naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

新国立劇場「タンホイザー」

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昨2日(土)、新国立劇場オペラハウスで、ワーグナータンホイザー(とヴァルトブルクの歌合戦)」を観賞。

ここでオペラを観るのは2回目。前回は、オープン間もない頃、1997年か98年だったと思う。「アイーダ」だった。

以後、なかなか足を運ぶ機会をとらえられないままだった。

今年は、ヴェルディワーグナーの生誕200年だが、正月の新聞に、この2大巨匠の作品の実演予定の一覧が載っていた。

いくつかは行こう、と考え、まず今回の「タンホイザー」のチケットを買い求めた。

10年以上ぶりなので、劇場自体あまりよくおぼえていない(笑)。こんなふうだったっけ、と入り、席につく。

3階4列10番・11番。

ワーグナー 「タンホイザーとヴァルトブルクの歌合戦」
2013年2月2日(土) 14:00開演 新国立劇場オペラパレス
指 揮 コンスタンティン・トリンクス
合唱指揮 三澤洋史
演 出 ハンス=ペーター・レーマン
領主ヘルマン クリスティン・ジグムンドソン
タンホイザー スティー・アナセン
ヴォルフラム ヨッヘン・クプファー
ヴァルター 望月哲也
ビーテロルフ 小森輝彦
ハインリヒ 鈴木 准
ラインマル 斉木健詞
エリーザベト ミーガン・ミラー
ヴェーヌス エレナ・ツィトコーワ
牧童 國光ともこ
4人の小姓 前川依子、渡邉早貴子、熊井千春、長澤美希
合 唱 新国立劇場合唱団
バレエ 新国立劇場バレエ団
管弦楽 東京交響楽団

プログラム掲載のメンバー表を見ると、合唱団に、浦安市民演奏会でいつもお世話になっている歌の先生のお名前も。

指揮のトリンクスは、今年夏のバイロイトで「恋愛禁制」を指揮するそうだ。ワーグナーには定評があるのだろう。

レーマンによるプロダクションは、2007年以来の再演になるようだ。
舞台装置はシンプルなものだった。

久しぶりの新国立劇場でのオペラ。

うーん、やっぱりもっとここに来なくちゃなあ。

何と言っても、日本語の字幕がいいよね(笑)。

タンホイザー」は、昔、LPレコードの時代に、サヴァリッシュバイロイト実況盤を聴いた程度で、最近は作品自体にあまりなじんでいなかった。実演は初めて。

やっぱり、ワーグナーはいいなあ。

オケは14型のようで、コントラバスが6本いるのが遠目に見えた。
ワーグナーならではのオケの充実ぶりと声の競演は、やはり魅力的だ。
この曲、オケでは、ヴァイオリンよりヴィオラが活躍する場面が少なくない。

一番聴き応えがあったのは、やはり第2幕。
例の行進曲など、合唱が入る場面は圧巻だ。
2幕終盤のソリストのアンサンブルも。

1幕、3幕は、ソリスト中心なので、時に冗長に感じることもある。こちらの不勉強を棚に上げて言えば、だが。
3幕の「ローマ語り」など、テナーにとっての聴かせどころなのはわかるが、やはり長いなあ、と思ってしまったりする。

でも、もちろん、全体を充分堪能した。

ヴェーヌスベルクの官能の世界と、ヴァルトブルクの世界の2つをめぐる、このオペラ。
視覚的にも区別があったので、音楽での描き分けが理解しやすかった。

ロ長調という調性の意味の重さがよくわかった。

タンホイザーが作中でヴェーヌスの世界を賛美するのを聴いていて、つい渡辺淳一を思い出してしまった(笑)。

今回聴いて思ったが、ワーグナーは、やっぱり男声が好きなのかな?
このオペラでは、ヴェーヌスとエリーザベトが出てくるとは言うものの、主要ソリストの人数は男声が多い。
(「マイスタージンガー」あたりだと、女声のソリストエヴァしかいない)

合唱にしても、男声だけ、女声だけ、という使い方をする中で、やはり主要な場面では男声合唱を重視しているように感じる。

女性が犠牲になって男性を救う、というストーリーは、「タンホイザー」だけでなく「さまよえるオランダ人」にも見られるが、こうしたワーグナー好みの思想は、ある見方をすれば男尊女卑的な側面もあり、それと声の使い方とは関連があるのかもしれない。

とにかく、久しぶりの新国立劇場でのオペラ、大変よかった。

来年にかけてのシーズンでは、「ヴォツェック」や「アラベラ」も上演されるので、このあたりの演目は是非行きたいものだ。

もちろん、ヴェルディも何か一つは。