naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

7月場所千秋楽~横綱同士さすがの大熱戦

朝赤龍栃乃洋は、立ち合いから左四つ。朝赤龍が上手をとり、頭をつける自分の形から、寄り、投げと攻めを休まずに寄り切った。栃乃洋は、のぞかせた左をいかせず。
朝赤龍は9勝。

垣添が、豊真将の左かいなをとったりにたぐってうまく攻めたが、豊真将もさすがに足腰よくこれを残し、最後は引き落とした。
これで2ケタ。今場所は、前へ出る相撲が目立った。また上位に戻る来場所、期待したい。

勝てば敢闘賞の翔天狼、当たって突いておいて、黒海を突き落とした。

猛虎浪がもろ手で突いて出たが、豊ノ島は下から左を差して、その差し手を突きつけて出て、西へ寄って出た。勝ち越し。
豊ノ島には、ひじを治して、またいい相撲を見せてほしい。

栃ノ心は、かちあげから突き起こして右差し。春日王栃ノ心に最初は上手を許さなかったが、栃ノ心はその後上手をつかむと、引きつけて赤房下へ寄り切った。
NHK正面解説の北の富士さん指摘の通り、まっすぐ前に寄るのでなく、差し手の方に寄るべきだった。しかし、来場所の上位戦が楽しみだ。

栃煌山が、武州山の突きに下がりながら、下から浅く二本のぞかせて逆襲。正面に寄り切った
やっと千秋楽になって、栃煌山らしい相撲が出てきた。この人に望むことは、多少負けが混んでもくさらずに自分の最善の相撲をとり続ける気力だ。

高見盛が立ち合い二本入ったが、豪栄道も両前まわしをとっており、外四つから黒房下に寄りきった。高見盛は、終盤は下がる相撲ばかりだった。
過去豪栄道の4戦4勝という合い口のよさが出た。
豪栄道は5勝止まりで終わったが、望むことは、栃煌山と同じだ。

豊響が押して出たが、まわりこんだ阿覧の引き落としに落ちた。
豊響は、何とか上位で活躍できるだけの力をつけて戻ってきてほしい。

琴奨菊把瑠都は、立ち合いすぐに左四つになったが、把瑠都がすばやく上手をがっちりとって、抱き込んでしまった格好。
琴奨菊が攻められずにいるところ、把瑠都がつりあげてまっすぐ持っていった。把瑠都は11勝。
把瑠都はまたまっすぐつって出た。土俵際で下ろす格好になったので、そこで相手に反撃される可能性はあった。このへんがまっすぐつることのリスクだが、琴奨菊はそこを突けなかった。北の富士さんが指摘していたが、今の力士はつられることが少ないので、抵抗したり反撃したりという工夫がない。

稀勢の里が突いて出ると、安美錦もよくこらえ、突き返しておいてから、安美錦の方から左四つに組みにいった。安美錦は、すぐに右から上手投げを打ったが、体の開きが不充分だったため、稀勢の里はこれについていって、上手をとった。最後は、稀勢の里が引きつけた上手からの投げで決めた。

千代大海が、当たって突いておいてのはたきで鶴竜を破って、千秋楽勝ち越し。
今場所の千代大海は、突いても上体が立って前に出られないことが多かった。やはり力が落ちている。

魁皇琴光喜は、立ち合い琴光喜が突いて出た。やや動きが堅い感じがあったが、その後、互いに頭をつけ合う格好から、琴光喜が右をのぞかせた後、左から突き落とし気味にいなすと、魁皇がたたらを踏んで後ろを向いた。
これで、琴光喜は12勝。優勝の望みがなくなった中で、しっかり相撲をとってあげた12勝目は値打ちがある。

優勝決定戦の可能性を残したい琴欧洲は、日馬富士との対戦だったが、内容は一方的。
琴欧洲は、頭で低く当たり、接触した瞬間に左前まわしをとった。実に速かった。日馬富士は突き起こしにいったのだが、琴欧洲に低い体勢で前まわしをとられたことで、突きのかいながはずされて、上体が起きてしまった。これは、昨日の白鵬戦と同じ展開。
こうなると勝負はあった。琴欧洲は、左上手から出し投げで相手の体勢を崩してそのまま白房下へ寄り切った。
これで、決定戦に望みをつなぐ13勝となったが、結びの結果や、優勝云々を別にして、13勝は立派だ。それにしても、千代大海戦での敗戦がなければ、と悔やまれる。
日馬富士は、2ケタに届かず。場所前からの横綱昇進騒ぎには、私はもともと疑問を持っていたが、それでも、2ケタ、11番くらいは勝ってもらいたかった。下位に落とした2番が痛かったし、横綱大関戦も、もっと勝ちたかったところだ。それから、昨日と今日の相撲をふりかえり、長身の力士への今後の攻め方を考え直す必要があると思う。

