naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

ウォークマン誕生30年

今度は芸能ネタではないが、昨日だったか、ソニーウォークマンが、79年の発売から30年、というニュースを見た。

ウォークマンの登場は、やはり画期的だった。あれから、30年経つのか。

何が画期的だったか。「歩きながら音楽が聴ける」に尽きる。

ウォークマン」というネーミングは、誠に商品の本質をついた秀逸なものだと思う。

その当時、ラジカセというものはもちろん存在した。だから、家から屋外に音楽を持って出て聴く、ということはあった。

しかし、ラジカセを手にぶらさげて鳴らしながら歩くわけにはいかない。
ハイキングで行った先とか、海水浴場とか、外出先のどこかに置いて、そこで聴く。つまり、固定した場所で聴く、ということだった。

移動しながら聴く、という意味では、既にカーステレオが普及していたが、車の外で、家の外で、歩きながら聴けるタイプの機器の登場は、やはり画期的だったと思う。

かすかな記憶だが、朝日新聞に、團伊玖磨氏が、ウォークマンについての文章を書いていた。

かつては、音楽というものは、演奏会場において、演奏家と聴衆が対峙する形で聴かれていた。
その後、レコードの発明で、家庭というプライベートな空間に、音楽が持ち込まれるようになった。
そして今、音楽は、イヤホンを通じて、とうとう人の耳に張り付くに至った、という趣旨の記述だったと思う。

團氏が、音楽鑑賞のあり方のそうした変遷を、肯定的に書いていたのか否定的に書いていたのか、忘れてしまったが、とにかく、これは歴史的に画期的なことだ、と論じていたと思う。

「とうとう人の耳に張り付いた」という表現が、私には印象に強く残った。

ところで、私は、すぐにウォークマンを買うことはなかった。

当時は、入社2年目。まだ仕事に忙殺される状況ではなく、割合早めの時間に独身寮の部屋に帰れていたから、部屋のステレオで音楽を聴くことで、充分満足していたのだろう。

そろそろほしいな、と思って初めて買ったのが、3年後の82年。入社5年目のことだった。

確か秋葉原で(石丸電気だったか?)買ったと思う。

その時は、ソニーウォークマンではなかった。

どうせ買うなら、機能が豊富なものを、と思い、カセットを聴くだけでなく、ラジオも聴けて、録音もできるもの、という条件で、アイワの「カセットボーイ」というブランドの商品を買った。

その頃は、今いる品川の支店で、経理の仕事をしていたのだが、月に2回、現場の応援ということで、日立にある工事事務所に、泊まりがけで出張していた。

そのこともあって、出張の往復や、日立の宿舎にいる時に、使いたいと思ったのだ。

寮のステレオで録音したテープを何本も持って行って、聴いたものだ。

先日も書いた、82年6月30日のオフコースの武道館公演は、直後にラジオで放送されたのだが、それをエアチェックしたテープを、毎回毎回持って歩いていた。

ウォークマンの次は、ポータブルCDプレーヤーの時代になる。

初めて買ったのは、92年の春頃だったと思う。

LP時代に引き続き、CDになってからも、せっせとディスクを買い集めていたが、さすがにこの頃になると、仕事が忙しくなってきて、なかなか家のステレオで聴く時間がとれなくなってきた。

買っても聴けないんじゃ、しょうがない。
そこで、通勤や出張の移動時間を利用しようと思ったのだ。

通勤では、毎日持ち歩いた。

また、その92年の秋からは、6年間、労働組合の専従役員の仕事だったので、北海道から九州まで、オルグで全国をまわる出張がしょっちゅうあった。

出張の時には、ポータブルCDプレーヤーと、聴きたいCDを10枚、20枚、ディスクだけ入れるケースに収納して、持って出かけていた。

カセットからCDになって、これも画期的だと思ったのは、テープを作る(ダビングする)必要がない、ということだった。

それまでは、LPレコードもしくはCDからカセットに録音する、一手間があった。

それも、1時間の音源であれば、録音には1時間かかったのだから、今から思えば面倒なことだった。
当時はそれしか方法がないわけだから、外に音楽を持ち出せる魅力が、その手間に勝っていたと言える。

それが、CD音源そのものをダイレクトにセットして聴けるとなると、これはもう本当に便利も便利、という他はなかった。

記憶では、カセット型の携帯プレーヤーは、そんなに毎日使ったわけではないが、ポータブルCDプレーヤーは、常に手放さなかった。

ソニーパナソニックのものなど、都合4台か5台、買い換えて使ったと思う。

そして、今の、フラッシュメモリ型のウォークマンである。

iPodの流行に、さすがに無関心ではいられず、そろそろああいうものがほしい、と思ったのが、2年前。

既にこのブログも始めていたので、記事にも書いた。

  ※その過去記事 「ウォークマン買いました!」
      http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/49395775.html

そして、この機器の、またまた画期的だったこと!

本当に、人間の技術開発というものには、際限がないと、痛感させられた。

何と言っても、もはやCDを持ち歩かなくていいんだから。

CDからパソコン経由で機器に取り込む作業のラクなこと。CD1枚が、2~3分でパソコンに取り込めてしまうのだ。トータル5分足らずで、機器に転送できる。

そして、今使っている8GB仕様の場合、マッチ箱程度のちっぽけな機器に、アルバムにして約100枚分が入ってしまう。

初期のカセットのウォークマンからすれば、色々な意味で天地の差だ。

通勤の時に、CD100枚を現物で持って歩く、なんてことは、到底考えられないが、それが、首からぶらさげた、わずか数十グラムの機器に入っちゃうんだもんねえ。

あと、ポータブルCDプレーヤーの場合だと、基本的に本体はバッグとかに入れないといけないから、そのバッグと耳がコードでつながっている、というのは、これも今から思えば鬱陶しい話だった。

それが、機器を首から胸にぶらさげて、手ぶらでも歩けるのだから、これも相当に大きな利便性だ。

iPodの普及も、この点が大きかったのではないかと思う。

さて、そんなことで、今は、フラッシュメモリ型のウォークマンを、日々愛用している。

テクノロジーは進歩を止めることを知らないだろうから、これから先、今はとても考えられないような新製品が出てくると思う。

今、こんなに便利だと思って、喜んで使っているものが、「今から思えば」と回顧されるように、きっとなるんだろう。
「これを知ってしまったら、あれにはもう戻れない」と。

これまでもその繰り返しだった。

やはり楽しみなことだ。