朝日新聞千葉地方版「俳壇」に掲載された、父の俳句、2001年~2001年分。
選者:能村研三
2000年2月9日 佳作
麦の芽に淡き夕日の寄せ来たる
2000年2月23日 佳作
春寒や髭ばうばうの僧迎ふ
2000年5月17日 特選
宇宙には地球の軌道明易し
【評】地球は自転していることはわかっていても、宇宙の中の
星の一つとして軌道をもっていることはなかなか理解し
にくい。「灯台もと暗し」とでも言うのか、身近な地球の
ことが案外一番わかりにくいものだ。作者には大宇宙の
中の一つとして地球をとらえるスケールの大きさが窺え
る。明易しは、夏至のころ、夜が最も短くなり、早くに
空が白みかかることを言うが、そんな中で考える作者の
宇宙観も何か楽しい。
星の一つとして軌道をもっていることはなかなか理解し
にくい。「灯台もと暗し」とでも言うのか、身近な地球の
ことが案外一番わかりにくいものだ。作者には大宇宙の
中の一つとして地球をとらえるスケールの大きさが窺え
る。明易しは、夏至のころ、夜が最も短くなり、早くに
空が白みかかることを言うが、そんな中で考える作者の
宇宙観も何か楽しい。
2000年9月6日 佳作
琴線に触れし夜長のヨハネ伝
2000年9月20日 佳作
天安門広場に秋の凧上がる
2000年10月18日 佳作
「大往生」座右の書とす星月夜
2000年11月15日 特選
朝寒や「天声人語」肺腑つく
【評】「天声人語」は、言うまでもなく「朝日新聞」全国版の一面
下のコラム欄。つまり「天に声あり、人をして語らしむ」
もので、森羅万象すべてを俎上にのせ、ときに鋭く、と
きにユーモラスに論じてくれる。忙しい人でも大抵は目
にする欄で、近年は大学の入試や会社の入社試験などに
もここから出題されるという。作者も朝寒の日、新聞受
けから取ってきてすぐに「天声人語」に目がいったのだろ
うが、その短い言葉がまさに肺腑を衝く言葉として心に
残ったのだ。
下のコラム欄。つまり「天に声あり、人をして語らしむ」
もので、森羅万象すべてを俎上にのせ、ときに鋭く、と
きにユーモラスに論じてくれる。忙しい人でも大抵は目
にする欄で、近年は大学の入試や会社の入社試験などに
もここから出題されるという。作者も朝寒の日、新聞受
けから取ってきてすぐに「天声人語」に目がいったのだろ
うが、その短い言葉がまさに肺腑を衝く言葉として心に
残ったのだ。
2001年1月24日 佳作
道楽を知らずに老いぬ初暦
2001年2月14日 佳作
執着を放下すべしと鬼は外
2001年7月4日 佳作
頃合ひと覚ゆる余生葛ざくら
2001年8月1日 佳作
与へられし命を思ふ端居かな
2001年10月24日 佳作
カンナ真赤老い忘れよという如し
2001年12月5日 佳作
冬星よ我は地球の隅に住む