結び、白鵬朝青龍は、朝青龍が気力とスピードを見せて、非常に見応えのある大熱戦となった。本当に銭のとれる相撲だった。
立ち合い左四つ。白鵬は上手を充分にとったが、朝青龍は右から攻めてもろ差しをねらう。白鵬はこれを許さずに左四つ。
その後互いにまきかえあって右四つ。正面からの映像では、白鵬が右かいなを返して朝青龍に上手を与えていないように見えたので、これで大勢は決したかと思った。しかし、実際には朝青龍が上手をとっていたようで、白鵬も攻めには出ない。
先にしかけたのは朝青龍。左からの上手投げでふりまわし、同時に、右で白鵬の左上手を押さえて切った。このあたりは、さすがという他はないが、朝青龍のこのめまぐるしい攻めに対応できた白鵬もまたさすがだった。
右四つは変わらないが、今度は朝青龍が上手充分、白鵬は上手がとれない格好。
朝青龍が引きつけて正面に寄るところ、白鵬はこらえる。白鵬が左をまきかえたが、朝青龍も右をまきかえる。誠にめまぐるしい攻防だ。
依然右四つ、白鵬が上手をとれない劣勢。しかし、朝青龍がまた上手を引きつけて西へ寄るところ、土俵際で白鵬が右下手投げで朝青龍を裏返して、さしもの大熱戦も勝負がついた。
本当にいい相撲だった。かつて、優勝決定戦という舞台で凡戦を見せたり、勝負がついた後に見苦しい行為があったりしたが、今日の一番では、さすが横綱同士の対戦と言える熱戦を見せてもらったという満足が得られた。
白鵬が、決定戦に持ち込ませず、11回目の優勝。

白鵬は、これで今年2回目の優勝。本割の成績は、57勝3敗。平成17年の朝青龍の84勝をぬりかえるには、残り2場所で28勝が要求される。必ずしもたやすい数字ではないが、可能性はある。

今場所の優勝争いは、大関が2人からんだという点に値打ちがあった。5大関中に、13勝、12勝をあげた者がいるというのは、昨今貴重なことだ。

来場所以降については、朝青龍の退潮がますます進むだろうから、白鵬の独走時代になる可能性が高い。その白鵬を、今場所活躍した琴欧洲がどこまで追っていけるか。後は、日馬富士がまきかえしていけるか。琴光喜は、今場所はよかったが、精神面の弱さが克服されたとは思えず、年齢を考えても、多くは望めない。
当面は、こんなところだろう。白鵬琴欧洲日馬富士

相変わらず、関脇以下に次代を担う力士が出てこない。稀勢の里も、関脇に復帰してこんな程度の相撲をとっているようでは、上を望むにはほど遠い。

三賞

敢闘賞 翔天狼
技能賞 安美錦

横綱大関を破った稀勢の里に殊勲賞を与えてよかったように思うが、朝青龍琴光喜に勝ったものの、白鵬琴欧洲に勝てなかったことで一歩及ばなかったか。星数自体も確かに物足りない。
後は、11勝した把瑠都に何もなかったのもちょっと、どうだったか、という気がするが、把瑠都くらいになると、新鮮味がないということか。

番付予想。

三役
       東     西
横綱  白鵬    朝青龍
大関  琴欧洲   琴光喜
大関  日馬富士  魁皇
大関  千代大海
関脇  稀勢の里  把瑠都
小結  琴奨菊   安美錦

幕内と十両の入れ替え

昇進可能な力士は、玉飛鳥、将司、北勝力若の里の4人。
陥落必至なのは、山本山、若荒雄。加えて引退の出島。
もう1人が難しい。西11枚目で5勝の玉鷲か、東13枚目で6勝の普天王
非常に難しいところだ。どちらかと言えば、玉鷲か。
ただ、千秋楽に組まれた入れ替え戦の結果は、普天王が将司に敗れ、玉鷲北勝力に勝っている。この点を考慮するなら、普天王が陥落となるが。

十両と幕下の入れ替え

陥落力士が多いのに対して、昇進可能な成績の力士がいない。
陥落は、保志光、北桜(また陥落。残念だ)、琴国、琴禮。加えて引退の出島。
しかし、幕下上位で、文句なしに昇進可能なのは、東筆頭で4勝の磋牙司、西筆頭で6勝の双大竜くらい。これに次ぐのは、東2枚目で4勝の星風と、西2枚目で4勝の徳真鶴。そして、東4枚目で4勝の福岡。
このへんが昇進となろう。場所によっては上がれない成績の者が、何人か幸運な昇進をすることになる。
西14枚目の華王錦が惜しかった。もう1番勝っていれば、7戦全勝で優勝、15枚目以内での全勝優勝ということで、十両昇進だったのだが、6勝1敗で、8人の優勝決定戦になってしまい、優勝も十両も逃してしまった。