1月場所9日目、結び。
今場所、NHKの放送では、アナウンサー、解説者、こぞって白鵬の相撲を絶賛し続けてきた。二言目には、完璧、スキがない、と。
しかし、そこまで言う内容か? と少々の疑問はあった。
今場所の白鵬は、張り差しを封印し、左前まわしをさぐりに行く立ち合いが主体だ。
だが、とったまわしを切られることが非常に多い。
結果、立ち合いにまわしをとってがっちりと組み止めてしまい、あとは前に出て万全に寄り切る、という、白鵬本来の相撲が一番もない。
相手をよく見る余裕はあり、動きもいいものだから、相手の動きに合わせて、上手にさばく、という相撲ばかりだ。
すべて10秒未満の短時間でカタをつけている、実によく相手を見ている、危ない場面がまったくない、自在の相撲、と、ほめようと思えばほめられる内容だが、私は必ずしもそれには賛成できなかった。
対戦相手との力の差を余裕にして、「さばく相撲」、「あしらう相撲」をとれることが、この横綱にとってベストだろうか、という疑問だ。
10秒以上かかっても、立ち合いからスキなく自分の形に組んで寄る相撲を愚直にとってもらいたい、と思った。
下位力士との間に、これまでにない地力の差ができたことは事実だろう。だから、多少調子を下ろした雑な相撲をとっても、負けることはない。
今場所の嘉風戦などは、その典型だ。勝ったと思って明らかに気を抜いた相撲だった。
この相撲さえも、NHKでは、勝っていなかったとわかった後の白鵬の動きの俊敏さはさすがだった、と讃えていた。
今場所の嘉風戦などは、その典型だ。勝ったと思って明らかに気を抜いた相撲だった。
この相撲さえも、NHKでは、勝っていなかったとわかった後の白鵬の動きの俊敏さはさすがだった、と讃えていた。
今場所初めて張り差しをみせたが、差せなかった。以後、突っ張って離れた相撲になったが、もくろんだ相撲でなかったといういささかのあせりが感じられた。
右上手をとって前に出たが、今日もその上手を切られた。どうして今場所はこうも簡単にまわしを切られるのか。
それでも、何とかなるだろう、という感じでかまわず出たところを、豊真将に突き落とされて大きく泳ぐことになった。
勝負自体は、物言いのつくほどの微妙さはなく、白鵬のものだったが、大いに反省すべき一番だった。