naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

若書きアーカイブ~マーラーの3番(1980年3月、24歳)

※「音楽断章」ノートから。

80.3.15 マーラーの3番 クーベリックで聴く

   やはりこの曲にはマーラーのあらゆる魅力が入っていると思われる。
   目下レヴァインがベスト。

   クーベリックは、端正できっちりとした演奏。錯綜したスコアもく
   っきりとていねいにやっている。マーラーの曲の中では、特に従っ
   てこの曲あたりむいていると思われる。2、3楽章あたりはメルヘ
   ン的ですてがたい。
   惜しむらくは金管がヘタ。はっきりとゆとりに乏しいし、とくにT
   rpの音色に品がない。オケ全体としては弦はよいしけっして悪く
   はないが、1番の小沢指揮するところのボストンやこの曲のレヴァ
   イン指揮するシカゴに比べると、ヴィルトゥオジティという点では
   っきり限界がある。その分バルビローリのように何か前時代的な香
   りがあるとすくわれるのだが。

   バーンスタインはオケはかくべついいと思えず、とくに3楽章まで
   響きが固まりになって、クーベリックのようにはっきりしないとこ
   ろは不満。録音も冴えない。
   しかし、とくに6楽章をはじめとして何か香ってくるものがある。
   曲に対する愛情というべきか。この6楽章はじつに空前のものであ
   ろう。数々の欠点はあるがすてがたい。

   レヴァインは録音オケともよく、クーベリック同様すっきりとして
   いてよい。6楽章で所々うなり声の入るのが難。
   それと惜しいのは1楽章が途中で切れること。この点クーベリック
   は価値が高い。

   目下レヴァインバーンスタインクーベリックの順に採る。
   小沢さんが入れてくれるのを待ちたい。
   アバド=ウィーンpo.が出るという。これは楽しみだ。

先日、マーラーのシンフォニーの好きなランキングについて書いたが、3番をトップに据える評価は、この時点で既にゆるぎがない。

また、この曲に最初に出会ったのがこのクーベリック盤なのだが、結構辛辣な評価も下している。
若いからヒマだったんだろうなあ。だから、一つ一つの演奏を深く聴く余裕があったのかもしれない。これだけ勝手なこと言えるってのは、そういうことなのかな。

現時点でベスト演奏の一つと思っているバーンスタインの旧盤についても、結構冷静な評価だ。

レヴァインの1楽章の記述は、注釈が要るかもしれない。LPレコードの時代なればこそで、3番の1楽章が片面に納まらないという意味だ。