naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

崩御の日

89年1月7日、昭和天皇崩御

あれから20年経つ。
速いものだ。

前年の9月に吐血されて以降、陛下の病状は、連日メディアで報道され、年を越せるのか、という感があったが、「昭和64年」の正月を迎えていた。

1月7日は土曜日だった。

土曜ということで、会社の休日ではあったが、当時私が所属していた本社の営業部門は、得意先等の対応のため、電話番を交代で置いていた。
そして、その日、私は電話番に当たっていたのだった。

正月にひどい風邪をひいて、前日の6日は会社を休んだ。部署の先輩が心配して、代わりの電話番を手配したと知らせてくれたのだが、自分の風邪のせいで迷惑をかけるわけにはいかない。
「必ず行きますから」と、そのピンチヒッターを断ってもらった。

当日、朝起きると、幸い体調も少し快復していたので、会社に向かった。

当時、まだ京葉線は東京まで全通しておらず、総武線秋葉原に出て、山手線か京浜東北線に乗り換えて東京に向かうのが通勤ルートだった。

秋葉原から東京に向かう途中、神田のあたりだったか、車窓から見えた電光ニュースに、「天皇崩御」の文字が流れていた。

「とうとう」と思った。

そして、電話番を終えて退社し、帰宅する途中、駅のホームのキオスクのラック、夕刊紙の宣伝垂れ幕の文字で、新元号が「平成」であることを知ったのだった。

慣れ親しんだ「昭和」に比べると、何か、ふわふわと頼りないような印象を受けたものだ。

翌8日から始まる予定だった、大相撲1月場所は、1日延期された。
月曜日に始まり、月曜日に終わるという、きわめて異例の場所だった。
横綱北勝海が優勝した。

前年秋から、日本中が、自粛ムードで重苦しい空気だった。
それは、この崩御の日に一つの区切りを迎えたものの、2月24日に行われた大喪の礼までは続いたように記憶する。

64年まで数えた昭和が終わり、新しい元号の「元年」が始まったその時、この「平成」は何年まで続くだろうのかと思ったものだが、年を重ねて21年。

本当に速いものだ。

今上天皇の体調不良が伝えられる昨今だが、ご快復を祈りたい。