豪栄道と旭天鵬は、立ち合いすぐに右四つ。旭天鵬は両まわし充分、豪栄道は上手がとれず、体勢不利だったが、西土俵で右から逆転の下手投げ。豪栄道の器用さが出た相撲だったが、これが豪栄道のめざす相撲であるかどうか。
稀勢の里が、不振をきわめる千代大海の突きに、何もできずに敗れた。上をめざそうという新関脇が、いくら過去の対戦成績がよくないと言いながら、今場所1勝6敗の大関に、突かれるばかりで何の攻めもみせずに負けるのは、ふがいないとしか言いようがない。本当に、何を考えて土俵に上がっているのかと言いたい。仕切りの間の顔を真っ赤にしての気合いも、負けて土俵を下りる時の悔しさいっぱいの顔も、何か違うんじゃないのか。
琴欧洲は、立ち合いから時天空を突き放して攻め込んだが、黒房下で時天空がうまくまわりこんで、左からの突き落としを見せると、琴欧洲は土俵を飛び出した。誠に安定感がない。琴欧洲本人としては、別に、昨日と違った攻めをしているつもりはないのだろう。相撲は難しい、ということなのか。いい攻めと落とし穴とは、まったく紙一重だ。
日馬富士は、低く当たって左前まわしをとって出たが、足の運びがどうも決まらない。鶴竜は、まわりこみながら右からの小手投げで降っておいて、寄り切った。日馬富士の相撲が、やはりどこか決まらない。今日の一番については、左右から攻めていけなかったところに、流れの悪さを感じる。
朝青龍と雅山は、立ち合い雅山が頭で当たって、突き合いとなった。朝青龍は、瞬間ちょっと引いたが、思い直して前に攻め、間合いを測りながらうまく引き落とした。雅山は、足が出ずに後ろに残っており、残せなかった。朝青龍は、内容万全ではないが、今の雅山相手の相撲とあって、余裕充分。
白鵬と把瑠都は、時間はかかったものの、白鵬としては、昨日よりずっといい内容でまったく問題なし。立ち合い左前まわしが速かった。これは切られたものの、右からすくうように差して、とにかく右四つに組み止めた。互いに上手をとれない状況ではあったが、右四つということで、白鵬にとってはまず優位な体勢。把瑠都がここから何かをできるという状況ではない。少しあってから白鵬は左を巻き替えてもろ差し、すかさず把瑠都の上手を切ってしまった。うまい。右下手はがっちりとり、左は把瑠都にきめられた。左はまわしをしっかりとってから攻めた方が万全、と思ったが、かまわず腰を落としながらがぶって東に寄った。
中日時点で星二つの差は大きい。両大関が千秋楽まで星を落とさずにいけるとは考えられないので、実質的には両横綱のマッチレースの状況がますます濃厚になった。
先に星を落とせない、という緊張感が、両横綱それぞれにプラスに働いているように感じるし、それが、観る者にとっても大きな楽しみにつながっている。
先に星を落とせない、という緊張感が、両横綱それぞれにプラスに働いているように感じるし、それが、観る者にとっても大きな楽しみにつながっている。
1週間後、どんな状況になっているだろうか。