naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

オトマール・スウィトナー死去

イメージ 1

昨12日(火)の夕刊に、スウィトナーの訃報が載った。

スウィトナーの実演を聴いたことはなかったと思うが、レコードに関しては、いくつかの思い出がある。

いずれもモーツァルトだ。

まず、シンフォニー。

スウィトナーは、モーツァルトの28番以降のシンフォニーを、3つのレーベルで録音している。

オケは、すべてドレスデン・シュターツカペレ。

フォノグラムに29番。グロリア・シリーズという、濃いクリーム色の縦組みのジャケットの廉価盤で出ているのを、大学2年の時に買った。

セラフィムに、31、35、36、38番。これも学生の頃、2枚組の廉価盤で出ていた。私が買ったのは、31番を除く3曲が1枚におさめられた盤で、就職してからだった。
これは、CDでも買い直して、今もしばしば聴いている(画像)。

大学2年の時、徳間エテルナ(今はドイツ・シャルプラッテン、キングレコード)から、28・41番、32~34番、39・40番が、新録音として発売された。

30番だけ欠けているが、28番以降のシンフォニーは、すべて録音された。

この中では、何と言っても、まず29番が好きな演奏だった。遅いテンポの深沈たる1楽章の味わいは、この盤でしか聴けない。
この29番は、私の知る限り、CD化されていない。何とか復活しないものか。

  <追記>と思ったが、その後ネットで検索したら、輸入盤ではCDで出ているらしい。
       しかも、あるボックスセットでは、30番も収録されているようだ。
       さがしてみよう。

それから、セラフィムの35番、ハフナー。1楽章が始まってしばらくして、16分音符でDdurの上行音階が出てくるが、この盤ほど、その部分が歯切れよく鮮やかで、快感を与えてくれる演奏を知らない。

学生の頃、「レコード芸術」の交響曲の月評担当は大木正興氏だったが、氏は東欧系の演奏家がごひいきで、新譜あるいは再発売で出たこれらのレコードをいつもほめておられた。

それから、もう一つはオペラ。

高校からクラシックを聴き始めた私は、主にオーケストラやピアノ曲から入り、室内楽やオペラに接したのは遅かった。

大学オケの親友にヴァイオリンのMがいた。Mはオペラに詳しく、彼とあれこれ話している中で、自分も遠からずオペラのレコードをあれこれ買い集めてみたい、と思うようになった。

ある日、私のアパートの部屋で、いつものようにMとあれこれのレコードを聴いていた時に、ふと、「オペラを聴いてみたいなあ」とつぶやいた。そんな気分だったのだ。

Mが、「それはいい。気が変わらない内に、買いに行こう」と言って、アパートの近くの、「アポロ」(今でもある)に行くことにした。

特にどのオペラが、と決めていたわけではなく、何でもいいから、とりあえずオペラというもののレコードを1組買いたかったのだ。

Mと一緒に店頭に並ぶオペラ全曲盤をあれこれ眺めた末に買った、記念すべき人生初のオペラのレコードが、スウィトナーが指揮する、これもドレスデンの「魔笛」だった。オイロディスクから出ていた。

手元の記録によると、私の「オペラ記念日」とも言うべき、この日は、77年2月6日。大学3年の時だ。

早速持ち帰って、Mと一緒に、歌詞対訳を見ながら、全曲を聴いた。

序曲だけは知っていたが、その後にくりひろげられるオペラの世界は新鮮だった。
パパゲーノ登場の場面の音楽の魅力、夜の女王のアリア、グロッケンシュピールのこの世のものとも思えない美しい音色。

ところが、この全曲盤は、不良品だった。プレスミスで、一部のナンバーが欠落していた。歌詞対訳にそって聴いていて、「あれ、おかしいぞ」ということになったのだ。

そのレコード番号で発売されたすべての盤が不良品だということが、確かその後「レコ芸」の広告のページに掲載された。「お買い求めの方は、正常な商品と交換します」と書かれており、交換してもらった。

「初めて買った全曲盤が不良品とは」と、Mが笑ったのを思い出す。

この「魔笛」の演奏は、今でもCDで買うことができる。

スウィトナーという人の演奏は、どんな曲でも、特段の派手さはなく、実直堅実なものだった。

その後、CD時代になってからも、DENONレーベルからリリースされた、ベートーヴェンシューベルトシューマンなどを何枚か買って聴いた。

つい最近も、クレストシリーズとして出た、「エロイカ」を買ったばかりだ。

明日あたり、またその「エロイカ」を聴いてみよう。