naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

沖仁 コンサートスタイル・フラメンコギター2012

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昨7日(土)、沖仁コンサートスタイル・フラメンコギター2012というコンサートに行ってきた。

妻の希望で、1週間前にチケットをネット購入したものだが、当の妻は、昼前に私に言われるまで、夕方聴きに行くことをすっかり忘れていた(笑)。

千葉市文化センターアートホール。
6列15番、16番。

沖仁のライブは、二人とも初めてだ。

(私は、フラメンコの実演というと、6年前に会社関係の行事のアトラクションで、「エラン・ヴィタール舞踊団」のステージを観たことがある。それ以来だ)
   ※その過去記事 「長崎出張④~エラン・ヴィタール舞踊団のフラメンコ」
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/44264333.html

出演は2人。

フラメンコギターの沖仁
カンタオール(ヴォーカル)、カホーンの高岸弘樹。
(カホーンは、一斗缶みたいな形をした打楽器で、奏者はその上に座って叩く。上の舞台写真、左手のオレンジ色のもの)

1曲目、何という曲だかわからないんだけど、早くも引き込まれる。

私がふだん聴いている音楽とは違う世界。

西洋音楽で言う、拍子だとか(つまり小節の区分)、調だとかがない。
リズムも複雑だし。

楽譜ってあるのかな。
ないかもしれない。耳でおぼえるんだろうか。

ギターは、左手の指でもメロディをはじいているように思われた。

1曲目の後のMCで、「プチフラメンコギター講座」と称して、右手の演奏方法がいくつか紹介された。

トレモロ(「アルハンブラの宮殿」みたいな弾き方)。
ピカード(人差し指、中指の2本での速弾き)。
右の親指は、クラシックギターでは下にしかはじかないところ、上にもはじく。
タパオ(打楽器のように鳴らす。胴をたたいたり、弦を左手でミュートした上でかき鳴らす)。
ラスゲアード(かき鳴らし奏法)。

ラスゲアードだけは、やったことがあるよ!
フラメンコでなくて、クラシックギターだけど。
確か、高校のマンドリン・オーケストラでだったかなあ。
小指から順番に4本の指をタイミングずらして弦に当ててたような記憶がある。

小澤征悦に似た風貌のヴォーカルの高岸さんは、モノマネが得意ということで、中盤に「昭和ヒットメドレー」をやった。
「傘がない」、「いとしのエリー」、「さそり座の女」、「女のみち」、「シーズン・イン・ザ・サン」、「俺ら東京さ行ぐだ」他を、フラメンコアレンジで。

この日のお客さんはおとなしかったらしいが、演奏の途中で、手拍子やかけ声を促され、次第に熱く盛り上がっていった。

本編の最後は、メドレー「メロディア」。
パッヘルベルのカノン、エリーゼのためにピンク・レディーの「UFO」、ディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」(今、ソフトバンクのCM(スギちゃんがバイク乗ってるやつ)で使っている曲ね)、モーツァルトトルコ行進曲など。

アンコールは、デュオでの「ベサ・メ・ムーチョ」から、沖さんのオリジナル曲「ファミリア」をソロで。
この「ファミリア」のみ、PAを使わず生音で演奏した。

休憩なしの公演。アンコール含めて全9曲、約1時間40分だった。

初めて聴く、フラメンコギターのライブだったが、とてもよかった。

聴いての印象としては、フラメンコというのは、どことなく暗く、哀愁が漂う音楽だと感じた。
何故だろう。
スペインに行ったことはないのだが、そういう風土、雰囲気があるのだろうか。

調が明確でない中、長調のテイストの曲もあったのだが、どこか哀しい。

一つには、アコースティックギターという楽器そのものにもその要素があるのかもしれないと思った。

ふだん聴いている西洋音楽とは違う音楽を聴きながら、「日本人がフラメンコをやること」について、日本人の沖さんはどう思って取り組んでいるんだろう、と思った。

小澤征爾さんが、自分の指揮者としての一生は、「日本人に西洋のクラシックがわかるのか」という見方に対して、「日本人がどこまでできるかの実験」である、と語っているが、このフラメンコというジャンルにおいて、それを「血」としては持っていない日本人が取り組むことについて、沖さんはどう考えているのか、興味を持った。

そうしたら、MCの中で、それに関連する話をされた。

かつて、「情熱大陸」の収録でスペインに行った際、現地の有名なカンタオールの人と共演した時に、その人が、「お前のギターは違う」と言って、途中で席を立ってしまったのだそうだ。
これは、その渡航の際に現地のコンクールで優勝した嬉しさの反面、心の傷になったのだと言う。

2年を経て、その再チャレンジのためにスペインに行き、その時のカンタオールと一緒に演奏することにして、その模様を、今度はNHKが番組として収録したとのこと。

8月2日(木)に、BSプレミアムで放映されると言っていた。
是非観たいと思う。

(7月31日(火)に、東京文化会館小ホールでの公演があります)

沖仁オフィシャルWebサイト
    http://www.jinoki.net/