３月場所４日目～栃煌山、朝青龍に通じず

山本山が、今日もいい出足で豊桜をまっすぐ持っていった。今のところ、横に動かれてばたばたする場面がない。

朝赤龍と垣添は、白房下で投げの打ち合い。朝赤龍の右小手投げに、垣添は顔から落ちた。垣添が落ちる目の前で、朝赤龍の左手も落ちたので、垣添としては物言いがつかないのか、と不満げな表情だった。確かに微妙。物言いがあってもよかった。

阿覧の変化にはまってものの見事に落ちてしまった栃ノ心は、｢何だ、この野郎｣と言いたげな表情で、ガンをつけていた。

栃乃洋は、のぞかせた得意の左が存分に生きた。豊真将を、左からすくっておいてから送り出し。

高見盛は、立ち合い左前まわしをとるのが速く、休むことなく前へ前へ出て、玉乃島を寄り切った。高見盛としては最高の相撲。

安美錦は、まわしにこだわらずに、前さばきよく嘉風を押し出した。

稀勢の里も、まわしにこだわらず、雅山を赤房下へ押し出し。左のおっつけが効いた。雅山の突きの威力が、やはり落ちたと感じる。

魁皇と把瑠都は、魁皇の右からの小手投げがうまく決まった。大きな把瑠都にまともに突かれたり、先に充分に組まれると危ないと思っていたが、魁皇が先手で動いてそういう流れを作らせずに決めた。把瑠都は左右とも終始まわしがとれず、これではどうにもならない。

千代大海が回転よく突いたが、豪栄道も必死に応戦。機を見て、右から相手の左をたぐり、左四つに組み止めて、寄り切った。場内の子供たちの大声援に応えた。千代大海は、土俵から下がってひきあげる時に、足をひきずっていたが、大丈夫か。

琴欧洲と旭天鵬は、立ち合いきなりがっぷり右四つ。旭天鵬も力が出る体勢とは言え、大関有利と思ったが、琴欧洲が寄って出るところ、青房下で旭天鵬が左上手投げで逆転。琴欧洲は上手の引きつけが甘く、寄り方がよくなかった。厳しさ不足。

琴光喜に鶴竜は、琴光喜が立ち合い左から張って右差し。これで少し安心できただろう。互いに上手がとれなかったが、琴光喜が左から無双を切ってころがした。内容的にはほめられないが、琴光喜にとっては、勝てば何でもいいというところだろう。

日馬富士が、また危ない相撲を逆転。立ち合い右のどわで突き起こしにいったが、北勝力相手にこの立ち合いは間違いだった。北勝力のもろ手からの突き起こしの方がまさり、白房下に押し込まれた。ここで、稀勢の里戦の時と同じく、辛うじてまわりこみながら体をかわすと、北勝力が前に落ちた。日馬富士は勝って首をかしげていたが、納得のいかない相撲だっただろう。まだまだだ。

栃煌山が朝青龍に初顔の挑戦。おととい、昨日といい相撲で大関を破っているだけに期待されたが、横綱にはまったく通じなかった。朝青龍は、立ち合い右から張ってから突き、すばやく左右からすくうようにしてもろ差し。前に出ながら体を浴びせた。身長にまさる栃煌山が、得意のもろ差しになれれば面白いと思ったが、まったく相撲をとらせてもらえなかった。いつか、栃煌山が朝青龍を破る日が来るだろうか。その日を楽しみに待ちたい。

白鵬と琴奨菊は、白鵬が左から張ってすばやくもろ差し。琴奨菊が右をまきかえて右四つとなったが、白鵬は上手をがっちりとり、相手に上手を与えない万全の体勢。その後に寄った時の、腰の構え、膝の使い方が本当に素晴らしかった。

全勝は、朝青龍、白鵬、山本山の３人。