naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所7日目~観たことがない審判の対処

山本山は、今日は千代白鵬の動きについていけず、引き落とされて2敗目。

垣添木村山の一番は、木村山優位の押し合いとなり、木村山が右から突き落として、垣添に横を向かせたが、垣添もよく立ち直ってもろ差しとなり、寄って出た。垣添、いい相撲で逆転と思ったら、軍配は木村山。土俵際、木村山が左からの突き落としをみせ、垣添が手をついたので、行司木村庄太郎は木村山に軍配をあげたのだろう。ただ、その前に木村山の右足が出ていた。明らかに差し違えだ。
ところが、問題はここからだ。正面の三保ケ関審判長は、物言いをつけず、「違うぞ」という動作をしただけで、垣添に勝ち名乗りをあげさせた。これは、対処としては誤りだろう。差し違えなのだから、物言いをつけた上で差し違えと判定し、行司に黒星をつけなければならない。長年相撲を観ているが、明らかに差し違えというケースは、行司が東西を間違えた場合も含めていくつもあったが、物言いなしに勝ち名乗りをあげさせたのは、記憶にない。

朝赤龍豊桜は、豊桜がまわしをとられるのを嫌って突き、朝赤龍もこれに応戦しつつ、機を見て右でまわしをとって、青房下に出た。豊桜は左から上手投げを打って逆転を試みるが、朝赤龍がそのまま寄り倒したように見えた。しかし、今度は物言い。協議の結果は、朝赤龍のひじが先に落ちたとして、差し違え。豊桜の体も飛んでいたように見えたが・・・。朝赤龍はこれで2敗。しかし、一つ前の相撲が、実質差し違えで物言いのつかない相撲だったので、本来は、木村庄太郎、2番続けて差し違えとなるところだった。まさか、前の一番で、物言いをつけそびれたから、今度は差し違えにしてしまおうか、という協議ではなかっただろうとは思うが。万一そうだったら、朝赤龍が気の毒だ。

栃ノ心霜鳳は、相四つだけにいきなり右四つがっぷりとなり、以後は力の入った攻め合いになったが、栃ノ心が馬力勝ち。栃ノ心は、寄り方をもう少し勉強すれば、もっとラクに勝てるだろう、と感じた一番。今日の寄り方は、単に力まかせにもっていっただけだ。外国人力士ながら、ほれぼれするような寄り身を見せる白鵬は、やはりすごいと思わされる。

次の一番、阿覧も、普天王と左四つがっぷりから、力まかせの寄り。これもちょっとどうかというものを感じる。上手が伸びたままの強引な寄りだったし、セオリーに反して、その上手の方に寄っていた。
この2番を観て感じたのだが、栃ノ心も、阿覧も、伸びたまわしは取り直すということを、教えられていないのではないか。

豊ノ島はやはり本調子でない。立ち合い左を差し、右も入れようとしたが、栃乃洋の左は堅く、差せない。やむなく右上手から投げようとしたが、これは豊ノ島としては安易。栃乃洋を呼び込んでしまった。

若の里玉乃島は、互いに左を差して上手がとれない格好から、玉乃島の右小手投げが決まったが、このところの相撲を観ると、若の里も力が落ちたかなと思わざるを得ない。

豊真将は、立ち合い左前まわしをとり、頭を下げて出たが、時天空も曲者らしく、右足を内掛けにからんで投げようとすると、豊真将もあぶなかった。ひやっとしながらも、最後は豊真将が寄り切った。しかし、危うい相撲になったのは、豊真将の攻め方にある。左はまわしをとりながら、右ははずで攻めたが、懐の深い相手にこれは危険だ。頭を低く下げて、左前まわしをとる型は確立されつつあると思うが、その時に右はどうするのか、それを固めてもらいたいと思う。

栃煌山が、鶴竜に自分の相撲。鶴竜が立ち合いから突き起こそうとしたが、栃煌山はすばやく左右から二本入れ、前に出ながら右ははずにして押し上げるように前に出た。両横綱には完敗したが、上位にあって、自分本来の相撲がとれているのは立派だ。

琴欧洲が力強い相撲。把瑠都と突っ張り合いになったが、こわがらずに前に出ながら、うまく二本入れて黒房下に寄り切った。把瑠都の相撲がよくない。突きで決めるつもりだった、という談話が紹介されていたが、それは無理だ。今日の突きは高すぎる。これでは長身の琴欧洲でも、中に入ってくることになる。あの突きには、突いておいてどうするか、というのが見えない。説得力のない相撲をとっていては、三役に定着できない。

琴光喜北勝力に完勝。立ち合いから突いて、まわしにこだわらず、まっすぐに出た。それにしても、北勝力という人は、負けがこみだすと、本当に気力が感じられなくなる。そこが私は嫌いだ。

日馬富士は、立ち合い低く当たっていったが、豪栄道が、すかさず左からの突き落とし。日馬富士は、手をつきそうになりながら残したが、以後の相撲は日馬富士らしくなかった。突きで応戦したが、どこか上ずった感じが見えた。それでも、流れの中で二本入れることに成功して、これで大丈夫かと思ったのだが、妙に攻めあぐねている感じが見えた。最後は正面に寄り切ったが、やはりまだ日馬富士の相撲が本来のものでない。何か浮き足立った印象を受ける。もっとガチッとスキのない相撲をとってもらいたいと思う。

魁皇旭天鵬は、立ち合い、魁皇が引っ張り込んだ感じで左四つ。互いに上手がとれず、さあどうするかと思ったが、魁皇が右からおっつけながら上手をさぐってとった。こういう、うまさがあり、気力も感じられる動作は、魁皇に久しく見なかったもので、ちょっとびっくりした。上手を引きつけて前に出て寄り切り。今日の相撲は、動きがよく、力強かった。

千代大海が、琴奨菊の右への変化を食った。変わった琴奨菊はまったくほめられないが、千代大海も頭を下げ過ぎだ。この変化を食う方もまた深刻だ。

白鵬は、雅山に立ち合い左から張り差しにいったが、これが失敗。以後の流れは、今場所の中ではよくなかった。まわしがとれずに、しばらく突き合いとなったが、ちょっと冷静さを欠いた感じがあった。上体が高いままでの突きなので効かないし、張り手を交えたのも余計。流れの中で左が入り、後は無難な相撲だったものの、スキのない動きではなかった。

朝青龍稀勢の里は、時間いっぱいから、稀勢の里がわずかにこらえきれずにつっかけた。2回目の立ち合い、朝青龍はすぐにもろ差しとなり、黒房下に走って一方的に寄り倒した。稀勢の里は、まったく期待はずれの相撲。最初のつっかけが影響したのかもしれないが、それを別にしても、立ち合いから脇が空いており、これでは横綱に二本入れられるのも致し方ない。稀勢の里としては、立ち合いからどうしようと思っていたのか、それが、観る者にまったく伝わってこない。ここが、日本人若手のホープだの、横綱大関候補だのと言われることに、反対したい理由だ。どうしたかったのか。それがわからない。

全勝 朝青龍白鵬
1敗 魁皇

今日に関しては、朝青龍の方が、白鵬よりもずっと内容がよかった。
ともかく、両横綱の並走は見ごたえがある。「向こうが勝つならこっちも」という意識が、二人を支えている面は小さくないのではないか。長く朝青龍が一人横綱を務めてきたが、今の状態の方が本来あるべき望ましい姿だと思う。観る側としても楽しみが大きい。