きっと同じだね

小田さんの中に、どんな思いが・・・?

今はまだわからない。
きっと、いつかわかる日がくるのだろう。

まだ、名古屋と大阪の公演が残っている。最後の最後となる、大阪には行く。

素朴な意味でなく言うが、「楽しみ」だ。

最後にもう一つ。

「きっと同じ」をレコーディングした時のエピソードを、何かで読んだことがある。

小田さんが、曲作りをしながら、「このフレーズを弾いてみてくれないか」と、鈴木さんに頼んだ。
鈴木さんが鮮やかにそれを弾いたのを聴いて、小田さんが「やっぱりヤスのギターは全然違うな。かなわないなあ」と言った。

・・・と言ったような趣旨の話だったと記憶する。

その曲を、自らのギターで弾き語りした。
そこにも、あるいは、小田さんの、鈴木さんへの、鈴木さんがいた頃のオフコースへの思いがあるのだろうか。

そんなことを思いながら、席を立ったのだった。

※関連の過去記事

  89年2月26日・・・オフコース 「The Night with Us」 東京ドーム
     http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/46518307.html
  【ご注意:ネタバレ情報】 08.8.23 小田和正ライブ 曲目リスト
     http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/56374440.html
  【ご注意:ネタバレ情報】 小田和正ライブを聴いて・・・
     http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/56375114.html
  【ご注意:ネタバレ情報】 08.9.11 小田和正武道館
     http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/56599456.html